オブジェクトを着色する(1) ビュータブと表示プロパティを設定する


 ここではオブジェクトにシェーディングで着色する方法について検討する。

 FreeCADにはレンダリング用にRenderワークベンチ(Raytracingワークベンチに代わる新しい最新のワークベンチ)がある。BlenderやPov-RayがFreeCADから使えると説明されているが、例によって設定方法や使い方の情報がほとんどないので、自由に操作できるようになるには時間がかかるかもしれない。
 特にレイトレーシングのレンダリングは、テクスチャーの設定が複雑で、計算にはパソコンパワーと時間が必要なので、建物のレンダリングの場合、ちょっと作ってみるには結構重い作業になる。
 作業の中で、建物に軽く着色したものを見てみたい程度なら、オブジェクトに直接着色した方が、そのままで作業を継続できるので、日常的な使用には便利である。

 Renderワークベンチについてはこのシリーズの後半で簡単な使い方を試してみるが、材料の質感などの詳細な設定が必要なら、データをエクスポートしてBlenderなどで読み込んで、細かく設定してからレンダリングする方が高品質なものを作成できる。


■表示モードについて
 作業ビュー全体の表示モードはプルダウンメニューかショートカットキーで、ノーマル表示(V,1)、ワイヤーフレーム表示(V,3)、シェーディング表示(V,6)のように切り替えることができる。
 オブジェクト単位でも、同様にプロパティでFlatLines、Wireframe、Shadedの切り替えができるので、表示方法を混在させることもできる。
 全体の表示モードが、そのまま(ノーマル)の場合は、オブジェクトで設定したモード、その他は全体で設定したモードが優先となる。



1.オブジェクトに着色する最も簡単な方法は、ビュータブのObjectStyleのカラーとサイズ、透明度(Transparency)を変更することである。

この部分は、オブジェクトの右クリックメニューの表示(Appearance)で、「表示のプロパティ」を出して、さらに詳細に設定することができる。

2.建築オブジェクトの場合、マテリアルオブジェクトを作成し、プロパティのMaterialにリンクすることで色を付けることができる。


1は、オブジェクトの種類に関係なく使用できる方法である。

2は、建築オブジェクトに特有のmaterialプロパティを設定するもので、マテリアルオブジェクトの作成とリンクという2段階の操作が必要になる。
 マテリアルオブジェクトは、色だけでなく材料の属性を詳細に設定するオブジェクトなので着色だけに使うには手続きが複雑なだけで、メリットは少ない。



■表示プロパティで着色する
 着色するオブジェクトを右クリックすると、メニューの中に表示(Appearance)があるので、クリックで選択する。

タスクタブが「表示プロパティ」になるので、ここで表示色の設定を入力する。






表示モードから、FlatLines(線と面)、Shaded(面)、Wireframe(線)のどれかを選択する。

特別に線を消したい場合は、Shadedにした方がよいが、通常はFlatLinesでよい。

ここで線を表示にしても、全体の表示をシェーディングにすれば輪郭線の表示は消える。





マテリアルは、金属系を中心に20種類ほどあるが、色と反射に違いがある程度で、素材感や模様の設定はない。

ガラスの設定はないので、オプションの透明度の設定で調整する。







マテリアルを決めたら、色の調整をする。
マテリアル名の右のボタンをクリックして、「マテリアルプロパティ」で調整することができる。

マテリアル以外のプロパティは、
シェイプの色は、内訳の散乱色と同じ。
線の色、輪郭線の色。
点や線のサイズも設定できる。
面と線の透明度も設定できる。

この部分は、ビュータブにも表示されているので、そこで変更することもできる。




マテリアルプロパティは、マテリアルの種類によって既定値が設定されているが、自由に変更することができる。

環境光は、周辺の光が背面からオブジェクトにあたる色
散乱光は、オブジェクトのメインの色。プロパティのシェイプの色と同じ
放射光は、ネオンのような発光体の色
鏡面反射光は、表面反射の色
光沢は、表面の滑らかさ
反射の設定はビュータブにはないので、ここでしか設定できない。




最初から登録されているマテリアルは下の図の通りである。
1列目については立方体でも表示してみた。
球体で見ると違いがあるが、立方体にするとほとんど色調の違いになってしまう。
光沢を下げると、反射光が分散するので面の方向による色の変化が滑らかになる。


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