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5月, 2021の投稿を表示しています

レベルを自動で作る

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前回の通り芯に続いて、今回はレベルの設定ツールを確認してみる。 BIMモデリングでは階レベルごとに部品を配置していくので、データをレベル別に管理できないとモデルを構造化するのが難しくなる。 ■レベルの自動生成  BIMワークベンチのアイコンとメニューバーの内容を見ると、レベル関係のツールは3D/BIM群の中にあるレベル作成ツールだけである。  これだけでは参考にならないので、BIMプロジェクトセットアップのアイコンを使って、標準的なレベル設定の状態を見てみる。 BIMプロジェクトセットアップの中の建物を作成の部分で、建物全体長さを10m、建物の全体幅を10m、軸線は描かないので0のままにしてしておく。 下段のレベル部分は、階数3、階の高さ3000(3m)としておく。 □水平を縦軸に固定と□Define a working plane...はどちらもチェックを入れる。 以上でOKをクリックすれば、建物の輪郭と水平軸だけが表示される。 モデルタブの表示を最下層まで開いてみると、レベル関係のオブジェクトは水平軸とレベル0、レベル1、レベル2が生成されていることがわかる。 レベルオブジェクトの中には、WP Proxyが入っている。 □水平を縦軸に固定 にチェックを入れないと、水平軸オブジェクトが作成されない。 (画面上で水平軸の線が作成されない。レベルは作成されているので文字の大きさを調整すればレベル表示の文字を見ることはできる。) □Define a working plane... にチェックを入れないと、作業ビューの図は同じであるが、レベルオブジェクトの下層にWP Proxyが作成されない。 この2項目のチェックの有無で、水平軸の線と、WP Proxyの有無を制御している。 今回のテーマとは関係ないが、レベル関係のオブジェクトを作らない方法は次の通りである。 BIMプロジェクトセットアップの中の建物を作成の部分は、建物全体長さを10m、建物の全体幅を10mとする。 軸線を描くために適当に軸の数と、軸間の距離を入れる。距離の合計と建物の全長が一致している必要はない。 下段のレベル部分は、レベルを作成しないので0のままにしておく。 □水平を縦軸に固定はチェックを入れない。 □Define a working plane...にもチェックは入れない。 以上でOKをクリックす

軸線長さの調整と通り符号

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前回で作成したXY軸の長さとレイアウトを変更し、通り符号を付ける。 軸を選択し、データタブのLengthで軸線の長さを変更する。(10mとする) 横軸を選択し、データタブのLengthで軸線の長さを変更する。(10mとする) 横軸位置を調整するために、Placemntの右端アイコンをクリックして、配置タブを出す。 平行移動量Xを10mにして、軸線の位置をそろえる。(軸線長さの10mを移動) 最後に、軸線の位置を微調整する。 モデルタブの軸オブジェクトをダブルクリックして内訳を出し、軸1の距離を0から2000に変更する。 (基準の(0,0)から軸1までの距離を設定している) 閉じるで戻って、横軸オブジェクトをダブルクリックして内訳で、同様に軸1の距離を2000に変更する。 作業ビューに戻ったら全体表示をクリックする。 ■通り符号の表示 モデルタブで軸を選択し、下段のデータのBubbleSizeを1000に変更、FontSizeを同じく1000に変更すると、軸線の端部に通り符号が表示される。 (今回は見やすいように大きめにした) BubblePositionで符号の位置も変えることができる。(Endにしている) Numberingの部分で符号を選べるが、1,2,3かA,B,C程度しか選択できない。 他の方法があるのかもしれないが、今のところ不明。 横軸についても、サイズは1000、Start、A,B,Cで設定する。 軸作成ツールを使っての作成はこのフローでよいと思うが、軸線を1本ずつ描く方法があるのかは不明。

通り芯(軸線)XY軸の作り方

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 今回からモデル作成に必要なツールの確認を始める。  最初は通り芯(FreeCADでは軸線と表記しているので、以下軸線とする)とレベルを作成する。建築モデルを想定しているので軸線を使って作図するのが他の建物への応用も容易と考える。  BIMワークベンチには、BIMプロジェクトセットアップとBIMセットアップの2つの設定用のアイコンがある。  BIMセットアップは、単位や色、フォントなど編集メニューの[設定]ウインドウからBIMに関連する部分を集めたものなので、改めて設定する必要はないので省略する。  軸線とレベルを自動生成するには、BIMプロジェクトのセットアップを使うが、すべてを一度に生成するので、説明が複雑になる。  そこで、軸線とレベルのそれぞれのコマンドを見て構成を確認する。 ■軸線を作成  軸の方向がわかるようにビューは上面図に移動する。線がよく見えるようにグリッドも非表示にしておいた方がよい。 まず、軸セットを作成のアイコンをクリックすると、ビューに5本の縦軸が作成される。 モデルタブに軸というオブジェクトもできている。 モデルタブの軸をクリックして選択すると、ハイライト表示(オブジェクトは緑)になる。 さらにモデルタブの中の軸をダブルクリックすると、軸線の内訳タブになるのでスパンを変更することができる。 個別に角度を変更することもできるが、ここでは変更しない。 (3000 2スパンにしてみる) 軸4、5は不要なので選択して、削除ボタンで削除する。 作業ビューに戻ったら、横軸を作成する。 縦軸と同様に、軸セットを作成のアイコンをクリックすると、ビューに5本の縦軸が作成される。(方向は縦) モデルタブに軸001というオブジェクトもできている。 モデルタブの軸001をクリックして選択すると、ハイライト表示になる。 データタブのPlacementの右端[...]アイコンをクリックすると、配置タブが開く。 下の方の回転 角度を90度に変更する。 上部の平行移動量のXを3000に変更すると、横軸が縦軸の位置にそろってくる。 軸線の長さが3000なので、その分を移動しただけである。 できたらOKをクリックして作業ビューにもどる。 (このようにPlacementを使って、オブジェクトの移動回転を数値で制御できる) さらにモデルタブの中の軸001をダブルクリックして、軸

データのグレードと選択の方法

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 今回はデータの構成と、選択機能についてまとめる。 ■データの構成 ・オブジェクトのデータは、Edge(線)< Wire(連続線)< Face(面)< Solid(塊)<Structure(構造体、立方体等の特別な属性のあるデータ)のような段階的なグレードで編集されている。(モデルタブで確認できる) ・EdgeからSolidまでは基本的なデータ構造で、作成ツールによって異なる名前になる。(Line、Rectangle、Arc、Extrude、Sliceなどそのデータを作成したツール名になることが多い。) ・ツールバーの中の矢印の「Upgrade」「Downgrade」のアイコンでデータを合成分解することができる。(できない要素もある) ・ツール名のついているオブジェクトは、そのツールのパラメーターで形状を変更できるが、ダウングレードして名称が変わるとパラメーターによる変形はできなくなる。 ・ビュー画面ではオブジェクトの中の一部の要素を選択しているように見えても、実際はオブジェクト全体を選択しているので、一部だけを変更することはできない。  例えば、立方体(Solid)の面や線をビュー画面で選択することはできるが、それだけを削除や移動するような編集はできない。  Solidの面を消したければ、Faceにダウングレードする必要があり、線を消したければEdgeまでダウングレードする必要がある。 また、同じ形状に見えても作成の方法によってデータの内容が違うので、データの内容も変わってくる。 同じ立方体でも、いろいろな作り方ができる。 Partワークベンチのプリミティブで作る立方体は、最初から立方体モデルでプログラムされているので、基準となる図形がなくサイズを直接入力する。 2次元の図形を基に作成する立方体は、データタブを見るとわかるように、下書きになる図形(サブオブジェクトまたはベースライン)をリンクしている。 下書きオブジェクトの項目をダブルクリックすると編集モードになる。 Sketcherで作成した下図はSketchをダブルクリックすると、Sketcherワークベンチに戻って元図を変更することができる。 ■オブジェクトの選択  選択については、特殊なことはないので簡単にまとめる。 オブジェクトを選択すると、作業ビューでその線や面がハイライト(標準では緑)される。 線が重

ビューと作業平面は3DCADの初歩

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 モデリング作業の前にビュー画面の移動と、作業平面についてまとめておく。 以下の説明は、Arch(BIM)またはDraftワークベンチで操作して確認する。 また、メニュー>編集>設定>Draftのグリッドとスナップタブのグリッドの表示関係をすべてONにして、グリッド間隔を100にする。 FreeCAD v.0.20からオプションに変更があり、□Show human figureという項目ができた。 BIMワークベンチでグリッド端に表示されていた人物の形状を非表示にできるようになった。  一般的に3DCADにはモデリングを助けるためにビュー画面と作業平面という概念がある。 ビューとは、モデルをどちらから見るかを決める 機能、 作業平面とは2次元の図形の作図編集をする面を決める 機能と考えてよい。  FreeCADでは、ビューと作業平面に上面図、正面図、側面図のように同じ表現が使われているので間違いやすいが、この2つは全く別のものである。 ビューはツールバーの中にあるビュー切替えのアイコンで制御する。作業平面もツールバーの中に表示されているので、この部分をクリックして作業面を変更することができる。 ■ビュー画面(作業ウインドウの表示方向)  ビューは上下前後左右の6方向と3Dビュー(アイソメとホーム)で計8方向が標準で決まっている方向である。どのビューからもマウスの操作で、拡大縮小、移動、回転ができるので、いつでも任意の3Dビューに移動して自由な角度から見ることができる。  ビュー選択のアイコンをクリックすることで、標準の方向に戻ることができる。数字キーの0~6とHomeキーでも戻ることができる。 どのビューで作業中かは右上のナビゲーションキューブで確認できる。  ビューを駆使することで立体的な形状を把握できる他に、オブジェクトが見える方向にビューを切り替えて、オブジェクトの選択編集が容易になるというメリットがある。 ■作業平面(working plane)  FreeCAD v.0.20から、全体表示(全体にフィットv,f)に変更があり、これまでグリッドを含めて全体表示していたものが、オブジェクトだけを対象にするようになった。 したがって、新規作成時にグリッドが表示されていても、全体表示またはHomeビューでグリッド全体を見ることができなくなった。 マウスの中ボタンで

画面と基本的な設定 BIMワークベンチの導入

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 FreeCAD画面と、単位、グリッド等の基本条件の設定などについて確認しておく。ただし、一度設定してしまえば終わりで、FreeCADを知っている人には全く必要がない。 ■初期画面の構成  ソフトのインストール方法。用語の説明はネットで検索すれば出ている。ホームページからダウンロードしたファイルを実行するだけでインストールできるので特別なことはない。今後の説明のため、画面要素だけは説明しておく。  ソフトをFreeCADのホームページからダウンロードし、インストールして起動し、新規作成をクリックすると作業画面に切り替わる。 ・一番上に メニューバー :プルダウンメニューでツールを選ぶことも可能。 ツールバーのアイコンに出ていないツールがあり、キーボードショートカットもわかるので、意外と使い道がある。 ・アイコンが並んでいる部分が ツールバー :ツールの選択、現在の状態の確認。 アイコンに中に初期状態で[ start ▽]とあるウインドウが ワークベンチ (ワークベンチセレクター) である。  FreeCADはワークベンチというツール群を切替えながら操作するCADである。一般のCADではツールバーにすべてのツールが並んでいるものが多いが、FreeCADでは使いたいツールのあるワークベンチに切り替えて操作することになっている。  インストールしたときは、Startワークベンチになっているので、ここでは画面の切替え以外には何もできない。ワークベンチセレクターの部分をクリックして、使用するワークベンチに移動する必要がある。 ・建築モデリングで使用するワークベンチは次のようなものがある。  Arch、 Draft、 TechDraw、 Part、 Part Design、 Sketcher  BIMワークベンチは、0.19の標準では入っていないので、管理> アドオンマネージャーを使ってインストールが必要である。  DraftとSketcherはどちらも2次元作図ワークベンチである。BIMやArch、PartDesignでも2次元形状を作図できるので、どれを使うかは使う人にまかされている。 (各ワークベンチに共通しているツールも多数ある。)  Sketcherは特殊なワークベンチで、2次元作図ツールのように見えるが実際は、拘束という条件を使って2Dのオブジェクトを作るためのツー

はじめに FreeCADでBIMはできるのか(2022/8/8追記)

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2022/8/8更新  無料でBIMを使えるソフトを探してここまでたどり着いた人は、BIMに興味があり、多少はBIMについての情報も知っていて、試してみたいと思っているのではないでしょうか。  FreeCADは オープンソースの3DCADで、その中に BIMワークベンチ というBIMソフトと同等の機能を持つツール群があります。  BIMといっても、その活用範囲は設計業務から、施工、メンテナンスまで含みます。FreeCADは開発途上のソフトであり、市販のBIMソフトと全く同じ機能や操作方法が使えるわけではありませんが、他のソフトにはないメリットもあります。  BIMのデータは複雑なので、他のソフトの互換ソフトとしてFreeCADのBIMワークベンチを使うということはできません。それでも、FreeCADの特徴を知って使い始めることで、BIMや3DCADの考え方やモデリング方法を理解すれば、BIMを使いこなせるようになることにつながります。  BIMの活用にはいくつかの段階があります。 1)最も初歩的な段階は、BIMモデリング方法で建築物のモデルを作成することです。 2)次は、モデルを基にして2D図面を作成し、変更に連動して変形できるようにすることで、整合性のあるデータを作成することです。 3)建築モデルを使って、設計の各段階でのチェックや、プレゼンに使うことができるようになります。 4)構造や設備設計との連携で系統間のデータの整合性を維持します。 5)積算や施工計画とつなげることで、工事費や工期の算定に利用できます。 以上が設計段階での活用です 6)さらに施工現場での施工図や、変更の修正などの活用も考えられます。 7)将来的には、建物完成後のメンテナンス管理まで含めてデータ化して一元管理することも目指しています。 1)の建築モデルはFreeCADで作成可能です。  BIMモデリングで、建築オブジェクトを作成し、構造体別、建具、階段等で分類された属性データ含むデータを構築できます。  どのBIMソフトでも、部品を配置してモデリングする考え方は同じですが、ソフトが違えば、当然、設定や操作方法は違ってきます。 IFCというBIM共通フォーマットで読み書きすることができるので、他のソフトとの間で形状や基本的な属性の移動はできますが、詳細な属性データは各ソフトごとにデータ構造が違

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