ビューと作業平面は3DCADの初歩(2024/11/23改訂)

 モデリング作業の前にビュー画面の移動と、作業平面についてまとめておく。

 一般的に3DCADにはモデリングを助けるためにビュー画面と作業平面という概念がある。ビューとは、モデルをどちらから見るかを決める機能、作業平面とはモデル(図形)の作図編集をする2次元の面を決める機能と考えてよい。

 FreeCADでは、ビューと作業平面に上面図、正面図、側面図のように同じ表現が使われているので間違いやすいが、この2つは全く別のものである。

ビューはツールバーの中にあるビュー切替えのアイコンで制御する。作業平面もツールバーの中に表示されているので、この部分をクリックして作業面を変更することができる。


■ビュー画面(作業ウインドウの表示方向)
 ビューは前後上下左右の6方向と3Dビュー(アイソメとホーム)で計8方向が標準で決まっている方向である。どのビューからもマウスの操作で、拡大縮小、移動、回転ができるので、いつでも任意の3Dビューに移動して自由な角度から見ることができる。
 ビュー選択のアイコンをクリックすることで、標準の方向に戻ることができる。数字キーの0~6とHomeキーでも移動することができる。

 ビューの状態は右上のナビゲーションキューブで確認できる。

 ビューを駆使することで立体的な形状を把握できる他に、オブジェクトが見える方向にビューを切り替えて、オブジェクトの選択編集が容易になるというメリットがある。

■作業平面(working plane)
 FreeCAD v.0.20から、全体表示(全体にフィットv,f)に変更があり、これまでグリッドを含めて全体表示していたものが、オブジェクトだけを対象にするようになった。
したがって、新規作成時にグリッドの一部が表示されていても、全体表示またはHomeビューでグリッド全体を見ることができなくなった。
マウスの中ボタンでスクロールして、グリッド全体が表示されるように調整する。

 FreeCADでいう作業平面(working plane)とはグリッドが見えている平面である。
 3次元空間の中に作業平面という2次元の作業をする面を決めることで、想定外のところに線を引くことがないように制御している。逆にいうと、2次元の作図や2次元平面での移動などの編集作業は、作業平面上でしかできないようにすることができる。

作業平面への拘束は、WP(working plane)スナップでON/OFFすることができる。

 working planeスナップをONにしておかないと、グリッド面の前後に図形があると、グリッド面の外のポイントを選択してしまうこともあるので、3DCADに慣れるまでは、正しいポイントに作図しているか常に確認する必要がある。

 作業平面については、上面(XY)、前面(正面 XZ)、側面(サイド YZ)のほかに、ビュー方向へ調整(Custom)と自動(Auto)がある。

 DraftワークベンチやBIMワークベンチでは、ツールバーの中に表示されている  (v1.0.0では 自動となっているWP(working  plane)セレクターをクリックして作業面を変更することができる。

 Customはモデルの面に作業平面を移動したときに表示される。

 FreeCADでは、作業平面をAutoにすると、その時のビューの視線方向に垂直な面に作業平面を移動してグリッドをまっすぐに表示する。
 その後でビューを移動回転してもグリッド(作業平面)は移動しないが、どこかの面で作業をすると、自動的に作業平面がその面に移動するようになっている。機械部品のように基の形を加工しながらモデルを作り上げていく場合は、これは便利な仕様であると思う。
 しかし、建築のモデリングのように、何もない場所に線を引いたり、ものを移動したりする場合には、作業平面が勝手に移動するのは必ずしも便利とはいえない。

 建築では平面図作業が多いので、上面に固定したいときもある。上面で作業するには、作業平面を上面にしてworking planeスナップをONにしておけば、作業ウインドウでクリックした点が作業平面上の点になる。


■作業平面を手動で移動する
 モデリング中に標準以外の任意の平面を作業平面にしたい場合がある。その時には作業ウインドウで移動したい平面をクリックして選択した後で、ツールバーの中のWPセレクターをクリックすると、選択している面に作業平面が移動する。
(面の上にグリッドが表示され、作業平面がCustomになる。)

 標準の位置に戻すには、面を選択しない状態で、WPセレクターをクリックしてメニューから作業平面を選べばよい。



ここからの説明は、Arch(BIM)またはDraftワークベンチで操作して確認する。

また、グリッド脇の人物表示が大きい場合は、メニュー>編集>設定>Draftのグリッドとスナップタブのグリッドの表示関係をすべてONにして、グリッド間隔を100にする。

FreeCAD v.0.20からオプションに、□Show human figureという項目ができて、BIMワークベンチでグリッド端に表示されていた人物の形状を非表示にできるようになった。)


FreeCAD v1.0.0が公開されて、初期画面や作業平面(working  plane)の動作が少し変更になったので、作業平面についての説明を改訂する。(2024/11/23)

■ビューと作業平面の操作練習
 上記のことを踏まえた上で、ビューと作業平面の関係を確認してみる。

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FreeCAD v1.0.0が公開され、初期画面が変更になったため、これまでの説明と画面表示が異なることがある。

v1.0.0では初期画面で作業平面はAuto、グリッドは真っすぐに見た状態になっている。
(下記の説明でLineツールをクリックした状態である。)

 線を作図してマウスでビューを回転してグリッドを傾けてから、WPセレクターでAutoをクリックすると、線の表示はそのままでグリッドがまっすくの位置に移動するので、Autoにすると自動的にグリッドが視線方向に垂直な位置に移動することを確認することができる。

Autoの動作が確認できたら、ファイル>新規で初期画面に戻る。
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v1.0.0で、v0.21以前の初期状態をつくる。
作業平面はAuto(自動)のままで、「2」キーを押して、上面ビューに移動する。
WPセレクターのAuto(自動)をクリックすると、グリッドがXY平面で真っすぐになる。
「Home」キーを押して、Homeビューに移動すると、グリッドは斜めから見たような状態になる。
(この状態が、v0.21以前の初期画面である。)

まず、初期画面の3Dビューから始める。(初期画面はHomeであるがアイソメでもよい)

ビューを移動してグリッドが上面図(XY平面)にある場合のグリッドの見え方を確認する。
3Dビューで斜めのものが、上面図では真っすぐになる。前面、側面ではグリッドは直線状になり面は見えない。(作業平面は動かしていないので、Autoのままである)


次に、「Home」キーを押して3Dビューに戻って、作業平面がAutoになっていることを確認してから、Lineツールをクリックすると、ビューがグリッドを真っすぐに見た画面に変わる。
(この状態がv1.0.0の初期画面である。)

この状態で、グリッド上に線を引く。(作業平面はAutoのままで変わっていない)

ビューを移動しながらグリッドの見え方を確認する。
どのビューでもグリッドが斜めに見えている。線はグリッド上にあるように見える。

グリッドの見え方が違うということは、作業平面が初期状態と違っていることになる。実は、Lineツールを選択してグリッド表示が変わったときに、作業平面が3Dビューを見ている方向と垂直な面に移動している。

3Dビューに戻して、作業平面を上面(XY)に変更する。
ビューを移動しながら、グリッドと線の関係を見ると、グリッドは初期状態の時と同じ見え方をしているが、線はグリッドから離れていることがわかる。


このように作業平面が自動で動くとグリッド上に引いたと思っている線が、まったく違う場所にできていることがある。これを避けるためには、作業平面を把握しておく必要がある。


新規作成をクリックして新しい図面を開き、初期状態の画面を出す。
作業平面を上面(XY)に変更する。

この状態でLineツールを選択しても、グリッドの表示は変わらない。この3Dビューのままでグリッド上に線を引く。

ビューを移動しながら、グリッドと線の見え方を確認すると、グリッドの見え方は初期状態と同じであり、線もグリッドから離れていないことがわかる。


このように、作業面を決定してから作図すれば、3Dビューでも作業中に作業平面が動くことはないので想定外の場所に作図することはなくなる。

FreeCADでは、初期状態では作業平面がAutoになっているので、そのまま作図を始めてしまうと、XYZ座標系に対して傾いたモデルや方向がバラバラのモデルを作成してしまう。
傾いたモデルを作成すると、3Dツールで編集するときに、正しく変形できないことがある。

DraftワークベンチやBIMワークベンチでモデルを作成する時は、最初に必ず作業平面を決定してから操作を始める。

partワークベンチやPartDesignワークベンチには、WPセレクターがないので、作業平面を操作することはない。
作業平面はAutoになっていて、ツールの操作をすると必要な面に自動的に作業平面が移動する。
モデリングは、XY平面上に配置されるプリミティブ(基本形状)を合成するか、Sketcher(作業平面を決めてから作図する)でベースオブジェクトを作成して加工するので、座標軸との関係が維持されている。


追記
 建築でよく使うSketchUpという3Dソフトには、作業平面という概念がない。各方向からのビューはあるが基本的に3Dビューでモデリングを行うので、常にナビゲーションのラインが表示されていて、マウスの位置が他の図形やXYZ軸に対してどの位置にあるのかわかるようになっている。

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