PartDesignワークベンチ3分間練習12 勾配のある面をつくる(Pocket、ドラフト、面取り)

 ソリッドの面に勾配を付けることもモデリングの主要な操作のひとつです。PadやPocketツールで直接モデルを作成する以外に、面取り(Chamfer)ツールや、ドラフト(Draft)ツールで面を傾けることもできます。

 PadツールやPocketツールでSketchをベースにして変換すると、形状の寸法がスケッチに記入されているので、パラメーターの数値がわかりやすくなります。

 面取りやドラフトを使う場合は、できたChamferオブジェクト、Draftオブジェクトのプロパティで変更できますが、オブジェクトをダブルクリックすれば、作成したときのオプションを表示して変更することもできます。


 PadツールやPocketツールは、Sketcherで2Dベースオブジェクトを作図し、押出します。
 この方法でSketcherで作図するときは、ソリッドの面や基準平面をSketcherの作図面にすれば、比較的簡単に断面を作成することができます。

 基本は法線方向(面に垂直な方向)ですが、特別に方向を調整したいときは、Sketcherで作図した線やモデルの任意のエッジを、「参照を選択」オプションでクリックして指定することができます。
 また、絶対座標のXYZの比率で方向を設定することもできます。


 テーパー角度のオプションもあり、指定した角度で拡大縮小しながら押出すこともできます。


 面取り(Chamfer)ツールは、2つの面の間に勾配面を作成します。オプションで、等距離、2つの距離、距離と角度の3種類の設定方法を選択できます。

 ドラフト(Draft)ツールは、機械設計で抜き勾配といわれる面全体を傾ける機能です。面を選択して指定した角度で面を傾けます。不整形の面でも、中立面を基準にして傾けることができます。

 面取りやドラフトツールは、面と面の間に勾配面を作るツールなので、対象となる面の長さが0になると、作成することができません。
 辺長が10の立方体で面を傾ける場合、辺の長さが9.999999(小数点以下6桁)まで、角度は44.999(小数点以下3桁)までは変換できます。

 実際のモデルでは製作上の誤差があるので、まったく問題のない数値ですが、正確な数値で作図するCADとしては気になるところです。

【勾配面を作成する操作練習】


【Textデータ】

PartDesignワークベンチで面に勾配を付ける練習をします。

直方体プリミティブをクリックして、辺の長さ10のプリミティブを作成します。
立方体の側面を選択し、スケッチ作成ツールでSketcherに移動します。

連続線ツールで、座標原点と軸線を使って三角形を作図します。
斜めの線を選択し、角度拘束で60で固定します。

閉じるで戻ってSketchを選択し、Pocketツールで、長さ10で削除して斜めの面を作成します。

モデルタブで、Pocketオブジェクトの下層のSketchをダブルクリックして、Sketcherに移動します。

斜めの線の60度を選択して、45度に変更します。

閉じるで戻ると、勾配面が対角線方向に移動しています。


Ctrl+Zを何回かクリックして、立方体まで戻します。

立方体の前面の上の線を選択し、面取りツールをクリックします。
長さが1の面取りができます。

サイズを辺の長さと同じ10に変更し、OKをクリックするとエラーになります。
OKをクリックして、エラーを閉じて、サイズを9.999に変更すると、対角線方向に勾配面ができます。

Ctrl+Zをクリックして、立方体まで戻します。

立方体の前面を選択し、ドラフトツールをクリックします。
勾配の角度を20に変更すると、上方向に勾配面ができます。

Ctrl+Zで戻り、立方体の側面を選択し、ドラフトツールをクリックします。
今度は、立方体の奥行方向に勾配面ができます。

勾配面の方向は面によって違うので、方向を合わせる必要があります。
オプションの中立面をクリックし、立方体の下の面をクリックすると、上方向に勾配面が移動します。

中立面は、ドラフトツールの操作をするときに変化しない基準の面となります。

ここで、勾配の角度を44.999に変更すると、対角線方向の勾配面になります。
立方体で45度以上にすると、上の面がなくなってしまうのでエラーになります。


【Pocketツールの押出し方向】


【Textデータ】

PartDesignワークベンチで、直方体プリミティブをクリックして、20、10、10の直方体を作成します。
前面を選択し、スケッチ作成ツールでSketcherに移動します。

左側に、長方形を作図し、右下の点を選択し、ロック拘束で座標原点との距離を表示します。
垂直を5で固定します。水平を4で固定します。

閉じるで戻り、Pocketツールで5として、水平方向にコーナーを削除します。

前面を選択し、スケッチ作成ツールでSketcherに移動します。
長方形を作図し、左下の点を選択し、ロック拘束で、垂直を5で、水平を5で固定します。
上の辺を選択し、水平距離拘束で4で固定します。

閉じるで戻り、Pocketツールで5とします。
オプションで方向を「カスタム方向」に変更すると、y=1となっています。
カスタム方向は絶対座標系のXYZの比率です。
z=0.5に変更すると、勾配の面ができて、深さ5の切抜きができます。

前面を選択し、スケッチ作成ツールでSketcherに移動します。
長方形を作図し、左下の点を選択し、ロック拘束で垂直を5で、水平を10で固定します。
上の辺を選択し、水平距離拘束で4で固定します。

閉じるで戻り、Pocketツールで5とします。
オプションで、方向を「カスタム方向」に変更し、z=1に変更します。
y=1、z=1の45度の勾配の面ができます。

(方向は、y=1、z=1としましたが、比率があっていれば、実際の長さのy=5、z=5でも同じように45度の勾配面ができます。)

前面を選択し、スケッチ作成ツールでSketcherに移動します。
長方形を作図し、左下の点を選択し、ロック拘束で、垂直を5、水平を15で固定します。

閉じるで戻り、Pocketツールで5として、コーナーを切抜きます。
切抜きでできた面を選択し、Pocketツールで5とします。
オプションで、方向を「参照を選択」に変更します。
45度方向の切抜き面の勾配の線をクリックすると、勾配の面ができます。

□逆方向をオンにすると、勾配面が移動します。


切抜き面の上の面を選択し、スケッチ作成ツールでSketcherに移動します。
外部参照リンクツールで下の線をクリックして、参照ラインに変換します。
参照ラインの端点を使って、連続線ツールで、三角形を作図します。
三角形の縦の線を選択し、垂直距離拘束で3で固定します。

閉じるで戻るとSketch004ができています。

前面を選択し、スケッチ作成ツールでSketcherに移動します。
外部参照リンクツールで、上の線をクリックして参照ラインに変換します。
連続線ツールで、参照ラインの端点を使って三角形を作図します。

閉じるで戻り、Sketch004を選択し、Pocketツールをクリックします。
方向を「参照を選択」に変更して、前面の三角形の斜めの線をクリックすれば、コーナーの面取りができます。

(コーナーを面取りするには、三角形を作図し、Pocketツールの「参照を選択」オプションで、方向を指定すると簡単に作成できます。)


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