図面作成とモデリング(7)建具詳細図からSolidモデルを作成する(詳細図)
BIMモデルを図面として使うためには、詳細な部分は2Dの図面を合成するのが最も簡単な方法であるが、3Dモデルに2DCADの図面を貼り込んでも、モデルで立体的に見ることはできない。
前回の記事では、簡単な建具の図面を立体化してモデルに組み込むことで、自由な位置で建具の断面を表示する方法を練習した。
モデルとして使うために建具の部分もSolidモデルで作成することもあるので、その方法を検討する。
建具を立体化するには、平面(輪郭線)をExtrudeツールで押出して作成した部材を組み合わせて構成するが、FreeCADのExtrude(押出し)ツールは、閉じたWireでないとSolidモデルに変換することができない。
メーカーからダウンロードした図形は部材が連続線になっていないので、線が接続していないとか、同じ端点から別の部材の線が作図されているというような問題があって、FreeCADで閉じたWireに変換することができないことが多い。
ここからは、閉じたWire(連続線)を作成し、ExtrudeツールでSolidモデルに変換する方法を練習する。
■部品の図形を抽出する
建具(SD)の詳細図から、各部材の断面を抽出する。
SDの扉や額縁は、壁厚や開口幅によって変わるので、FreeCADで押出しする時に作図する。
データから各部分の枠をコピーで切出し、断面以外の部分を削除する。
枠とパッキンを分けて整理する。
各部材は連続線に変換したいので、線の端点の位置がつながるように編集する。
DXFで保存する。
それぞれの図形は、端点がつながるように編集する。
DXFで保存する。
※ここで作成したDXFファイルをFreeCADにインポートして、ExtrudeツールでSolidをONにして押出しすると、元データが整理されているとSolidモデルを作成できることがあるので、必ずFreeCADに読み込んで確認する。
Solidモデルを作成できない場合は、以下の操作でポリラインに変換してからFreeCADに読み込む。
■ポリライン(連続線)に変換する
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使用しているCADに線をまとめて連続線に変換するツールがあれば、それを使って作成した図形を閉じた連続線に変換する。
AutoCADは、peditツール(修正>オブジェクト>ポリライン)で連続線(ポリライン)に変換することができるが操作が複雑である。
ポリラインにフィレットで線をつないていけば連続線にすることもできるが、手間がかかりすぎる。
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ポリライン変換ツールがない場合は、FreeCADで紹介されているLibreCADには、ポリライン作成ツールがあるのでこれを使って部材の図形を連続線に変換する。
LibreCADを起動し、メニューバーのファイル>開くで作成したDXFファイルを開く。
(特に変更しなくてもよいが、色が変われば変換した時に確認できる。)
枠の図形の左上をクリック、右下にドラッグすると、範囲選択できる。
選択した図形は点線表示に変わる。
左のツールバーからポリラインの右下矢印をクリックして、プルダウンメニューを出し、既存セグメントからポリライン作成をクリックする。
現在のレイヤーで指定色で枠の図が連続線に変わる。
線が連続しない場合は、その部分で接続していないので拡大して修正し、ポリライン作成を繰り返す。
パッキンの図を範囲指定で選択する。
上のパッキンの図が点線表示になる。
図形の一部がポリラインに変わる。
連続線が複数ある場合は、順にポリラインに変換される。
さらに、画面を右クリックし、ポリライン作成をクリックする。
他の部分もポリラインに変わる。
さらに、画面を右クリックし、ポリライン作成をクリックする。
図形のすべての部分がポリラインに変わったら、次の図形を選択しポリラインに変換していく。DXFファイルに保存する。
AWのデータについても同様に、ファイル読み込み、範囲選択、ポリライン作成の順に操作し、すべて変換したらDXFファイルに保存する。
■部材を図面に合わせて配置する
前回の記事で作成した建具の断面データをインポートし、座標原点の近くに移動する。
る。
平面図の縦枠にスナップして配置する。
Wireをまとめて選択し、 移動ツールでスナップで移動する。
右の縦枠とパッキンも同様にして移動する。
コンクリート取り合い部分を 連続線ツールで作図する。
上書きとガイド用のWireは削除する。
額縁を 連続線ツールで作図する。
扉の輪郭を 連続線ツールで作図する。
下枠まわりの部材もオフセットツールで板厚を作成しながら、 連続線ツールで作図する。
両側の縦枠が選択できたら、 Extrudeツールをクリックする。
切抜きが完了しCut001ができる。
上下の枠の方向を調整するために、SD_Hを選択し、Placementの回転で、X軸まわり90(縦に回転)、Z軸廻り-90(水平に回転)とする。
枠の位置合わせができたら、 WPスナップをONに戻す。
SD_HとSD_Vをまとめて選択し、 Compound作成をクリックする。
■AWを組み立てる
左の框の切抜きをする。
召し合わせ部の框の切抜きをする。
右の框の切抜きをする。
ガラスのExtrudeができるのでまとめて選択し、ビュータブのTransparency(透明度)を80に変更する。
下枠の切抜きをする。
上下の枠をShift+Eキーを押して、範囲選択し、非表示にする。
上下の框部分だけの表示になるので、外側の引き戸の框を範囲選択とCtrlキーを使って選択する。
外側引き戸の上下の框が選択できたら、 Extrudeツールをクリックし、オプションで長さ順方向を2440、逆方向を-1220とする。
AW_HとAW_Vを選択し、 断面ツールをクリックしてセクションを作成する。
右の縦枠回りも同様に取り合い部材を 連続線ツールで作図する。
作図できたら、Baseグループを非表示にすれば作図が確認できる。
断面図についても同様にして、建具枠とパッキンを移動、取り合い部材を 連続線ツールで作図する。
次に、AWのDXFファイルをインポートする。
インポートしたShapeをまとめて選択し、アップグレードツールでWireに変換する。
枠まわりの部材を 連続線ツールで作図する。
ガラスを厚さ6mmで作図する。
ガラス中心のShapeを オフセットツールで上下に3mmでコピーする。
連続線ツールでガラスを作図する。
オフセットコピーしたLineは削除する。
内側引き戸のガラス部分にコピーする。
枠まわりの部材を 連続線ツールで作図する。
ガラスは平面図を使用するので作図しない。
Baseグループは非表示にする。
Shift+Eキーを押して、範囲選択モードに入り、SDの左縦枠まわりを左から右に範囲指定して選択する。
Shift+Eキーを押して、範囲選択モードに入り、Ctrlキーを押しながら、左から右に範囲指定して、右縦枠まわりを追加選択する。
両側の縦枠が選択できたら、 Extrudeツールをクリックする。
左枠のパッキンの切抜きを作成する。
パッキン部分をクリックすると、モデルタブで該当するExtrudeが表示される。
(今回はExtrude001)
前後のExtrudeを仮表示して中空部分のExtrudeを確認する。
(今回は、Extrude002と003)
切抜きしてCutができる。
CutとExtrude003を選択し、 カットツールをクリックする。
カスタム方向をON(Z=1)、□ソリッド作成をONにする。
Compound作成をクリックする。
Compoundができるので、Labelで名前をSD_Vに変更する。
カスタム方向をON(Z=1)、□ソリッド作成をONにする。
上下の枠のパッキンの切抜きをする。
Compound作成をクリックする。
Compoundができるので、Labelで名前をSD_Hに変更する。
上下の枠の方向を調整するために、SD_Hを選択し、Placementの回転で、X軸まわり90(縦に回転)、Z軸廻り-90(水平に回転)とする。
OKで戻る。
前回は回転ツールで縦と水平に2回に分けて回転したが、Placementを使えばまとめて回転することもできる。
枠の額縁の角が一致するので、スナップで移動して合成する。
Placementの回転は軸線を中心にして回転するので、予想以上に離れたところに移動することもある。
枠の位置合わせをするために、 WPスナップをOFFにする。
移動したSD_Hを選択し、移動ツールで建枠SD_Vと位置合わせする。
枠の額縁の角が一致するので、スナップで移動して合成する。
枠の位置合わせができたら、 WPスナップをONに戻す。
SD_HとSD_Vをまとめて選択し、 Compound作成をクリックする。
Compoundができるので、Labelで名前をSD01DTに変更する。
■AWを組み立てる
AWは枠まわり、引き戸框、ガラスを分けて押出しすれば詳細なモデルを作ることができるが、部材の選択や長さの計測が複雑になり効率的ではないので、前回と同様に開口幅を使ってモデリングする。
SD01DTは非表示にする。
平面図で左右の枠まわりと召し合わせ部分の框を選択する。
Extrudeツールをクリックし、オプションで長さ順方向を2020、逆方向90とする。
カスタム方向をON(Z=1)、□ソリッド作成をONにする。
召し合わせ部の框の切抜きをする。
右の框の切抜きをする。
平面図のガラス部分を選択する。
Extrudeツールをクリックし、オプションで長さ順方向を1950(2020-70)、逆方向-40とする。
カスタム方向をON(Z=1)、□ソリッド作成をONにする。
ガラス部分が半透明になる。
縦枠と框、ガラスができたら、Shift+Eキーを押して範囲選択でまとめて選択する。
Compound作成をクリックする。
Compoundができるので、Labelで名前をAW_Vに変更する。
下枠まわりをShift+Eキーを押して、範囲選択し、モデルタブでCtrlキーを押しながら框部分の部材を除外する。
そのまま、Shift+Eキーを押して、範囲選択モードに入り、Ctrlキーを押しながら上枠まわりを選択する。Ctrlキーを押しながら框部分の部材を除外する。
そのまま、Shift+Eキーを押して、範囲選択モードに入り、Ctrlキーを押しながら上枠まわりを選択する。Ctrlキーを押しながら框部分の部材を除外する。
(上面ビューで操作した方が簡単である。)
カスタム方向をON(Z=1)、□ソリッド作成をONにする。
下枠の切抜きをする。
上下の框部分だけの表示になるので、外側の引き戸の框を範囲選択とCtrlキーを使って選択する。
外側引き戸の上下の框が選択できたら、 Extrudeツールをクリックし、オプションで長さ順方向を2440、逆方向を-1220とする。
カスタム方向をON(Z=1)、□ソリッド作成をONにする。
次に、内側引き戸の上下の框を選択する。上下の横枠と引き戸の框をすべて表示し、Shift+Eキーを押して、範囲選択する。
Compound作成をクリックする。
Compoundができるので、Labelで名前をAW_Hに変更する。
上下の枠の方向を調整するために、AW_Hを選択し、Placementの回転で、X軸まわり90(縦に回転)、Z軸廻り-90(水平に回転)とする。
OKで戻る。
AW_Hを選択し、移動ツールでAW_Vと位置合わせする。AW_HとAW_Vを表示にする。
作業平面は上面になっていることを確認する。
作成したSolidモデルをBIMに合成する方法は前回説明と同じでよい。
■詳細なモデルを作るために
枠や框のモデルを作る時に、部分ごとに分けて押出し寸法を変えていけば詳細なモデリングが可能である。
各部分の寸法を図面で計測してみる。
縦枠は、下から 0~ 2020
縦枠は下から -90~ 2010(2020-10)
内側引き戸は -7~ 1987
ガラスは 37~ 1952(2020-68)
外側の框は右端から 1200(1220-20)~ 2212(2440-28)
ガラスは水平断面でモデリングする。
各部分の部材を選択して、Extrudeツールで押出しすれば、かなり詳細なモデルを作ることができる。
部材のコーナー部分の処理をするには、部材の優先関係を考えて押出し長さを調整すればよいが、時間がかかる割には図面作成にはあまり影響はない。
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