TechDrawワークベンチの使い方(3)TechDrawの寸法ツール

TechDrawワークベンチの寸法ツールで図面に寸法を記入する方法について検討する。

FreeCADは製図用のCADではないので詳細な図面の編集には適していないが、FreeCADだけでもある程度の図面表現がでいるように、基本的な作図機能はある。



■TechDrawワークベンチの寸法関連ツール
BIMワークベンチにも簡単な寸法作成ツールはあるが、TechDrawワークベンチには図面作成に必要な寸法や注釈ツールが含まれている。
v0.20以降にいろいろな機能が追加されているので、技術ドキュメントのオンラインヘルプ>TechDrawワークベンチを確認するとよい。

 :寸法カテゴリは、長さや角度の計測、機械設計に必要な特別な寸法の挿入

 :複合寸法カテゴリは、一括寸法や面取り寸法の挿入、接頭語、桁数の調整

 :注釈カテゴリは、テキストや引出線、ポイントや中心線、作図シンボルの挿入

 :装飾カテゴリは、ハッチング、シンボル、イメージの挿入

 :属性と変更カテゴリは、線属性の変更、寸法位置合わせ、円と円弧の計測  

 :中心線カテゴリは、円の中心線、平行線、垂直線を追加

 :エクスポートは、ページをSVGまたはDXFで書出し


寸法を計測するには、先に基準になるオブジェクトを選択して寸法ツールをクリックする。
寸法作成に指定できるオブジェクトは、次のようなパターンがある。
・2点      (最も確実な基準点の指定方法)
・単一の直線   (線の長さ、画面上で直線表示でも、モデルで曲線の場合は不可)
・2つの平行な直線(2線間の距離を計測)
・点と直線    (直線までの鉛直方向の距離)
・複数の点    (2以上複数の点を選択して、寸法をまとめて作成)

複数の点や線を選択するときは、Ctrlキーを押しながら操作する。
作成した寸法は文字をドラッグして移動することができる。
文字の位置合わせのツールもある。


■寸法プロパティを修正する
作成した寸法をダブルクリックするとオプションが開くので、プロパティを変更できる。
(ビュータブやデータタブのプロパティでも変更できるが、オプションは必要な項目が整理されているのでわかりやすい。)

最初に、編集メニュー>設定>TechDrawの寸法タブで文字サイズを設定しておけば、寸法作成時に修正しなくてもよい。
(寸法のデフォルトは10mmになっているので、3mm程度にしておけば極端に大きな文字になることはない。)
ほとんどのプロパティは標準設定で設定できる。


■寸法記入練習の準備
以前の記事「建築 3DBIMモデルから2D図面を作成する」では、BIMワークベンチの寸法ツールで寸法を作成したが、複雑な寸法を記入するのには適していない。

図面として活用するには、TechDrawワークベンチで寸法や注釈を編集する必要がある。


まず、基本的な図形でモデルとの関係と、寸法の基本的な操作方法を確認する。

FreeCADを起動し、Partワークベンチに移動する。

プリミティブツールをクリックして、立方体、円柱、トーラスを作成する。

円柱のプロパティでHeightを20に変更する。



3Dビューで[Home]、[1]キーを押して、正面ビューに移動する。









TechDrawワークベンチに移動する。
テンプレートでページを挿入ツールをクリックして、テンプレートA4_Landscape_ISO7200_Pepを選択し、Pageを作成する。

PageのScaleプロパティを2.000に変更する。








モデルタブで立方体からトーラスをまとめて選択し、投影グルーブの挿入ツールをクリックする。
オプションで副投影の右側(左側面Left)と下側(上面Top)をチェックしOKで戻る。

ProjGroupができる。

正面図をドラッグすると、グループの図形をまとめてドラッグできるので、適当な位置に移動する。




 





■寸法の基準点を作成する
寸法を記入する前に、正面図や側面図では、図形の中心点が表示されていないので、中心点や中心線を作成する。
(操作がわかりやすいように最初に作成するが、実際の寸法記入の操作では必要になった時に作成すればよい。)

正面図で円柱の上部の直線を選択し、中点を追加ツールをクリックする。





線の中央に、ポイント(黒丸)が作成される。

側面図の円柱側面の線を選択し、2つの線の間に中心線を追加ツールをクリックする。


円柱に中心の縦線が表示される。




■寸法ツールの使い方

1)点と点で寸法を指定する
正面図で、トーラスの左側の点と円柱の中心点を選択して、水平寸法ツールをクリックする。


2)寸法をドラッグする
水平寸法が作成される。
寸法を選択して(緑色表示になる)、寸法の文字をドラッグすれば寸法位置を移動できる。


寸法を上部に移動する。
補助線は、自動的に調整される。

中心点とトーラス右側の点も選択し、同様にして水平寸法を記入する。


寸法をドラッグして左側の寸法位置にに合わせる。






3)複数の点を選択して寸法を作成する
トーラスの左側の点、円柱の左の点、中心点、円柱右側の点、立方体右側の点の順に選択し、水平チェーン寸法ツールをクリックする。


指定箇所の寸法がまとめて作成される。
作成した寸法をまとめて選択し(緑表示)、どれかの文字をドラッグすると、まとめて移動することができる。



最初の寸法の下側に配置する。






4)線と線で寸法を指定する
左側面図で、立方体左側の線と、円柱中心線を選択して、水平寸法ツールをクリックする。



5)寸法位置を合わせる
寸法ができたら選択を解除し、先に作成した10の寸法と今回の寸法をまとめて選択して、
水平チェーン寸法を配置ツールをクリックする。



最初に指定した寸法位置に、寸法位置を合わせることができる。





6)線と点で寸法を指定する
中心線とトーラス右側の点を選択して、水平寸法ツールをクリックする。




左側の10の寸法と、今回の寸法をまとめて選択して、水平チェーン寸法を配置ツールをクリックして位置を合わせる。





7)直線の長さを直接計測する
立方体の上の辺を選択して、水平寸法ツールをクリックする。




寸法ができたら、続けて円柱の上の辺を選択して、水平寸法ツールをクリックする。





8)複数寸法を位置合わせする
右の図の8の寸法と、今回作成した2つの寸法をまとめて選択して、水平チェーン寸法を配置ツールをクリックして位置を合わせる。


複数の寸法でも、まとめて位置合わせすることができる。





最後に、円柱右の線とトーラス右の線を選択して、水平寸法ツールをクリックする。





4の寸法と新しい寸法を選択して、水平チェーン寸法を配置ツールをクリックして位置を合わせる。

寸法が垂直方向や斜め方向でも、同様の操作ができる。




■建築平面図の寸法記入
前回の記事で作成した、2階の平面図(Section-002)に寸法を記入する。

通り芯のラインがないので、柱の部分に中心線を作成する。

左上柱の上辺の左右の2点をを選択し、
2点間の中心線ツールをクリックする。



オプションが表示されるが、方向は2点間で決定しているので、そのままOKをクリックする。
OKで戻ると、左上柱に縦の中心線ができる。

右上柱の上辺の左右の2点を選択し、
2点間の中心線ツールをクリックして、縦中心線を作成する。






同様にして、左上柱の横中心線、左下柱の横中心線を作成する。











各方向の柱中心線ができたので、壁芯ラインも作成する。

中央の間仕切り壁の左右の線を選択し、
2線間の中心線ツールをクリックして、壁芯ラインを作成する。






廊下側の壁の上下の線を選択し、
2線間の中心線ツールをクリックして、壁芯ラインを作成する。








上の左右の柱中心線を選択し、水平寸法ツールをクリックする。

寸法を上方向にドラッグして移動する。










左柱の中心線と間仕切り壁の壁芯を選択し、
水平寸法ツールをクリックする。










右柱の中心線と間仕切り壁の壁芯を選択し、
水平寸法ツールをクリックする。












作成した2つの寸法をまとめて選択し、寸法文字をドラッグして7200の下に移動する。










左側の上下の柱の中心線を選択し、
垂直寸法ツールをクリックする。

寸法を左方向にドラッグして移動する。









下側の柱中心線と、ベランダ外側の線を選択し、垂直寸法ツールをクリックする。










10300の寸法と作成した寸法をまとめて選択し、垂直チェーン寸法を配置ツールをクリックして、寸法位置を合わせる。











左上柱の中心線と、廊下仕切り壁の壁芯を選択して、垂直寸法ツールをクリックして、寸法を作成する。

さらに、廊下仕切り壁の壁芯と左下柱の中心線を選択して、垂直寸法ツールをクリックして、寸法を作成する。







作成した寸法をまとめて、右にドラッグして移動する。













階段部分を一括記入するために、柱の中心点を作成する。
左上柱の左面の線を選択して、中点を追加ツールをクリックして、中点を作成する。

左下柱の左面についても同様にして中点を作成する。







作成した上下の柱の中点と、階段のコーナーの点をまとめて選択して、垂直チェーン寸法を追加ツールをクリックする。









作成した寸法をまとめて選択して、ドラッグして10300の右に移動する。











階段左側の線と、左上柱の中心線を選択して、
水平寸法ツールをクリックして、寸法を作成する。

水平チェーン寸法を配置ツールを使って、寸法を3600の位置に合わせる。







寸法記入が完了したら、ビューフレームのオンオフツールをクリックする。

Viewオブジェクトの点線枠や名称、線の端点の黒丸表示を非表示にすることができる。

端点の黒丸表示を非表示にすると、点を使った寸法記入はできなくなるが、線を選択することはできるので、線を基準にした寸法記入は可能である。



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