PartDesignワークベンチ3分間練習10 最も基本的な押出し(Pad、Pocket)、面取り(Fillet、Chamfer)
3DCADの操作は、2D図形を作成し3Dモデルに変換してブーリアン演算で合成するのが基本的な方法です。今の3Dモデリングソフトは、モデルを直接加工して成形するものが多くありますが、FreeCADは、数値を入力してモデリングするタイプの3DCADです。
FreeCADがわかりにくい原因は、ワークベンチというツール群が多数あり、同じようなツールでも、それぞれの操作方法が違うことにあります。
2D図形を作成するためにSketcherに移動する方法だけでも、Partワークベンチと、PartDesignワークベンチ、BIMワークベンチでは違います。FreeCADに慣れていない人が、ワークベンチを混ぜて使うと操作方法で混乱してしまいます。
PartDesignワークベンチは、FreeCADの特徴的なツール群であるので、ネット上の情報も多くあります。ただ、機械部品のような単一のソリッドの製作工程をイメージしたツールなので、効率的ですが制限事項と例外が多く、実際に製作できないような操作を行うと簡単にエラーになるということは知っておくべきです。
3DCADの基本的なツールは、押出し、回転、ロフト(断面をつなぐ)と、面取りです。最初に押出し系のツールを練習します。
PartDesignワークベンチのツールは、ソリッドの上に新しい形状を作成すると自動的に元のソリッドと合成するので、ブーリアン演算で加工する必要がありません。
逆にいうと、ソリッドを複数作成し、位置を調整してからブーリアン演算で合成するというモデリングはできません。それはPartワークベンチのモデリング方法です。
ツールは加算(追加)ツールと減算(削除)ツールに分かれています。押出しツールは加算系のPadツールと減算系のPocketツールです。Hole(穴)というツールもありますが、主にネジの穴を作成するツールなので、押出しによる削除には使いません。
押出し系のツールは、2D図形(スケッチ)を選択して、長さを指定するだけです。オプションで押出し方向を変えることもできますが、基本は面に垂直に押出しして、元のソリッドと合成します。
(これから練習するモデリングをPartDesignではなく、Partワークベンチで練習したい場合は、押出(Extrude)や、回転、ロフトなどのツールを使ってソリッドを作成し、ブーリアン演算で加算、減算すれば同じようにモデルを作ることができます。)
PadやPocketツールのイメージをつかむために、最初にチュートリアルにもある簡単な形状を作成してみます。
基になるソリッドを2つの方法で作成し、Pocketツールで穴を掘削します。
ひとつは、従来の3Dモデリングのように、2DスケッチをPadツールツールで押出してソリッドに変換する方法です。
もうひとつは、PartDesignワークベンチのプリミティブツールを使って、直方体のソリッドを作成し、面取りとフィレットで形状を作成します。
その上で、Pocketツールでいくつかの穴を掘削します。
【Padツールで基本的な形状を作る】
【Textデータ】
PartDesignワークベンチから始めます。
ボディを作成をクリックしてから、モデルタブをクリックして移動します。
スケッチ作成ツールをクリックして、YZ-planeを選択して、Sketcherに移動します。
長方形ツールで、座標原点から長方形を作図します。
下の辺を選択し、水平距離拘束で、100で固定します。
右の辺を選択し、垂直距離拘束で、50で固定します。
ラインツールで、線上点で自動拘束して、左上コーナーに斜めの線を作図します。
トリムツールでコーナーの線を削除します。
斜めの線を選択し、角度拘束で、30度で固定します。
水平距離拘束で上の距離を、50で固定します。
コーナー保持フィレットツールをクリックし、右上コーナーの2つの辺をクリックして、面取りします。
(コーナー保持フィレットを使うと、縦の辺の垂直距離拘束が保持されます。)
円弧を選択して、半径拘束で、20で固定します。
閉じるで戻り、作成したSketchを選択して、Padツールをクリックします。
タスクタブで、長さを50にして、OKをクリックしてソリッドに変換します。
(この状態で、ビデオを中断して、モデルタブのデータを見てください。ボディの下にPadオブジェクトがあり、その下層にベースオブジェクトのスケッチが入っています。
Padのパラメーターで変更できるのは押出長さだけで、その他の形状を変更するときは、Sketchを編集します。)
ボディを選択して削除し、もうひとつの方法を練習します。
ボディ作成ツールをクリックして、モデルタブにボディを表示します。
加算プリミティブツールをクリックします。
長さを50、幅を100、高さを50にして、OKをクリックして、直方体を作成します。
左上の辺を選択し、面取りツールをクリックします。
タイプを「距離と角度」に変更します。
(面取りツールは、タイプオプションで、等距離、2つの距離、距離と角度を選択できます。)
サイズを50に、角度を30度にします。
OKをクリックすると、入力エラーになります。
面取りツールは面と面の間を処理するツールなので、高さ50の面にサイズ50以上の面取りをしようとすると、面がなくなってしまうのでエラーになります。
(この関係はフィレットツールでも同じエラーになります。)
エラーウインドウでOKをクリックして閉じます。
タイプ欄の横の方向転換ボタンをクリックすると、面取りの方向が逆になって、勾配のある面が表示されるので、OKで確定します。
右上の辺を選択し、フィレットツールをクリックします。
半径を20にして、OKをクリックします。
どちらの方法でも同じ形状ができますが、モデルタブのデータの構造は違います。
(この場合は、ボディの下に、Box、Chanfer、Filletと操作した順にオブジェクトが並びます。各オブジェクトはその操作を行ったときの状態を保持しています。)
(ベースオブジェクトのスケッチや、それぞれの操作のパラメーターを変更することで、完成後に自由に形状を修正できます。)
【Pocketツールで、面に垂直な方向に掘削する】
【Textデータ】
前回作成したモデルのソリッドに、Pocketツールで穴を開けます。
ソリッド上面を選択し、スケッチ作成ツールをクリックして、Sketcherに移動します。
外部参照リンクツールで、面の上下のラインをクリックして、参照ラインに変換します。
円ツールで、面の中央に円を作図します。
円を選択し、半径拘束で5で固定します。
面の左下の点と、右上の点、円の中心を選択して、対称拘束をクリックします。
円が上面の中心に移動します。
閉じるで戻って、Sketchを選択した状態で、Pocketツールをクリックします。
長さを50に変更して、OKをクリックすると、穴が貫通します。
斜めの面を選択し、スケッチ作成ツールをクリックして、Sketcherに移動します。
(斜めの面を作図面にすると、面を正面から見たビューになるので、他の面は傾いた状態になっています。)
外部参照リンクツールで、面の左右のラインをクリックして、参照ラインに変換します。
円ツールで、面の中央に円を作図します。
円を選択し、半径拘束で10で固定します。
面の左下の点と、右上の点、円の中心を選択して、対称拘束をクリックします。
円が面の中心に移動します。
閉じるで戻って、Sketch001を選択した状態で、Pocketツールをクリックします。
長さを50に変更して、OKをクリックすると、斜めの面に垂直に穴ができます。
斜めの面に軸線の垂直方向に穴を開けるために、水平な面として、上面を選択し、スケッチ作成ツールをクリックして、Sketcherに移動します。
外部参照リンクツールで、斜めの面の下のラインをクリックして、参照ラインに変換します。
円ツールで、円を作図します。
円を選択し、半径拘束で5で固定します。
参照ラインの左右の点と、円の中心を選択して、対称拘束をクリックします。
円が、参照線の中心に移動します。
閉じるで戻ると、円は上面の位置に作図されていて、ソリッドから離れた位置にあります。
スケッチはソリッドから離れていても、押出で作成する形状が元のソリッドと重なるなら、エラーになることなく変換できます。
Sketch002を選択し、Pocketツールをクリックします。
長さを50に変更して、OKをクリックすると、ソリッドの側面に半円の欠き込みができます。
(削除する場合は、削除する断面だけを正確に作図する必要はありません。削除する断面より大きなスケッチを押出しても、元のソリッドと重複する部分が削除されます。)
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