ビューと作業平面は3DCADの初歩
モデリング作業の前にビュー画面の移動と、作業平面についてまとめておく。
以下の説明は、Arch(BIM)またはDraftワークベンチで操作して確認する。
また、メニュー>編集>設定>Draftのグリッドとスナップタブのグリッドの表示関係をすべてONにして、グリッド間隔を100にする。
FreeCAD v.0.20からオプションに変更があり、□Show human figureという項目ができた。
BIMワークベンチでグリッド端に表示されていた人物の形状を非表示にできるようになった。
一般的に3DCADにはモデリングを助けるためにビュー画面と作業平面という概念がある。ビューとは、モデルをどちらから見るかを決める機能、作業平面とは2次元の図形の作図編集をする面を決める機能と考えてよい。
FreeCADでは、ビューと作業平面に上面図、正面図、側面図のように同じ表現が使われているので間違いやすいが、この2つは全く別のものである。
ビューはツールバーの中にあるビュー切替えのアイコンで制御する。作業平面もツールバーの中に表示されているので、この部分をクリックして作業面を変更することができる。
■ビュー画面(作業ウインドウの表示方向)
ビューは上下前後左右の6方向と3Dビュー(アイソメとホーム)で計8方向が標準で決まっている方向である。どのビューからもマウスの操作で、拡大縮小、移動、回転ができるので、いつでも任意の3Dビューに移動して自由な角度から見ることができる。
ビュー選択のアイコンをクリックすることで、標準の方向に戻ることができる。数字キーの0~6とHomeキーでも戻ることができる。
どのビューで作業中かは右上のナビゲーションキューブで確認できる。
ビューを駆使することで立体的な形状を把握できる他に、オブジェクトが見える方向にビューを切り替えて、オブジェクトの選択編集が容易になるというメリットがある。
■作業平面(working plane)
FreeCAD v.0.20から、全体表示(全体にフィットv,f)に変更があり、これまでグリッドを含めて全体表示していたものが、オブジェクトだけを対象にするようになった。
したがって、新規作成時にグリッドが表示されていても、全体表示またはHomeビューでグリッド全体を見ることができなくなった。
マウスの中ボタンでスクロールして、グリッド全体が表示されるように調整する。
3次元空間の中に作業平面という2次元の作業をする面を決めることで、想定外のところに線を引くことがないように制御している。逆にいうと、2次元の作図や2次元平面での移動などの編集作業は、作業平面上でしかできないことになる。
ただし、working planeスナップをONにしておかないと、グリッド面の前後に図形があると、見えているポイントを選択してしまうこともあるので、3DCADに慣れるまでは、正しいポイントに作図しているか常に確認する必要がある。
作業平面については、上面(XY)、前面(正面 XZ)、側面(サイド YZ)のほかに、ビュー方向へ調整(Custom)と自動(Auto)がある。
FreeCADでは、Autoにしておくと、どこかの面で作業をすると、自動的に作業平面がその面に移動するようになっている。機械部品のように基の形を加工しながらモデルを作り上げていく場合は、これは便利な仕様であると思う。
しかし、建築のモデリングのように、何もない場所に線を引いたり、ものを移動したりする場合には、作業平面が勝手に移動するのは必ずしも便利とはいえない。
建築では平面図作業が多いので、上面に固定したいときもあるが、作業平面の固定という機能はない。
Customは、アイコンの表示が0.19では「色の編集」となっているので、何のことかわからないが、「ビュー方向へ調整」が正しい機能で、その時画面に見えている形はそのままで、グリッドが真っすぐに表示される。(視線方向に垂直な面が作業平面になる)
これもv.0.20で「カスタム設定」という表示に修正された。
■作業平面を手動で移動する
作業中に任意の平面を作業平面にしたい場合がある。その時には作業ビューで移動したい平面をクリックして選択した後で、ツールバーの中の作業平面のアイコンをクリックすると、選択している面に作業平面が移動する。(グリッドが表示される)
標準の位置に戻したいときは、面を選択しない状態で、作業平面のアイコンをクリックして、メニューから作業平面を選べばよい。
■ビューと作業平面の操作練習
上記のことを踏まえたうえで、ビューと作業平面の関係を確認してみる。
まず、初期画面の3Dビューから始める。(初期画面はHomeであるがアイソメでもよい)
ビューを移動してグリッドが上面図(XY平面)にある場合のグリッドの見え方を確認する。
3Dビューで斜めのものが、上面図では真っすぐになる。前面、側面ではグリッドは直線状になり面は見えない。(作業平面は動かしていないので、Autoのままである)
次に、3Dビューに戻って、作業平面がAutoになっていることを確認してから、Lineツールをクリックすると、ビューがグリッドを真っすぐに見た画面に変わる。
この状態で、グリッド上に線を引く。(作業平面はAutoのままで変わっていない)
ビューを移動しながらグリッドの見え方を確認する。
どのビューでもグリッドが斜めに見えている。線はグリッド上にあるように見える。
グリッドの見え方が違うということは、作業平面が初期状態と違っていることになる。実は、Lineツールを選択してグリッド表示が変わったときに、作業平面が3Dビューを見ている方向と垂直な面に移動している。
3Dビューに戻して、作業平面を上面(XY)に変更する。
ビューを移動しながら、グリッドと線の関係を見ると、グリッドは初期状態の時と同じ見え方をしているが、線はグリッドから離れていることがわかる。
このように作業平面が自動で動くとグリッド上に引いたと思っている線が、まったく違う場所にできていることがある。これを避けるためには、作業面を把握しておく必要がある。
新規作成をクリックして新しい図面を開き、初期状態の画面を出す。
作業面を上面(XY)に変更する。
この状態でLineツールを選択しても、グリッドの表示は変わらない。この3Dビューのままでグリッド上に線を引く。
ビューを移動しながら、グリッドと線の見え方を確認すると、グリッドの見え方は初期状態と同じであり、線もグリッドから離れていないことがわかる。
このように、作業面を固定してから作図すれば、3Dビューでも作業中に作業平面が動くことはないので想定外の場所に作図することはなくなる。
追記
建築でよく使うSketchUpという3Dソフトには、作業平面という概念がない。各方向からのビューはあるが基本的に3Dビューでモデリングを行うので、常にナビゲーションのラインが表示されていて、マウスの位置が他の図形やXYZ軸に対してどの位置にあるのかわかるようになっている。
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