09.4建築のための TechDrawワークベンチ
FreeCADにはモデルを2D図面に変換するために、TechDrawワークベンチがある。(他にDrawingワークベンチがあるが、TechDrawに移行する方向である。)
技術ドキュメントによれば、TechDrawワークベンチで図面を作成するフローは次のようになっている。
1. ページを作成し、ビューを挿入する。
2. ビューのプロパティを調整し、図面をレイアウトする。
3. 寸法を記入し、ハッチング、画像等の情報を追加する。
4. 図面のタイトル、フォーマットを調整する。
5. 図面を保存、エクスポートする。
TechDrawワークベンチは2D作図ツールではないので、作図機能はない。しかも、2D作図ツールであるDraftワークベンチの作図ツールは、TechDrawのページ上に作図することはできない。
TechDrawは、3Dモデルを三面図のような図面に変換し、レイアウトして断面図や透視図を追加したり寸法注釈を記入して、図面をまとめるための機能を提供している。
FreeCADは2D製図用のCADではないので、詳細な設計図が必要な場合は、データをエクスポートして製図専用の2DCADで図面を作成することが推奨されている。
建築図面の場合は、三面図よりも平面図や断面図のようなモデルの切断面の図が必要になるので、BIMワークベンチにある断面オブジェクト作成ツールにより切断面を作成する。切断面ができたらTechDrawワークベンチでレイアウトして図面を作成する。
(建築の平面図、断面図の作成方法については別の記事で説明する。)
TechDrawのツールについて、概要を確認する。建築図面を作成するために必要な機能の動作確認をしているので、必要のないものについては説明できない項目もある。
BIMワークベンチに含まれるツール
断面オブジェクト作成:切断面を作成し、断面オブジェクトを作成する。
断面オブジェクトは、平面図、断面図、立面図などの2Dビューとしてページに挿入できる。
切断方向と位置、切断対象のオブジェクトを設定できるので、いろいろな断面図が作成できる。
基本的な使い方は、オブジェクトを選択してから、ツールをクリックすると作業平面と平行に切断面ができる。オブジェクトを選択していないとXY平面に切断面ができるので、プロパティを調整して位置や方向を変更することが必要になる。
ページ:テンプレートを選択して、新しいTechDrawページを作成する。
ビュー:選択した断面のビューをページに挿入する。
TechDrawワークベンチの 「Arch Workbenchオブジェクトの挿入」と同じ。
断面オブジェクトを作成しただけでは、ページに挿入されない。断面オブジェクトを選択し、ページにビューとして挿入するためにこのツールを使う。
ページツール: ページの新規作成と更新
ページツール: ページの新規作成と更新
(TechDrawでは、図形を並べる用紙をページと呼んでいる。3Dモデルを投影してできるそれぞれの図形がビューである。)
デフォルトページの挿入:デフォルトを使用して新しいページを作成する。
デフォルトのテンプレートでページを自動生成する。テンプレートを選択してからページを作成したい場合は、下の「テンプレートを使用してページを挿入」を使う。
BIMワークベンチの「ページ」と同じ。
ページの再描画:選択したページを強制的に更新する。
ビュー: ページにビューを挿入
ビュー: ページにビューを挿入
ビューの挿入は、データ量が大きくなると、意外に時間がかかる。小さなデータで正しく
機能しているか試してみることも必要である。
特に建築物のデータは下の「ビューの挿入」を使うと、Scaleが合わないので用紙から外れていることが多く、待っても画面に表示されないこともあるので、画面を縮小してみることも試した方がよい。
ビューの挿入:オブジェクトを2D平面に投影してビューを挿入する。
作業ビューの視線方向で、選択したオブジェクトを2D平面に投影する。TechDrawのビューは選択したオブジェクトを使ってビューを作成するので、作図画面の作業ビューの表示非表示とはリンクしていない。
(作業ビューで非表示のものでも、TechDrawのビューに表示することができる。)
アクティブビューの挿入:アクティブな3Dビューのビューを挿入する。
ページ内のビューを選択して、ページにコピーする機能のように見えるが、どのような場合に使うのか不明。
投影グループの挿入:ダイアログを呼び出して、複数の方向からビューを作成する。
作業ビューを投影してビューを挿入することは、「ビューの挿入」と同じ。オプションで三面図、透視図を追加することができる。
インサートセクションビュー:既存のビューの断面図を挿入する。
ページ上のビューを選択し、ビューに表示しているオブジェクトの断面ビューを作成する。
詳細ビューの挿入:既存のビューの一部を詳細ビューとして挿入する。
選択したビューの部分を、別のビューとして抽出し拡大縮小ができる。
Draft Workbenchオブジェクトの挿入:選択したDraftオブジェクトをビューとして挿入する。
Arch Workbenchオブジェクトの挿入:
BIMで作った断面オブジェクトをビューとして挿入する。
断面ビューを選択し、このツールをクリックすることで、ページにビューが挿入される。
スプレッドシートビューの挿入:スプレッドシートワークベンチシートのビューを挿入する。
クリップ: クリップグループ(枠)の作成と、対象の追加除外の機能がある。
クリップグループに追加されていないビューはクリップの対象にならない。
(クリップとは、画像処理ソフトのトリミングのような機能)
クリップグループをページに挿入:
クリップグループにビューを追加:ビューとグループを選択する。
クリップグループからビューを削除:
寸法: ページ上で、寸法を追記する。
クリップグループにビューを追加:ビューとグループを選択する。
クリップグループからビューを削除:
ビューを挿入すると、測定可能なポイントは、黒点で表示されているので、その点または、点を結ぶ線を選択し、寸法ツールをクリックすると寸法を記入することができる。
BIMで作成した断面オブジェクトのビューには黒点が表示されないので、ページ上で寸法を計測して記入することができない。
寸法関係のツールは以下のものがあるが、建築では使い方のわからないものもある。
直線寸法は、2点、1線、または2線に基づくことができる。
新しい長さ:長さの寸法を追加。
新しい水平:水平方向の長さの寸法を追加。
新しい垂直:垂直方向の長さの寸法を追加。
新しい半径:円または円弧に半径寸法を追加。
新しい直径:円または円弧に直径寸法を追加。
新しい角度:2つの直線エッジ間に角度寸法を追加。
新しいAngle3Pt:3つの頂点を使用して角度寸法を追加。
新しい水平範囲:水平範囲の寸法を追加。
新しい垂直範囲:垂直範囲のディメンションを追加。
新しいリンク:既存の寸法を3Dジオメトリにリンク。
新しいバルーン:ページに「バルーン」注釈を追加。
新しいランドマークディメンション:ランドマーク距離ディメンションを追加。
新しい長さ:長さの寸法を追加。
新しい水平:水平方向の長さの寸法を追加。
新しい垂直:垂直方向の長さの寸法を追加。
新しい半径:円または円弧に半径寸法を追加。
新しい直径:円または円弧に直径寸法を追加。
新しい角度:2つの直線エッジ間に角度寸法を追加。
新しいAngle3Pt:3つの頂点を使用して角度寸法を追加。
新しい水平範囲:水平範囲の寸法を追加。
新しい垂直範囲:垂直範囲のディメンションを追加。
新しいリンク:既存の寸法を3Dジオメトリにリンク。
新しいバルーン:ページに「バルーン」注釈を追加。
新しいランドマークディメンション:ランドマーク距離ディメンションを追加。
インポート・エクスポート: ページを他のアプリケーションにエクスポートする。
: エクスポート:現在のページをSVG、DXFファイルとして保存する。
装飾: ページにハッチングパターンを適用、画像の挿入。
ビューフレームとラベルのON/OFF。
画像ファイルを使用した面のハッチング 幾何学的ハッチングを面に適用
ビューを囲むフレームとラベルをオン/オフ
その他、注釈ツールは、テキストの追加編集、ビューレイアウトの補助機能などがあるので、必要なときは技術ドキュメントで検討してもらいたい。
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