入門ガイド(2D-CAD)4:選択機能と図形の編集 文字、寸法、印刷

CADで困っている人に(4)

TITLE: 選択の操作と図形の編集
  作図をするというと、線をひとつずつ引きながら、図面を完成させていくイメージがあるかもしれませんが、CADの作図は、複写と編集の繰り返しで図面を作る作業です。
  まとめて操作できるものは、まとめて処理するというのがCADの基本です。複数の線をまとめて編集したり、同じ操作を繰り返したりすることは、手描きではできません。
  したがって、CADのツールの中でも、編集関係のツールは一番重要です。編集のツールと印刷の機能を使うことができれば、日常の製図作業のほとんどの部分を行うことができます。
 すでに、線の編集をするツールをいくつか練習しているので、編集するためには、対象となる図形を選択する必要があることは理解していると思います。
 それでは、編集ツールを練習するために、線を選択する方法について確認しましょう。


個別選択、範囲選択
VectorWorksやDRACADのように、選択用のアイコンがあるものはアイコンを押して、選択モードに入ることができます。AUTOCADは、ツールを選んでないときには選択モードになっているのっで、そのままで選択の操作ができます。JWCADのように、選択のアイコンがないCADは、移動や複写のツールを選んで選択モードに入ります。 

Draftワークベンチは、個別の図形を選択するなら、そのまま図形をクリックすれば選択除外できます。Shift+AまたはShift+Eを押すことで、範囲選択を使い分けることができます。

図形を選択する方法について整理してみましょう。
 ・個別選択は、線の上をクリックして、線をひとつずつ選択する方法です。
 Draftワークベンチでも、画面上で図形をクリックすれば選択することができます。

 ・範囲選択は、画面上で長方形の範囲を指定して、その中に含まれる図形を選択する方法です。
 一般的に左から右に長方形をドラッグすると、その範囲内に完全に含まれている図形だけが選択されます。
 右から左にドラッグすると、その範囲に含まれる図形と線分の一部が範囲に含まれる線分が選択されます。(交差選択といいます)

 ・個別選択と範囲選択はどのCADにもあります。全図形選択もあります。

 ・その他にも、多角形で範囲指定できるもの、ラインと交差している線を選択するものなど選択方法はCADによっていろいろありますが、共通の操作方法はありません。

 ・選択の操作を繰り返して選択する線を追加できるかどうか、選択を解除する方法もCADによって違います。
 図上で次々とクリックすると、選択を追加除外できるソフトと、CtrlキーやShiftキーを押しながらクリックすることで、追加除外できるソフトがあります。

 ・選択するときに、線色や線種、レイヤーなどで絞り込みができるソフトもあります。同じ条件の線をまとめて編集するときに便利です。

 線を編集するためには、必ず選択を使います。選択の操作はCADの中で最も多く使う操作です。線をひとつずつ選んでいてはCADの操作が早くなることはありません。レイヤーの管理と組み合わせて、できるだけまとめて範囲選択する方法を考えてください。 


TITLE: 複写と移動 
 複写と移動はCADの基本です。作図は、複写と編集の繰り返しと書いたように、CADでは一度描いたものを、どれだけうまく転用するかで作図の速さが違ってきます。 基本的な機能なので、どのCADにもいろいろなパターンがあります。
  • 複写、移動:図形を選択し、基準点、移動先の点を指定して、複写または移動します。

    複写と移動は、最も基本的なツールですが、使用頻度が高いだけに、いろいろな操作方法があります。
     1.図形を選択し、2点指示または座標入力で複写移動します。
     2.図形を選択した後、マウスでドラッグすることで複写移動します。
     3.図形を選択した後、コピー&ペースト、カット&ペーストで、複写移動します。
  • 回転複写、移動:図形を回転して、複写または移動します。
    図形を選択後、回転中心を指定し、回転の始点終点や回転角度を入力して作図します。

  • 鏡面(反転)複写、移動:図形を基準の線に対して反転して、複写または移動します。
    反転する軸を作図するもの、図上の線を選択するものなどソフトによって操作方法が違います。

TITLE: 拡大縮小と変形 (ストレッチ)
 拡大縮小については、特に説明は必要ないと思います。
元の図形を残すかどうかで、複写か移動か違ってきます。拡大縮小も編集コマンドですから位置以外のプロパティは変わりません。いくら拡大しても、コピー機で拡大したときのように、それぞれの線の幅が大きくなるようなことはありません。
 操作方法はソフトによってかなり違いますが、いくつかの方法が準備されているのが普通です。次の変形もそうですが、操作手順が複雑なことが多いので、マニュアルなどを見ながら繰り返し練習して理解することが必要です。


  変形ストレッチともいいます。最近のCADの変形はパラメトリック変形というものになっています。パラメトリック変形とは、本来は、図形と寸法線を連動させ、図形を変えれば寸法が変わり、寸法の数字を変えれば、図形が変わるというものです。
  ただし、AUTOCADやJWCADでは、図形と寸法線を一緒に変形させれば、寸法の数字が自動的に変わるという程度のものです。寸法線の長さが変わると自動的に寸法の数値が変わるだけで、寸法を変更すれば図形が変形するようなことはありません。
  拡大縮小が、選択した図形全体を均等に変形させるのに対して、変形は選択された範囲の線だけを動かします。移動ツールとの違いは、移動した線はつながっていた線から離れてしまうのに対し、変形ツールで動かした線は、つながっている線がつながったままで動きます。
 移動は選択した線が移動するのに対し、変形は範囲内の点が移動すると考えることもできます。点が移動するので点につながっている線が変型することになります。
 右の図では、P1からP2の長方形の中の点がP3とP4の相対関係で移動すると考えることができます。範囲選択の方法は、P2からP1に動かす交差選択を使う場合もあります。

 正方形の1辺を変形すると線はつながったままついてきますから、平行四辺形になります。変形ツールは点だけでも指定できるので、正方形のひとつの頂点を、範囲選択で囲んでから変形させるとゆがんだ四角形になります。

  この変形という機能も、作図ではよく使います。図形の全体の形を保ったまま、一部分を移動するとか、逆に一部分の形を保ったまま、図形全体の寸法を変えるというときにはこの変形が便利です。この機能がないと、図形の一部を移動してから、それにつながる線を全部編集しなければいけなくなります。



TITLE: 4.文字、寸法、印刷その他の基本的な設定 
 文字や寸法、印刷についてはCADによる違いが大きいので、まとめて書くことができません。文章でまとめて説明するのはかなり難しいので、マニュアルなどで基本的な操作方法を確認してください。

 文字については、文字のサイズを決めること、文字の書き方、文字列の編集の方法がわかれば、まずは使えます。文字の複写や移動は、普通の複写移動ツールを使うものと、文字をドラッグしてそのまま移動できるものがあります。
 文字の書き方も、ただ位置を指定して書き込むだけでなく、いろいろなパターンを持っているCADもありますが、最初から全部覚える必要もないので、一番簡単な方法をだけでも覚えてください。 

 寸法で問題になるのは、寸法線のスタイルと文字の関係です。あまり細かい設定をしなくても使えるCADもありますが、細かく設定して使うのが好きな人もいます。このあたりは使う人のこだわりなので、どこまで覚えればいいというものでもありません。標準の設定で使えるのなら、最初はそのままで始めてもいいかと思います。
 寸法のツールは、操作方法や、図形の形、大きさによって、予想していないような形で表示されることがあります。操作方法の間違いか、図形の問題か調べてみることも大切です。  その他に寸法に関しては、寸法値の移動ができるものがあります。自動的に記入した寸法が重なって読めないときには、移動することもありますから、確認しておいた方がよいでしょう。


印刷 AUTOCAD
 AUTOCADでは、モデル空間というシートに図面を描き、レイアウトというシートで印刷の配置を決めるのが本来の使い方法です。初めはモデル空間で作図し、モデル空間で印刷する方法でもよいでしょうが、レイアウトはAUTOCADを使うのであれば、必ずマスターしなければいけない機能ですから、いつかは使えるように研究してください。
 AUTOCADで印刷するためには、印刷スタイルを作ります。画面上の表示色別に印刷時のプロパティを対応させて、名前を付けて保存すれば登録は完了です。
  次に印刷コマンドを選び、印刷デバイスでプリンタ名と印刷スタイルを指定します。レイアウト設定で用紙サイズと縮尺を決めます。
 印刷領域は窓を指定すれば、作図画面に戻るので、印刷したい部分を四角形で範囲指定すれば設定完了です。印刷領域は他の方法で決めることもできます。完全プレビューで印刷の状態を確認して、印刷します。位置を微調整したいときは、印刷オフセットに適当な数値を入れることができます。

印刷 JWCAD
 JWCADの最大の特徴は、オートモードとクロックメニューです。JWCADを使うなら最終的にはこれを使えるように練習しましょう。
 JWCADの印刷は比較的簡単です。メニューの設定の中の基本設定を選ぶと、ウインドウが開くので、色・画面タブのプリンタ出力要素の部分で、画面の表示色と印刷のプロパティを対応させます。
  あとは、印刷のコマンドでプリンタを選べば、印刷画面になるので、印刷範囲を指定して印刷します。

印刷 VectorWorks] 
 VectorWorksは、もともとMacで使われていたCADなので、他のCADとは少し操作方法が違います。グラフィックデザインで使われるイラストレーターというソフトがありますが、そういうドロー系のソフトの操作方法に似ています。

 VectorWorksの印刷は、画面の表示をそのまま印刷するという考え方をしているので、最もわかりやすい方法かもしれません。
 他のCADのように、画面の線色を他の色や線種に対応させる機能はありませんから、印刷で線幅を変えるには、作図するときに線の太さを変えておく必要があります。
  カラーで作図した図面を白黒で印刷するには、白黒表示のチェックをONにします。
  用紙移動のコマンドで、印刷範囲を指定して、プリントでプリンターを指定してOKを押せば印刷開始です。

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