図面作成とモデリング(6)CAD図から建具の立体モデルを作成する(詳細図)

 CADで作成した建具の平面図、断面図を立体化してBIMモデルに組み込む方法を検討する。
 前回までに建具のCAD図をBIMモデルに貼り付ける方法を考えたが、図面を貼るだけでは自由な位置で切断して3Dモデルとして見るということはできないので、CADデータを立体化して3Dモデルに合成する。


BIMに読み込むためのCADデータは前回までに作成した図面を編集して作成する。

断面を押出しして合成したいので、CAD図から断面以外のラインを削除する。

SDは、枠、扉、額縁、コンクリート取り合い部分の形状を残す。

平面図と断面図をまとめて整理する。


AW(引違窓)も同様に、枠、引き戸、額縁、コンクリート取り合い部の形状を残す。











室内に使うWDも同様に、平面断面から不要な線を消して整理する。












建具の平面と断面をセットにして、使いたい建具の図をまとめる。

DXFデータで保存する。







■立体モデルを作る
FreeCADのBIMワークベンチに移動する。
WPセレクターで作業平面を上面に移動する。

メニューバーからファイル>インポートで作成したDXFファイルを開く。



モデルタブでは、図形はShapeとして読み込まれる。




Shift+Eキーを押して、範囲選択で左端のSD平面図を選択する。

モデルタブでは、該当するShapeがまとめて選択されている。
Shapeをまとめて選択した状態で、 コンパウンドを作成をクリックする。

Compoundができて、選択していたShapeが下層へ移動する。

Compoundを選択し、 Extrudeツールで、長さ順方向を1990にする。
ExtrudeができてCompoundが下層に移動する。
平面図が高さ方向に押出しされる。


ここでは断面をまとめてCompoundに変換しているが、ドアと枠などの部材別に長さを変えてモデリングしたいときには、別々にCompoundを作成する。







Shift+Eキーを押して、範囲選択で、SDの断面図を選択する。
 コンパウンドを作成をクリックして、Compound001を作成する。

Compound001を選択し、 Extrudeツールで、長さ順方向を840にする。








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・Extrudeで法線ベクトルを決定できませんエラーになる時は、カスタム方向(Z=1)にすれば、Z軸方向(高さ方向)に押出しすることができる。

・2D図面のラインの構成によっては、コンパウンド作成や、Extrudeで正しくモデリングできないことがある。その場合は、Shapeを選択した時に、 アップグレードツールをクリックしてWireに変換してから操作する。

・Solidモデルを作りたい場合は、部材の板厚のある詳細な図面を使用し、Extrudeのオプションでソリッド作成をONにすればよいが、押出しする面を構成する線が正しくつながっていないとエラーになる。
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Extrude001ができるので、選択する。

Extrude001が上下の枠になるように回転移動する。





作業平面を側面(YZ)に移動する。
右面図(側面)ビューに移動する。


 回転ツールで、Extrude001を90度縦に回転する。
縦の回転ができる。








作業平面を上面(XY)に移動する。
上面図ビューに移動する。







 回転ツールで、Extrude001を90度水平に回転する。





3Dビューに戻ると、縦と水平の回転により、平面図の方向に一致していることがわかる。


ここでは 回転ツールで移動したが、Placementの回転で、軸線に対して回転させれば、一度の操作で縦と水平に移動することができる。





モデルを回転したので、平面と断面で高さがずれているので、移動ツールで自由に位置を合わせるために、 WB(ワークベンチ)スナップをOFFにする。

平面図と断面図は、額縁の隅で一致するように作図しているので、Extrude001を選択し、 移動ツールをクリックする、
上部額縁の端点をスナップして起点を指定する。

そのままドラッグして、Extrude(平面押出し)の左上端にスナップして、移動点を指定する。

Extrude(平面押出し)とExtrude001(断面押出し)の位置合わせができる。

位置合わせできたら、 WB(ワークベンチ)スナップをONにもどす。

ExtrudeExtrude001をまとめて選択し、 コンパウンドを作成をクリックして、Compound002を作成する。


Labelで名前をCompoundSD01に変更する。
ExtrudeExtrude001は下層に移動する。














Shift+Eキーを押して、範囲選択でAW(引違窓)の平面図を選択する。

Shapeをまとめて選択した状態で、 コンパウンドを作成をクリックする。

できたCompound003を選択する。
 Extrudeツールで、長さ順方向を2020にする。

Extrude002ができて、Compound003は下層に移動する。

ガラス部分を透明にしたい場合は、枠とガラスを別のオブジェクトに分けて作成する。





AWの断面図押出しは、枠とサッシ(引き戸)部分に分けて押出しする。

Shift+Eキー(範囲選択)とCtrlキー(追加選択)を使って、断面図の下枠と額縁、水切りを選択する。
同様にShift+Eキー(範囲選択)とCtrlキー(追加選択)を使って、断面図の上枠と額縁を選択する。
上下の開口枠を選択したら、 コンパウンドを作成をクリックして、Compound004を作成する。








できたCompound004を選択する。
 Extrudeツールで、長さ順方向を2440にして、上下の枠Extrude003を作成する。
Compound004は下層に移動する。




サッシ(引き戸)部分を作成するために、上下枠Extrude003と下層のCompound004を非表示にする。

内側のサッシ部分の図を選択する。

(ガラス部分は平面図で作成しているので、選択しなくてもよい。)
 コンパウンドを作成をクリックして、Compound005を作成する。

Compound005を選択して、 Extrudeツールで、長さ順方向を開口の半分まで1220(2440/2)にする。
内側サッシExtrude004ができて、Compound005は下層に移動する。

外側のサッシが見えるようにExtrude004を非表示にする。
下層のCompound005は表示にする。
の外側のサッシ部分の図を選択する。

(ガラス部分は平面図で作成しているので、選択しなくてもよい。)




 コンパウンドを作成をクリックして、Compound006を作成する。

Compound006を選択して、 Extrudeツールで、長さ順方向を2440、逆方向-1220(2440/2)にする。

内側サッシExtrude005ができて、Compound006は下層に移動する。

Extrude003からExtrude005までを表示にして選択する。



















作業平面を側面(YZ)に移動する。
右面図(側面)ビューに移動する。

 回転ツールで、90度縦に回転する。







縦の回転ができる。

作業平面を上面(XY)に移動する。









上面図ビューに移動する。


 回転ツールで、90度水平に回転する。

縦と水平の回転により、平面図の方向に一致している。

位置を合わせるために、 WB(ワークベンチ)スナップをOFFにする。

 移動ツールをクリックし、上部額縁の端点をスナップして起点を指定する。
そのままドラッグして、平面押出しの左上端にスナップして、移動点を指定する。

AWの位置合わせができる。





位置合わせできたら、 WB(ワークベンチ)スナップをONにもどす。

3Dビューで、モデルの右下を見ると、縦枠と下枠に隙間ができているので、縦枠を下に延ばす必要がある。







縦枠のモデルExtrude002を選択する。







縦枠が伸びて隙間がなくなる。
3Dビューを回転して、反対側から見ても隙間はない。
Extrude002からExtrude005をまとめて選択し、 コンパウンドを作成をクリックして、Compound007を作成する。

Labelで名前をCompoundAW01に変更する。








WDについても同様に操作する。

Shift+Eキーを押して、範囲選択でWDの平面図を選択する。
 Compoundを作成をクリックする。
できたCompoundを選択し、 Extrudeツールで、長さ順方向を2020にする。
Shift+Eキーを押して、範囲選択でWDの断面図を選択する。

 Compoundを作成をクリックする。
できたCompoundを選択し、 Extrudeツールで、長さ順方向を700にする。




作業平面を側面(YZ)に移動する。
右面図(側面)ビューに移動する。

できたExtrudeを選択する。
 回転ツールで、Extrudeを90度縦に回転する。
作業平面を上面(XY)に移動する。
上面図ビューに移動する。

 回転ツールで、Extrudeを90度水平に回転する。


縦と水平の回転により、平面図の方向に一致している。



 WB(ワークベンチ)スナップをOFFにする。

 移動ツールをクリックし、上部額縁の端点をスナップして起点を指定する。

 WB(ワークベンチ)スナップをONにもどす。

縦枠と横枠のExtrudeをまとめて選択し、 コンパウンドを作成をクリックして、Compoundを作成する。

Labelで名前をCompoundWD01に変更する。





今回のモデルではコーナー部分の処理はしていないが、モデルの断面に表示するだけであればこの程度で使える。
ただし、簡易的な2D図面なので部材厚を作図していない。Solidモデルにできないので、建築オブジェクトに変換することはできない。

BIMの建築オブジェクト(ソリッドモデル)が必要な場合には、部材厚のある詳細図からモデルを組み立てる必要がある。
複数のメーカーからダウンロードした図面でSolid作成をONにして試してみたが、線の接続や重複に問題があって、正しくモデリングすることができない。
メーカーの詳細図から部材の図形を抽出し、Solidモデルを作成する方法は次回に検討する。



■モデルを別ファイルに合成する
今回の建具立体化データをTechDraw_11として保存する。

前回までの練習で作成したデータファイル(TechDraw_10)を開き、次にファイル>開く今回の建具立体化データ(TechDraw_11)を開くと、モデルタブに2つのプロジェクトができる。

TechDraw_11をダブルクリックする。
(TechDraw_11に移動する。)
TechDraw_11の下層のCompoundSD01を選択し、Ctrl+Cを押してコピーする。

オブジェクト選択のウインドウが開くので、すべてを選択したままOKでもどる。

モデルタブでTechDraw_10をダブルクリックする。
(TechDraw_10に移動する。)

Ctrl+Vを押してペーストする。
TechDraw_10の下層のオブジェクトの最後にCompoundSD01がコピーされる。


3Dビューを見ると、SD01が配置されている。




同様にして、TechDraw_11からCompoundAW01とCompoundWD01をTechDraw_11にコピー&ペーストする。
コピー&ペーストされた建具データは、元のファイルの位置に読み込まれる。

SD01からWD01までコピーできたら、TechDraw_11はファイルを閉じる。






■建具モデルの合成は、移動ツールを使う

WPセレクターで作業平面を上面に移動する。


AW01とWD01は平面図と方向が逆なので、 回転ツールで180度回転させる。






3Dビューのモデルに表示されているウインドウと玄関ドア、便所ドアは、3Dビューでクリックして、Spaceキーを押して非表示にする。

SD01、AW01、WD01をそれぞれの開口に近い位置に移動する。



ここからの操作は、3Dビューでスナップを使ってモデルを移動するので、 WB(ワークベンチ)スナップをOFFにする。

3Dビューを回転して、玄関のSD01が見える位置に移動する。
SD01を選択し、 移動ツールをクリックし、左上の端点をスナップして起点を指定する。
そのままドラッグして、玄関の開口の左上の端点をスナップして、移動点を指定する。





SD01をモデルの開口位置に移動したら、左の開口にコピーする。
 コピーツールをクリックして、SD01の左上の端点をスナップして起点を指定する。







そのままドラッグして、左側開口の左上の端点をスナップして、移動点を指定する。







左右の開口にSD01が配置される。
AW01についても同様に配置する。

AW01が見える位置にビューを移動する。
AW01を選択し、 移動ツールをクリックし、AW01と開口左上の端点をスナップしてAW01を移動する。

AW01を右側の開口にコピーする。
3Dビューを回転して、WD01が見える位置に移動する。

WD01を選択する。




 移動ツールをクリックし、WD01の額縁掘り込みの左上の端点をスナップする。



そのままドラッグして、左側開口の左上の端点をスナップして、移動点を指定する。



 コピーツールをクリックして、WD01を左側の開口にコピーする。





グループ作成ツールで、1F建具グルーブを作成する。

CompoundSD01からCompoundWD02を下層に移動する。









最後に正しく合成されているか確認する。

WPセレクターで作業平面を上面に移動する。
kaidan、構造体1FRC、1FWLS、BFRC、Draft仕上壁、1F床仕上、1F建具を選択する。

 断面ツールをクリックして、セクションをつくる。

WPセレクターで作業平面を側面に移動する。
kaidan、構造体1FRC、1FWLS、BFRC、Draft仕上壁、1F床仕上、1F建具を選択する。

 断面ツールをクリックして、セクション001をつくる。

セクション001を選択し、ビュータブのCutViewプロパティをtrueに変更する。










3Dビューで、セクション001で切断した形で表示される。




建具の切断部分を拡大すると、断面形状が見える。





CutViewプロパティはfalseに戻す。

セクションとセクション001を選択し、OnlySolidsをfalseに変更する。

セクションを選択し、 BIM WB オブジェクトを挿入をクリックして、PageにArchViewを作成する。

セクション001を選択し、ArchView001を作成する。

ArchViewとArchView001を選択し、Scaleを0.01に変更する。
Pageでレイアウトを調整する。
Viewの回転は、データタブのRotationプロパティで調整できる。


ArchViewの線が塗りつぶされているので、データタブのLineWidthとCutLineWidthを0.05に変更すると、Pageで線を確認できる。




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