PartDesignワークベンチ3分間練習03 Sketch(2D)をソリッドに エラーの原因

  Sketcherの作図ツールには、一般的な2DCADの作図ツールと同じように点、直線、円弧、円、ポリライン(連続線)、長方形、正多角形などのツールがあります。

 操作方法もほぼ同じで、いくつかのポイントをクリックすれば、作図することができますが、一般的な2DCADのように、数値を入力して正確な形状を直接作図することはできません。どの作図ツールを使う場合でも、概略の形状を作成してから、拘束で形を整えます。

 B-スプライン(自由曲線)、スロット(両端半円の楕円)というツールもあります。

 円錐曲線ツールもあります。円錐形を平面で切断したときにできる曲線で、楕円、楕円弧、双曲線、放物線を作図することができます。プルダウンメニューから種類を選択します。

 曲線系のツールはCADによって独特の操作方法があるので、FreeCADの技術ドキュメントなどで確認してください。Sketcherはパラメトリックなので、適当に作図してから図形をドラッグしたり、プロパティでパラメーターを変更するという作図方法が使えます。

【03-1Sketcherの作図ツール】


【Textデータ】

スケッチャー NewSketch.svgスケッチ作成ツールをクリックして、作業平面はXY-planeを選択します。

スケッチャーの画面に変わります。

ラインツールや円弧ツール、円ツール、長方形ツールは、一般的な2DCADと同じような操作で作図できます。

連続線(ポリライン)ツールをクリックして、連続線を作図します。
線がつながっていますが、2DCADのようにまとまったオブジェクトではなく、端点が一致拘束でつながっているだけなので、線を選択して削除することができます。

スケッチャー CreateBSpline.svgB-スプラインツールで曲線(ペジェ曲線)を作図します。
クリックした点は通過点ではなく制御点となり、線の位置から離れています。制御点をドラッグすることで曲線の形状を変更します。

スケッチャー CompCreateConic.png円錐曲線には楕円と双曲線、放物線を作図するツールもあります。双曲線ツールや放物線ツールは、必要になったときに技術ドキュメントで設定方法を検討してください。


■SketcherでPartDesignワークベンチのベースオブジェクトの失敗例

 PartDesignワークベンチでは、Sketcherで3Dオブジェクトの基になるベースオブジェクトという2D図形を作成します。

 Sketcherは基本的にはどんな図形でも作成できますが、PartDesignワークベンチのベースオブジェクトで使用するためには、3Dツールで立体化したときに、単一のソリッドになるという条件があるので、これに反した図形は3Dツールで操作するとエラーになります。

1.ベースオブジェクトになるSketchは閉じたWire(面の輪郭になっていること)です。閉じていない図形はソリッドに変換できないのでエラーになります。

2.分離した複数の図形があると、単一のソリッドを作成できないので、エラーになります。

この場合は、例外がいくつかあります。

まず、図形が他の図形の内側に完全に含まれている場合は、切抜きして変換できることがあります。

さらに、元になるソリッドがある場合、スケッチを変換してできるソリッドが、元のソリッドと合成して、単一のソリッドになるなら、分離した図形でも変換できることがあります。
たとえば、ソリッドの面に複数の円を作図し、一度に穴に変換するようなことができるということです。

3.複数の閉じた図形で線が重なっている部分があるとエラーになるか、正しくソリッドを作成することができません。

重複部分を修正して輪郭だけの連続線にすれば変換できますが、複雑な図形の場合は、図形が重ならないように別のスケッチに分けてベースオブジェクトを作成して、ソリッドに変換するときに合成する方が簡単です。

この場合でも、分離した図形と同じように、元になるソリッドがあり、スケッチを変換してできるソリッドが、元のソリッドと合成して、単一のソリッドになるなら、重なった図形でも変換できることがあります。

4.複数の図形が接してつながっている場合でも、エラーになるか、正しくソリッドを作成することができません。

例外的に、閉じた図形の頂点が一致拘束でつながっている場合だけは、ソリッドに変換できることがあります。

ただし、ベースオブジェクトの図形の作図方向が、時計回りまたは反時計回りが混在しているとエラーになります。長方形ツールの図形は反時計回りになっていて変更できないので、他の図形も反時計回りで作図すると決めておけばエラーが少なくなります。

5.作業ウインドウに元になるソリッドがある場合、Sketchを作成してソリッドを追加すると、重なっている(接している)ときは元のソリッドと合成します。重ならないときはエラーになるか、空のソリッドを作成します。

空のソリッドは見えないので、エラーにならないのに、モデルも作成できない状態になります。モデルタブには、そのツールのオブジェクトができているので、ベースオブジェクトを移動するか形状を変更して、重なるように修正すれば合成した結果が表示されるようになります。
ソリッドが重ならないとPadツールはエラーになりますが、ロフトツールや減算系のツールでは空のソリッドができるようです。各ツールの項目のときに説明します。

ベースオブジェクトの形状と作成方法、各3Dツールとの組み合わせでソリッドに変換できないことも多くあります。例外だらけで混乱しますが、要はできあがる形状が単一のソリッドになるなら変換できると考えることができます。

ベースオブジェクトの作図方法を検討するより、単純なベースオブジェクトをソリッドに変換して自動的に合成する方が確実です。

 従来からのモデリング方法であるPartワークベンチには、上のような制限はありません。どんなスケッチでも(3Dツールで形が成立しないような組み合わせは無理ですが)、ソリッドか面に変換することができます。


【03-2PartDesign ベースオブジェクト エラーの原因】


【Textデータ】

WBセレクターでPartDesignに移動します。
ボディ作成をクリックして、モデルタブに移動します。

スケッチャー NewSketch.svgスケッチ作成ツールをクリックし、XY-planeを選択してSketcherに移動します。

連続線(ポリライン)ツールで、3本の直線で、閉じていないWireを作図します。
閉じるをクリックして作業ウインドウに戻ります。

Sketchを選択します。
PartDesignワークベンチの最も基本的な押出しツールであるPartDesign Pad.svgPadツールをクリックします。

押出し長さは10になっているので、そのままOKをクリックします。
Sketchは閉じていないので、「ノット クローズド」エラーになります。

キャンセルで戻り、SketchをダブルクリックしてSketcherに移動します。
ラインツールで、開いている線の端点を一致拘束でつなぎます。
この形であれば、Padツールでソリッドに変換することができます。

長方形ツールで元の四角形と重ならないようにして、長方形を作図します。

この形では2つの閉じたWireは分離しているので、3Dツールで操作すると「マルチソリッド」エラーになります。

長方形を削除して、元の四角形と重なるように長方形を作図します。

この状態でも、閉じたWireが2つあると判断して、「マルチソリッド」エラーになります。


次に、図形が接している場合を確認します。

四角形の図を削除します。

連続線で三角形を3つ、反時計回りで作図します。

三角形の頂点と別の三角形の頂点を選択し、一致拘束をクリックしてそろえます。
三角形の頂点と別の三角形の辺を選択し、線上点拘束をクリックして線上に合わせます。

閉じるで作業ウインドウに戻ります。

Sketchを選択し、PartDesign Pad.svgPadツールでソリッドに変換すると立体化しますが、正しくソリッドに変換していません。

キャンセルで戻り、SketchをダブルクリックしてSketcherに移動します。

線上につながっている三角形を削除し、連続線で反時計回りで三角形を作図します。
三角形の頂点を選択し、一致拘束で別の三角形の頂点にそろえます。

閉じるで作業ウインドウに戻ります。
Sketchを選択し、Padツールでソリッドに変換できます。

モデルタブでPadオブジェクトを選択して削除すると、Sketchが残ります。
SketchをダブルクリックしてSketcherに移動します。

最後の三角形を削除し、三角形を反時計回りで作図します。
三角形の頂点を一致拘束で、ひとつの頂点にそろえます。

閉じるで作業ウインドウに戻ります。
Sketchを選択し、Padツールでソリッドに変換することができます。

頂点で接続する方法は比較的うまく変換できますが、図形の作成方法と位置関係によっては正しく変換できないこともあります。

コメント

このブログの人気の投稿

はじめに FreeCADでBIMはできるのか(2022/8/8追記)

オブジェクトを着色する(3) パースのレンダリングに挑戦