PartDesignワークベンチ3分間練習04 Sketcher拘束の重複エラーと解除
つまり、Sketcherの拘束を使う作図方法は、特に新しいものではないのですが、一般的な二次元CADでは使われていない機能なので、CADに慣れている人には違和感があり、CADを始めたい人には一般的でない、あまり適当ではないツールということになります。
しかし、FreeCADでパラメトリックモデルを作成するには必要なツールです。今回は、Sketcherの拘束機能全般の説明になります。PartDesignのベースオブジェクト作成では一部しか使わないかもしれませんが、Sketcherを使うためには知っておくことが必要です。
制約ツールの2つの操作方法とエラー(重複)
FreeCADに限らず最近のCADツールの多くは、2通りの操作方法があります。
① オブジェクトを選択してからツールをクリックする方法は一般的で、感覚的です。AとBでCの操作をすると考えて、その順番でクリックしていきます。
② 逆にツールをクリックしてから、対象となるオブジェクトを選択する方法は従来からの操作です。この場合、同じ操作を繰り返すことができるツールも多くあります。
FreeCADの拘束ツールは、①の操作を使うことが多いのですが、②でも同じ結果になります。
図形に対して、拘束を使って条件を定義していくと、すべての図形がオレンジ色に変わることがあります。同じ条件が重複して定義された「冗長な拘束」エラーです。オブジェクトに対して同じ効果のある2つの拘束条件が重複していることを示しています。
図形全体の色が変わるので、何がエラーかわからないこともありますが、次のツールをクリックすれば、重複部分の拘束が緑表示に変わって選択状態になるので、Deleteキーを押して削除すれば、必要のない拘束が削除されます。
冗長な拘束を選択:通常は、このツールでエラー見つけて回避できます。
これで、見つからない場合は、下の「競合する拘束を選択」を試してください。
競合する拘束を選択
条件が重なっていると、一回では消えないので、繰り返すことも必要です。
これらのツールで発見できない場合は、可能性のある場所の拘束マークを選択して削除するか、Ctrl+Zで元の状態まで戻します。
このツールを使うようになるまでは、拘束が重複しないように注意したり、Ctrl+Zで操作を戻したりしていました。
このツールでエラーを特定して削除できることが分かったので、拘束条件を定義して、重複エラーになったら削除する操作方法に変わりました。
【拘束の重複エラー 冗長な拘束と解除方法】
【Textデータ】
今回は、Sketcherワークベンチで作成してみます。SketcherでもPartDesignでも、スケッチ作成ツールをクリックして、Sketcherに移動した後は操作方法は同じです。
PartDesignワークベンチからSketcherに移動すると、できたスケッチがPartDesignのベースオブジェクトとして利用できるように自動的にボディの下層に入ります。
WBセレクターでSketcherを選択して移動します。
スケッチ作成ツールをクリックすると、作業平面を選択するウインドウが開きます。
オプションで逆方向やオフセットを設定できますが、今回はそのままOKをクリックします。
最初に「冗長な拘束」エラーと、その対応方法を確認します。
ラインツールで直線を作図し、線上点拘束でもうひとつの線を作図します。
最初の線の端点と、線上の端点を選択して、一致拘束をクリックします。
端点が一致拘束で重なりますが、拘束の重複エラーになって、すべての線がオレンジ色になります。
端点が一致していれば、自動的に線上点になるので、重複していることになります。
このとき、「冗長な拘束を選択」ツールをクリックします。
コーナー部分にある線上拘束のマークが緑表示に変わって選択状態になります。
Deleteキーを押すと、線上点拘束マークが消えます。
線をドラッグすると端点の一致拘束が有効であることがわかります。
次に長方形を作図します。
長方形は、4辺が水平垂直拘束されています。
この状態は、対面する2辺が平行で等しく、コーナーが垂直交差していることになります。
コーナーでつながる2辺を選択し、垂直交差拘束をクリックします。
コーナーが垂直であることが明らかな部分に垂直交差拘束を定義したので、重複エラーになり、すべての図形がオレンジ色に変わります。
「冗長な拘束を選択」ツールをクリックして、垂直交差拘束のマークを緑表示に変えます。
Deleteキーを押して、垂直交差拘束を消してエラーを解除します。
今度は、対面する2辺を選択し、平行拘束をクリックします。
重複エラーになり、オレンジ色に変わるので、平行拘束マークを選択し、Deleteキーを押して削除します。
このように、エラーの原因がわかっている場合には、直接、拘束マークを選択して削除することもできます。
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