Tips集【柱・梁ツール】任意の場所に複数の柱、梁を一括配置する

 柱の軸一括配置を検討しているときに、複数の柱、梁を任意の場所に一括配置する方法を発見したので紹介する。

 柱オブジェクトの軸プロパティに軸システムをリンクすると、通り芯の交点に柱を一括配置できることは技術ドキュメントにも出ている。軸システムを使わないで軸線セット(縦軸、横軸)をリンクすると、通り芯の交点ではなく軸線の起点位置に柱を配置する仕様になっている。


 そこで直線や多角形をリンクして試してみると、その方法でも柱を配置できることがわかった。
1)ドラフトポイント.svg点を作図して、Pointオブジェクトをリンクすると、Pointの場所に柱を配置する。
 複数の点はコンポーネントにまとめてリンクすることができる。
2)下書き線.svg線(Line、ドラフト Arc.svgArc、ドラフト BSpline.svgBSpline)は、始点と終点位置に柱を配置する。
3)ドラフトワイヤ.svg連続線(Wire)、ドラフトポリゴン.svg多角形(Polygon)は始点終点と各接続点に柱を配置する。
4)ドラフトサークル.svg円(Circle)は、円周上の基準点(中心から水平0度方向の円周上)に柱を配置する。

BIM列.svg柱を座標原点に作成し、柱オブジェクトの軸プロパティで点(Point)から円(Circle)まで順にリンクすると、各接点に柱が配置されることを確認できる。


他の図形と連携して変形させるためには、拘束を使ったSketchでベースオブジェクトを作図する必要があるので、Sketcherで作成したスケッチに配置できるか試してみる。

Sketcherで図形を作図し、座標原点に柱を作成して、柱の軸プロパティにSketchをリンクすると、図形の各接点に柱が配置される。

5)Sketcherで線をまとめると、複数の線上のポイントに柱を一括配置することができるが、点や、線の交点には配置できない。


この機能を使えば、柱の位置を線でつないだスケッチをSketcherで作成して、柱の一括配置が可能になる。


■柱の一括配置を検討する
前回のL型平面の検討で作成した図形を元に、柱の配置を検討する。

縦軸 4×8m、横軸 3×7mとする。
各通りをX1~X5通り、Y1~Y4通りと呼ぶことにする。
通り芯の右下交点を座標原点にする。


作業平面を上面、上面ビューにして、Sketch作成アイコンをクリックして、Sketcherに移動する。

通り芯をスケッチャー外部.svg外部リンクで赤表示に変える。

通り芯の交点が接点になるように、直線または連続線ツールで作図し、通り芯のラインに拘束する。

閉じるで戻り、BIM列.svg柱ツールをクリックして、長さ800、幅800、高さ3000として、座標原点に柱を配置する。






作成した柱の軸プロパティにSketchをリンクする。











Std Refresh.svg再計算アイコンが着色になるので、クリックすると、スケッチの各接点に柱が一括配置される。








建物が大きくなると、通り芯の交点が線の端点になるように作図するのは手間がかかるが、軸システムを分割しなくてもよいので、使い方によっては効率的なこともある。大きな範囲を軸システムで作成し、不規則な部分をベースオブジェクトで作成するのもひとつの方法である。


ColumnとSketchを非表示にして、梁の配置を検討する。

■梁配置の条件
すべての建築オブジェクト(BIMオブジェクト)には、軸プロパティがあるので、梁も一括配置できそうに見えるが、梁は長さ方向をX軸とするデータ構造になっているので、垂直方向の梁は、そのままリンクしても梁が回転してしまう。

座標原点に水平方向に梁を作図し、軸(縦軸)と軸001(横軸)にリンクする。
それぞれの軸の起点位置に梁が配置される。
座標原点に垂直方向に梁を作図し、軸(縦軸)と軸001(横軸)にリンクする。

梁を縦に作図したので、梁を配置するときは梁の長さ方向がXになる。
図からわかるように、軸を90度回転した位置に配置される。
したがって、配置用のベースオブジェクトを-90度回転してからリンクすれば、正しい位置に配置されることが予想できる。


梁をスパンごとに位置を決め、長さを設定すれば柱間に梁を配置することもできるが、操作の回数が多くなりモデリングには適していない。ここでは梁は建物の全長の連続梁として作成する方法を採用する。

■梁を一括配置する
梁位置を決めるベースオブジェクトをSketcherで作成する。

最初にX1-2通り縦軸2本分の直線を作図し、通り芯に線上拘束する。
Sketch001

X3-4-5通り3本分のラインを作図する。
X3-5通り間の梁の長さとしても使う。
Sketch002
X1-5まで全長の長さを示すラインを作図する。
Sketch003
Y1-2-3通り3本分のラインを作図する。
Y1-3通り間の梁の長さとしても使う。
Sketch004





Y1-4まで全幅の長さを示すラインを作図する。
Sketch005





Y4通りにひとつだけ梁を配置したいので、円を作図する。
中点をY4とX2通りとの交点に拘束、円周はX3通りと接線拘束として、円の基準点でX3通りとY4通りの交点を指定するポイントを作る。
Sketch006



作成したスケッチをまとめて選択して、ドラフトクローン.svgクローンを作成する。
作成したクローンをまとめて選択して、下書き回転.svg回転ツールで、-90度回転する。

 クローンを使わずに回転ツールの□コピーをONで直接回転すると、元のスケッチの軸線との拘束が解除されてしまうので、軸線に連携して自動変形しなくなる。
クローンにしてから回転すれば、元のスケッチの変形をクローンに反映できるので、自動変形が可能になる。

できたクローンをグループbase-90にまとめる。元のスケッチはグループbaseにまとめる。

元のスケッチと、回転したクローンができる。















スケッチのbaseグループを表示にして、BIMビーム.svg梁作成ツールをクリック、幅400、高さ800にして、座標原点に水平方向の梁を作成する。
長さはプロパティで設定するので、適当に3m程度の梁を作成しておく。

梁(母屋材)を選択して、コピー&ペーストで2回、梁を作成する。母屋材001、002
(実際には1回でよいが、元の梁がわかるように、変形用の梁を2つ作成した。)



母屋材001を選択し、軸プロパティをクリックすると、リンクオプションが表示される。

リストでカーソルを移動すると、作業ウインドウの該当する線が黄色表示になる。

まず、Sketch004をクリックし、OKで戻る。



軸プロパティにSketch005(Sketch004)がリンクされる。
再計算アイコンをクリックすると、梁が指定箇所に配置される。


梁の長さは、Toolプロパティで設定できる。
長さ方向の線をリンクすれば、梁の長さが線の長さに変わる。

Toolプロパティをクリックし、リンクオプションでSketch003を選択する。


ToolプロパティにSketch004(Sketch003)がリンクされる。
Std Refresh.svg再計算アイコンをクリックすると、梁が指定箇所に、指定の長さで配置される。

Y4通りの梁も同様にして、母屋材002の軸プロパティにSketch006、ToolプロパティにSketch002をリンクすると、梁が配置される。







縦方向の梁を作成するために、横の梁とbaseグループを非表示にし、base-90グループを表示する。

BIMビーム.svg梁作成ツールをクリックして、座標原点に垂直方向の梁を作成する。
長さはプロパティで設定するので、適当に3m程度の梁を作成しておく。

梁(母屋材)を選択して、コピー&ペーストで2回、梁を作成する。母屋材004、005



母屋材004を選択し、軸プロパティをクリックして、リンクオプションを表示する。

リストでカーソルを移動して、作業ウインドウの該当する線を見て、クローンSketch001(2D)を選択する。



軸プロパティに、Clone2D(Sketch001(2D))がリンクされる。
同様にして、Toolプロパティに、クローンSketch004(2D)をリンクする。

以上でX1とX2の梁が配置できる。
母屋材005の軸プロパティにクローンSketch002、ToolプロパティにクローンSketch005をリンクすると、梁が配置される。


base-90グループは非表示にする。
最初に作成したColumnを表示すると、柱梁ができる。





ここで、軸オブジェクトをダブルクリックしてオプションで、軸3の距離を5000に変更する。
軸001オブジェクトのオプションで、軸3の距離を5000に変更する。

軸の距離を変更すると、梁の位置と長さが自動的に変形する。


 軸オブジェクトの距離変更により柱や梁を自動変形させる方法は、練習06S造事務所で検討しているスプレッドシートと数式エディタでプロパティをリンクする方法が汎用性がある。
 ただし、操作が複雑なので間違いも起こりやすいので、ここで作成したようにベースラインを作成して一括配置する方が直感的に操作できる。

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