3Dモデリング入門03 Draft、Sketcher WB作図例 長方形を作図する

■DraftとSketcherワークベンチの違い
 FreeCADには、2Dの図形を作図するために、DraftワークベンチとSketcherワークベンチがあります。
 Draftワークベンチは一般的な2DCADツールです。
 Sketcherは制約という機能を使って2Dオブジェクトを作成するツールです。

・Draftでも、寸法を変更して変形することできますが、他の図形と連動して変形することはできません。
・Sketcherは完全な2Dパラメトリック変形を提供します。図形を部分的に変更するとSketcherの中で定義された制約に基づいて、関連するすべての図形が連動して変形します。

 3Dモデルを作成するには、Partワークベンチは、DraftまたはSketcherでベースオブジェクトを作成できますが、PartDesignワークベンチは、Sketcherでベースオブジェクトを作成するのが基本です。


■作成したオブジェクトの表示非表示を切り替える
 FreeCADでモデリング中に、作成したオブジェクトを一時的に非表示にすることがあります。

表示非表示を切り替える方法は、オブジェクトを選択し、スペースキーを押すだけです。

モデルタブで、階層構造になっているものは、上位のオブジェクトを非表示にすると下層のオブジェクトも非表示になります。上位のオブジェクトは非表示のままで、下層の一部のオブジェクトを表示にすることもできます。


■Draftワークベンチで2D図形を作成する
 Draftワークベンチは、一般的な2DCADです。操作手順やオプションはCADによって多少の違いはありますが、2DCADとしての機能はほぼ同じです。
 ただし、FreeCADは専用の2DCADではないので、Draftワークベンチのツールは3Dモデルのための2Dベースオブジェクトを作成するのに最低限必要な機能に絞られています。

 Draftワークベンチを使う場合は、最初に作業平面を決めてWPスナップをONにしてから作図します。作業平面がAutoになっていると、想定外の場所に作図することがあります。



 Draftワークベンチでは、基本的に作業ビューで、始点終点、通過点などのいくつかのポイントを指定して作図します。寸法を指定したり、スナップや座標で位置を決定することもできます。


長方形ツールを使って、Draftワークベンチでの作図を練習してみます。

1)ワークベンチをDraftに変更します。
2)SelectPlaneをクリックして、作業平面を上面にします。
3)ビューを上面Std ViewTop.svgをクリックします。グリッドの表示が水平垂直になります。
4)グリッドにスナップする場合は、グリッドスナップドラフトスナップグリッド.svgをONにします。

5)長方形ツールドラフトRectangle.svgをクリックすると、タスクタブに座標入力オプションが表示されます。

ドラフト長方形example.jpg


6)作業ウインドウでマウスカーソルを動かすと、XY座標値が変わります。
(作業平面を上面(XY平面)にしているので、Zは0のままです。)

7)作業ウインドウで長方形の始点と終点をクリックすると、長方形を作図します。
・グリッドスナップを使ったり、座標や相対距離を数値入力することもできます。



長方形を選択すると、データタブのプロパティで、長方形の設定値を見ることができます。

Placementで座標を変更すると、位置を移動することができます。
Height(高さ)とLength(長さ)を変更することもできます。

 FreeCADはパラメトリックモデラーなので、2D図形も作図後にデータタブのプロパティの数値を変更できます。
作図後に数値を変更して変形できるのが、一般的なCADと違うところです。





 図形を編集するためのツールも、移動複写、クローン、オフセット、延長トリム、拡大、ストレッチなどの一般的なCADの基本的な機能はそろっています。
  操作方法は、一般的なCADと同じで、対象要素を選択し、ツールをクリック、基準点と移動先などのポイントを指定します。3DCADの2Dツールなので、少し使いづらいところはあります。

 Draftの編集ツールは、他のワークベンチでも使えますが、ツールバーに表示されないことがあります。その場合はキーボードショートカットで呼出せば、ワークベンチを移動しなくてもよいので、効率的です。

■移動M,V   ■コピーM,V,P    ■回転R,O   ■ミラーM,I

※Draftワークベンチのツールのショートカットを有効にするためには、一度だけDraftワークベンチに移動することが必要です。
 また、Draftワークベンチに移動してから戻ると、CADのスナップ機能を使えるようになります。ツールバーを右クリックすると、DraftSnapアイコンを表示選択できるようになります。


 Draftワークベンチのツールの基本的な使い方は、このブログのBIM入門の入門ガイド2.12.2に記載しています。2DCADが初めてでDraftワークベンチのツールの使い方がわからない場合は、そちらの記事も見て練習してください。



■Sketcherワークベンチで2D図形を作成する
 FreeCADにはSketcherという特別な2D図形作成ワークベンチがあります。

 Sketcherの作図ツールの使い方は、Draftと同じです。ただし、座標や数値を使ってポイントを正確に入力することはできないので、それらしい図形を適当に作図した上で、制約を使って形状を整えます。

 Sketcherは制約(拘束)という機能を使って図形の位置関係や寸法を定義し、線で構成されたSketchオブジェクトを作成します。Sketchの中の線はバラバラでも構わないですが、ひとかたまりのオブジェクトとして扱われます。

 そのため、Sketchを構成する線を編集するには、Sketcherワークベンチに移動して操作することが必要です。

Sketcherワークベンチで長方形を作図して、Draftとの違いを見ます。

1)ワークベンチをSketcherに変更します。


2)ツールバーのsketch作成アイコンスケッチャーNewSketch.svgをクリックします。

3)作業面選択でXY平面を選択すると、XY軸と、水平垂直のグリッドが表示されます。





4)タスクタブのEdit controlsで、□グリッドの表示、□グリッドにスナップをON/OFFできます。



5)ツールバーで長方形ツールスケッチャーCreateRectangle.svgをクリックします。
 タスクタブにDraftのような座標オプションは表示されません。

6)作業ウインドウで長方形の始点と終点をクリックすると、長方形を作図します。



長方形の作図はここまでです。この先は制約を定義して形状を整えます。







長方形ツールは、最初からいくつかの制約が定義されています。

・タスクタブを見ると、下段の要素に直線が4つあります。4本の直線で構成される図形です。

・Constraintsに、スケッチャーConstrainCoincident.svgが4つ、スケッチャーConstrainHorizo​​ntal.svgスケッチャーConstrainVertical.svgが2つずつあります。

Constraintsは制約(拘束)で、線や点の関係を定義する機能です。

スケッチャーConstrainCoincident.svgは一致拘束で、複数の点の位置を同じ点に合わせます。
 長方形の頂点で各辺の端点をつなぎます。

スケッチャーConstrainHorizo​​ntal.svgは水平拘束で、指定した線を水平にします。
スケッチャーConstrainVertical.svgは垂直拘束で、指定した線を垂直にします。

水平垂直拘束は、作業ウインドウで線の近くに拘束マークが表示されます。

 長方形ツールでは、最初から水平垂直方向に拘束された長方形が作成されます。

・この状態では、適当に作図しただけなので、大きさや位置が正確に設定されていません。位置や大きさを決定するためには、さらに距離拘束を追加して長さを決めます。


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