3Dモデリング入門08 PartDesign WB 加算減算プリミティブでモデルを作成する

 PartDesignワークベンチでモデリングするときは、工具を使って材料から機械部品を製作することをイメージすれば、モデルを変形する順序がわかりやすくなります。

 PartDesignワークベンチでは、ひとつのモデル(部品)を作成する過程でブーリアン演算を使うことはありません。
 ブーリアン演算の代わりに、加算減算オブジェクトで元のモデルを加工します。形を付け加えたり、削り取ったりしながら、最終形状を構築します。
 FreeCADはパラメトリックなので、形が違った場合には、パラメーターやベースオブジェクトに戻って変更すれば修正できるのが、現実のモデルとは違うところです。

 また、PartDesignワークベンチには次のルールがあります。
・モデルは、必ずボディというオブジェクトの下層に含まれます。
・ボディの中のモデルは、単一で連続したソリッドです。ボディの中に分離した複数のソリッドを含めることはできません。別のソリッドを作成するためには、別のボディを準備します。
・PartDesignワークベンチのツールは、ボディの中のソリッドしか操作できません。

 ボディとは形のあるオブジェクトではなく、ソリッドを入れる透明な箱のようなもので、ローカル座標系を持っています。PartDesignワークベンチでモデリングするときは、最初にボディを作成します。
(他のボディがない状態で、最初にSketchかプリミティブを作成する場合だけは、自動的にボディを作成します。)



 加算減算オブジェクトのイメージをつかむために、プリミティブを使ったモデル作成を練習します。

 PartDesignワークベンチにも、Partワークベンチと同じようにプリミティブがあります。ただし、ブーリアン演算で合成する必要がないように加算プリミティブと減算プリミティブに分かれています。

加算プリミティブは、ツールバーの加算プリミティブのプルダウンメニューから選択できます。
PartDesign AdditiveBox.svg 加算ボックス   PartDesign AdditiveCylinder.svg 加算円柱     PartDesign AdditiveSphere.svg 加算球体     PartDesign AdditiveCone.svg 加算円錐
PartDesign AdditiveEllipsoid.svg 加算楕円体    PartDesign AdditiveTorus.svg 加算トーラス   PartDesign AdditivePrism.svg 加算多角柱     PartDesign AdditiveWedge.svg 加算楔形

減算プリミティブも同様に、ツールバーのプルダウンメニューから選択できます。
PartDesign SubtractiveBox.svg 減算ボックス   PartDesign SubtractiveCylinder.svg 減算円柱     PartDesign SubtractiveSphere.svg 減算球体     PartDesign SubtractiveCone.svg 減算円錐
PartDesign SubtractiveEllipsoid.svg 減算楕円体    PartDesign SubtractiveTorus.svg 減算トーラス   PartDesign SubtractivePrism.svg 減算多角柱    PartDesign SubtractiveWedge.svg 減算楔形

■加算プリミティブで結合する
加算オブジェクトは、元のソリッドと重なっているか、面が接していると、二つのソリッドを結合します。

1)PartDesignワークベンチに移動します。
2)PartDesign AdditiveBox.svg加算ボックスをクリックして、Boxを作成します。






作業ウインドウにプリミティブが表示されます。
タスクタブはオプションに変ります。
初期値のXY平面、サイズ10x10x10のままでOKします。

新規に作成するときは、加算オブジェクトです。減算オブジェクトは基になるオブジェクトがないと作成できません。

モデルタブには、ボディが自動的に作製されます。
その下層のOrigin (座標)の下に、Boxができています。












3)PartDesign AdditiveCylinder.svg加算円柱をクリックします。Boxの横に円柱が表示されます。
オプションで半径を5に変更します。

オブジェクトが重なっていることを確認して、OKすると、結合できます。
(ビューを前面や上面に切替えて確認します。)






Boxの下に、Cylinderができます。Cylinderは加算円柱で作成したオブジェクトですが、Boxと円柱が結合したオブジェクトになっています。




このように、加算オブジェクトで追加した形態は元の形態と結合して、単一の連続したソリッドになります。








■減算プリミティブで削除する
減算オブジェクトは、元のソリッドと重なっていると、元のソリッドから重複部分を切取ります。面が接している場合は、元のソリッドの面を接している面の輪郭で切断します。

1)PartDesign AdditiveBox.svg加算ボックスでBoxを作成します。
2)PartDesign SubtractiveCylinder.svg減算円柱をクリックして、減算円柱を表示します。
オプションで半径を5に変更します。

3)オブジェクトが重なっていることを確認して、OKすると、元のBoxから重複部分が削除されます。

4)Boxの下に、Cylinderができます。

Cylinderは減算円柱で作成したオブジェクトですが、Boxから円柱を削除したオブジェクトになっています。














■減算プリミティブをXY平面で移動する
1)PartDesign AdditiveBox.svg加算ボックスでBoxを作成します。
2)PartDesign SubtractiveCylinder.svg減算円柱をクリックして、減算円柱を配置します。
オプションで半径を5に変更します。







3)オブジェクトを配置する面を決めます。
追加オブジェクトを配置できるのは、XYZの基準面とオブジェクトの面です。

XY平面のままでよいので、作業ウインドウでXY_Planeをクリックすると、色が付き配置基準面になります。

(オブジェクトの面を選択すると、面に色が付き、その面にプリミティブが配置されます。)

オプションのAttachmentの平面がXY_Planeに自動的に変わります。




配置平面を指定すると、下段のAttachment Offsetが入力可能になるので
In x-dirを 10とします。
In y-dirを 0とします。
In z-dirを 5とします。





数値を指定すると、作業ウインドウで加算オブジェクトが移動します。







3)オブジェクトが重なっていることを確認して、OKすると、元のBoxから重複部分が削除されます。








■加算減算プリミティブの練習
Partワークベンチで練習したテーブルを、加算減算プリミティブで作成します。
テーブルの脚は、分離したソリッドですが、PartDesignワークベンチのボディでは、分離したソリッドは作れないので、テーブルを載せる板を準備し、その上にテーブルを作成します。

1)PartDesign AdditiveBox.svg加算ボックスをクリックし、Boxを表示します。





オプションで、長さ100、幅50、高さ10とします。
配置基準面は、XY_Planeをクリックします。
Offsetオプションは z=-10として、板の上面をXY_Planeに合わせます。

以上の条件でOKして、作業台となる板を作成します。

2)脚を作成するために、PartDesign AdditiveBox.svg加算ボックスをクリックしてBoxを表示します。

長さ10、幅40、高さ35とします。


配置基準面は、XY_Planeをクリックします。


Offsetは、x=10、Y=5とします。

配置基準面は、1で作成したBox(作業台)の上面でも配置できますが、XY_Planeにすると、位置合わせが座標のイメージでできるので、今回のモデリングではすべての配置をXY_Planeで行います。


3)反対側の脚も、PartDesign AdditiveBox.svg加算ボックスをクリックして表示します。
長さ10、幅40、高さ35とします。
配置平面は、XY_Planeをクリックします。
Offsetは、x=80、Y=5とします。



4)脚の切抜きのために、PartDesign SubtractiveBox.svg減算ボックスをクリックして表示します。
長さ10、幅40-3*2、高さ35-3とします。



配置基準面は、XY_Planeをクリックします。


Offsetは、x=10、Y=5+3とします。










5)反対の脚も同様にして切抜きします。
PartDesign SubtractiveBox.svg減算ボックスをクリックして表示します。
長さ10、幅40-3*2、高さ35-3とします。

配置基準面は、XY_Planeをクリックします。
Offsetは、x=80、Y=5+3とします。
6)脚の上のガラス受けを作成します。
PartDesign AdditiveCylinder.svg加算円柱をクリックして、円柱を表示します。
半径2.5、高さ3とします。



配置基準面は、XY_Planeをクリックします。



Offsetは、x=15、y=10、z=35とします。



残りの3か所もPartDesign AdditiveCylinder.svg加算円柱をクリックして、円柱を表示、オプションを入力して配置します。

半径2.5、高さ3とします。
配置基準面は、XY_Planeをクリックします。

Offsetは、x=15、y=40、z=35とします。
Offsetは、x=85、y=10、z=35とします。
Offsetは、x=85、y=40、z=35とします。

脚やガラス受けは、実際には複写ツールを使う方が簡単です。


7)天板を作成します。
PartDesign AdditiveBox.svg加算ボックスをクリックして、表示します。

長さ100、幅50、高さ2とします。


配置基準面は、XY_Planeをクリックします。



Offsetは、x=0、Y=0、z=35+3とします。

※右の図で、z=35となっています。入力間違いしたので、作成後にPlacementの配置オプションでz=38に変更して修正しました。FreeCADではそういう修正も簡単にできます。

PartDesignワークベンチのソリッドは単一の連続したオブジェクトなので、PartDesignワークベンチのように天板だけを取り出して、透明度を設定することはできません。
8)作業台を削除します。
天板を作成したことで、天板から脚までが連続したソリッドになったので、作業台を削除します。
PartDesign SubtractiveBox.svg減算ボックスをクリックして表示します。
オプションは、最初に作業台を作成したときと同じです。

長さ100、幅50、高さ10とします。
配置基準面は、XY_Planeをクリックします。
Offsetオプションは z=-10とします。

以上の条件でOKして、作業台を削除してテーブルが完成です。






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