07.3RC造BIMモデリング Sketcherと壁ツールでRC梁

 FreeCADのBIMワークベンチには柱作成ツールの他に梁作成ツールもある。Archワークベンチで構造体ツールであったものを、オプションのColumnと母屋材を初期値で固定し、二つに分けたものではないだろうか。


■梁作成ツールの制限
 構造体作成ツールでは、次の2つの手順が準備されている。
1.プリセットで断面を決めて、柱の場合は配置する1点を、梁の場合は始点と終点の2点を指定して部材を作成する。
(プリセットで作成した柱や梁は、パラメーターで部材のサイズを変更してもモデルに反映されない。プリセットの断面は固定されている。)

2.断面を作図し、これを押出して部材にする。
(壁作成ツールのように、Line(Wire)を構造体に変換する機能はない。)

どちらの方法でも構造体オブジェクト(BIMではColumnと母屋材という名前になる)が作成され、構造体の属性パラメーターが付与される。

 梁のパラメーターの項目は柱と同じように見える。軸システムのリンクを使えば梁を通り芯の交点に配置することもできるが、スパン長さに対応して梁の長さを自動的に変えることはできないので軸システムによる配置を梁に使うことはできない。

2022/12/1追記
以下の記事を書いた時には、梁と通り芯をリンクする方法が見つからなかったので、Sketcherでベースラインを作成し、壁ツールで梁形状を作成することにした。
しかし、BIM本来の使い方からすれば、梁は梁ツール(梁部品)で作成するべきである。

その後の検討で、軸システムを使って梁を配置する場合に規則性があることがわかったので、「Tips集【柱・梁ツール】任意の場所に複数の柱、梁を一括配置する」に記載した。
この方法を使えば梁も柱と同様に軸プロパティを使って配置し、通り芯の変更に伴って自動変形することができる。

また、スプレッドシートを使って通り芯距離を集計し、梁の位置と長さにリンクする方法でも同じように梁を自動変形することができる。

ただし、リンクを使って梁を自動変形する方法は操作が複雑で手間もかかるので、自動変形が必要ない場合は、梁の始点終点を指定して直接梁を作成する方が効率的である。

以下の操作では、スケッチを壁ツールで変換して梁の形状を作成することで自動変形できるモデルを作成しているが、梁ツールで作成した部材ではないので構造的には正しいデータになっていない。それぞれの線ごとに梁ツールで作成することが望ましい。



■壁ツールでRC梁を作成する。
梁はひとつづつ配置するか、またはいくつか作成しコピーを繰り返す方法があるが、通り芯を動かした場合などに自動的な形状変更ができないので今回のモデリングには問題がある。

しかし、壁作成ツールを使えばSketcherで作図したSketchを基に壁を立ち上げることができるので、壁ツールを梁作成に代用すれば、変形可能な梁が作成できる。

ただし、この方法では、梁は長方形断面しか作成できないので、鉄骨造の鋼材を使用する梁には適用できない。鉄骨造については梁は個別に作成し、同じ断面、長さの梁をクローンで複写してリンクする程度のことしか今は思いつかない。


梁位置図の考え方は次の通りとする。
1.梁の位置図は梁中心線と梁の長さがわかるように作図する。
2.梁は柱-柱間で作成すると部材が増えて拘束する手間が多くなるので、連続梁で作成する。
(部分的な変更は、一度消して最作図すればよい。)
3.梁の始点終点は通り芯とする。柱梁交差部は梁が柱を貫通するのでモデルとしては見苦しいが、モデリングの手間を簡略化することを優先する。
4.サイズやレベルの異なる構造体は別のSketchを作成する。Sketchで作成した構造体は一つのオブジェクトになるので、部分的に変更することができない。
(ひとつのSketchにはひとつの断面しか設定できない。)


■基礎梁
基礎梁を作成するために、作業平面をB1に移動する。
軸線とBSの柱を表示にする
作業ビューを上面に変更し、スケッチ作成ツールをクリックして、Sketcherに移動する。

Sketcherで外部形状にリンクをクリックして、図形の基準に使う線を決める。今回は各通り芯を指定する。

外部リンクできた線は赤色表示になる。

まず、標準的な基礎大梁400x2000の位置を作図する。通り芯との関係は拘束で決めるので、線の始点終点が通り芯の線にスナップできていればよい。

次に、それぞれの線と通り芯の関係を水平垂直距離拘束で固定する。
外壁面は通り芯から100ずれる。内部は通り芯と梁芯が同じなので0とする。

最初の梁ができたので、閉じるをクリックして、BIMに戻る。
次の梁を作成するために、スケッチ作成をクリックして、Sketcherに移動する。

次の梁は400x1800(レベルがFL-200)、図の右上部分に作成する。
外部リンクで通り芯を指定することは同じ。梁の位置を作図する。

梁の位置を水平垂直距離拘束で固定することも同じ。
外壁面は100、内部通り芯は0。

BIMに戻り、スケッチ作成をクリックしてSketcherに移動し、基礎小梁300x2000を作成する。
外部リンクで通り芯を指定、小梁位置を作図(AB間とBC間の水平方向に作図)。

小梁はスパン中心に配置したいが、寸法を均等配分する拘束がないので、通り芯端点の2点を選択し、梁芯の線を対称軸として対称拘束で線の位置を固定する。

BIMに戻り、スケッチ作成をクリックしてSketcherに移動し、基礎小梁300x1800 レベルFL-200を作成する。

外部リンクで通り芯を指定、小梁位置を作図(CD間の水平方向に作図)。
対称拘束で梁位置を固定する。

BIMに戻ると、Sketchができているので、Labelで梁寸法がわかる名前に変更する。

さらにSketchをまとめて選択し、壁作成ツールをクリックして、壁に変換する。

Sketchは壁に変換されたので、それぞれの壁を選択しながらLabelで壁符号を付ける。
さらにデータタブで幅と高さを梁寸法に変更する。

名前と形状の変更ができたら、梁をまとめて選択しplacementでレベルを2000下げる。

最後に、梁をまとめて選択し、ドラッグアンドドロップでレベルB1に移動する。



■1階の床梁
次は1階の床梁を作成する。
作業平面は1Fに移動する。
ビューは上面、軸線とB1の柱を表示、その他は非表示にする。
スケッチ作成をクリックしてSketcherに移動する。

水平方向の大梁400x600を作成する。
外部リンクで通り芯を指定する。
水平方向の大梁の位置を作図する。

梁の位置を垂直距離拘束で固定する。外壁面は100、通り芯と重なる部分は0。

BIMに戻り、スケッチ作成をクリックしてSketcherに移動する。
垂直方向の大梁400x600を作成する。
外部リンクで通り芯を指定、垂直方向の大梁の位置を作図する。
梁の位置を水平距離拘束で固定する。外壁面は100、通り芯と重なる部分は0。

BIMに戻り、スケッチ作成をクリックしてSketcherに移動する。
垂直方向の小梁300x500を作成する。
外部リンクで通り芯を指定、小梁の位置を作図する。
通り芯の端点と梁の線を使って対称拘束で梁位置を固定する。

BIMに戻ると、sketchができているので、Labelで梁のサイズのわかる名前に変更する。

sketchをまとめて選択し、壁作成ツールをクリックして壁オブジェクトに変換する。

壁オブジェクトの名前を梁符号に変更する。
データタブの幅と高さを梁の寸法に変更する。

G梁を選択し、梁高さ分だけレベルを下げて床レベルに合わせる。
placementで、600下げる。

同様にB梁を選択し、placementで500下げて床レベルに合わせる。

作成した梁をドラッグアンドドロップでレベル1Fに移動する。

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