入門ガイド(2D-CAD)3:基本的な作図編集機能
CADで困っている人に(3)
TITLE: 基本的な作図、編集機能
作図編集機能を練習するには、CADを操作した方が理解が速くなります。使いたいCADがある場合はそのCADを使って、ない場合はFreeCADのDraftワークベンチでも2DCADの基本機能は装備しているので機能の確認はできます。ただし、Draftワークベンチは製図用ソフトではないので、線色、線種、線幅、レイヤーの設定アイコンがなく、その部分は別のCADで練習することが必要です。
作図編集ツールの操作が終わった時に、通常モードに戻る方法は自動的に戻るもの、EnterキーやEscキーを押して戻るものなど、ソフトによってかなり違います。
AUTOCADでは、連続した操作を継続中はEscキーで戻りますが、JWCADはEscキーを押すとアンドゥ機能になります。操作そのものがキャンセルされて、図形が編集前に戻ってしまうので、AUTOCADとJWCADを併用するときは注意が必要です。
基本的な作図ツール
[画層、線色、線種の設定]
最初に作図する画層(レイヤー)を決めます。AUTOCADでは画層を新規作成します。初期状態で画層0が設定されているので、練習ではそのままで使っても問題ありません。
次に、アイコンで、線色、線種を決めます。線幅は色に対応させるなら設定しなくてもかまいません。
Draftワークベンチでは(標準設定で変更することはできますが)、画層、線色、線種のアイコンがないのでそのまま作図します。作図後にビュータブで線色、線種、線幅を変更することができます。
一般的なCADでは、作図前に属性を決めるほかに、作図後にその要素を選択して線色、線種、線幅を変更することができるようになっています。
AUTOCADには少し特殊なByLayerという属性があります。これは初期のCADで考えられた方法です。ひとつのレイヤーにひとつの線色と線種、線幅を固定することで、線の属性を始点と終点、レイヤーだけにすることができるので、データ量を少なくすることができました。パソコンが高速化しメモリーも大きくなった今のソフトでは必要のない属性ですが、古いデータとの互換性のために今でも残っています。属性としては扱いにくく、他のソフトへのデータの移行という面でもあまり使わない方がよい設定ですが、標準がBylayerになっているので、意識して変更しないとBylayerを使い続けることになってしまいます。
画面上に図形がある場合は、スナップで点を合わせることもできます。
2.画面上で始点をクリックしてから、終点までの移動量(X,Y)を入力して作図することもできます。始点終点を絶対座標で入力できるものもあります。
3.角度や線の長さを設定して、画面上でポイントをクリックして配置できるソフトもあります。
線を作図するときに始点終点を指定した後、次の点を指定すると連続して線を作図できるソフトもありますが、ばらばらの線がつながっているだけで、それぞれの線は別の要素です。
連続線(ポリライン)ツールを使うと、つながった線はひとつの要素として扱われます。
線を描く時に、Shiftキーを押しながらマウスを動かすと、線の方向が水平垂直に固定されるソフトがあります。また、直行モード(線の移動方向を水平垂直に固定)、角度モード(線の移動方向が一定の角度の方向に固定)のあるソフトもあります。
[長方形を作図する]
1.四角形は、対角線上の始点終点を指定して作図します。長方形の形状を決定してから回転させることができるソフトもあります。
2.画面上のマウスのクリックで指定する場合と、座標入力で指定する場合があるのは、直線の場合と同じです。
3.長方形のサイズを決めてから、ポイントを指定して配置できるものもあります。
円と円弧は、中心点と円周上の点を指定して作図する方法と、円周上の3点を指定して作図する方法が一般的です。円弧の場合は、さらに始点と終点を指定します。
[その他の基本図形]
基本図形としては、上の4つと連続線が作図できれば、だいたいの作業はできます。その他は必要になった時に調べてみてください。
楕円や自由曲線はソフトによって操作方法が全く異なるので、ひとつの方法では説明できません。マウスで位置指定するか、座標または数値入力で形状を決定するので、マニュアルを見ながら何度か試してみるしか方法はありませんが、使用頻度は少ないのであまり急ぐ必要はありません。
自由曲線もソフトによっていろいろな作図法があります。Bスプラインがあれば、通過点を指定しながら作図できるので、他の曲線よりは操作が簡単です。
基本的な編集ツール
[編集対象の選択と編集ツール]
図形を編集するためには、編集する要素を選択してから、編集ツールをクリックするタイプと、編集ツールをクリックしてから、対象を選択するタイプがあります。どちらでもできるソフトが多いのですが、機能によっては順序が固定しているものもあります。
どちらかといえば、対象を選択してから編集ツールをクリックする方が、選択ミスが少ないので間違いが少なく、新しい方法です。対象を選択した上で右クリックメニューから編集ツールを呼出せるようになっているソフトもあります。
編集ツールを先にクリックする場合は、その操作を連続して繰り返す場合などに使えることがあります。
[図形を削除、延長トリム、部分削除する]
線または図形を削除する方法は、対象を選択し削除ツールをクリックすることですが、ほとんどのソフトは、対象を選択した後でDeleteキーを押して削除することができます。右クリックメニューから削除という方法もあります。
線の延長は、線の端点を延長線上の図形の位置まで延伸します。トリムは逆に交差している線の位置まで短縮します。
一般的な使い方は、延長またはトリムする境界となる線を選択し、延長トリムツールを選択し、変形する線を選択します。選択する順序はソフトによって違うことがありますが、境界になる線と変形する線を選択することは同じです。
Draftワークベンチの延長トリムツールは特殊で、変形する線を選択しトリムツールをクリックすると、線の端点がマウスの動きに合わせて移動します。任意の点か、境界となる線をクリックすると線の長さが変わります。
この他に削除ツールで覚えておきたいのは、部分削除ツールと線の分割ツールです。部分削除は線を選択した後、線上の2点を指定して線の一部を削除するツール、線の分割は線を指定点で分割するツールです。操作方法はソフトによってかなり異なります。ソフトによっては両方そろっていないこともありますが、ひとつの線を2つにわけることは必要なので、かなり重要なツールです。
[コーナー処理(フィレット)]
離れている線を、交点まで延長してつなぐツールもあります。JWCADでは「コーナー処理」、VectorWorksでは「結合」、DRACADでは「線分連結」といいます。AUTOCADにはこのツールがありませんが、コーナーを円弧でつなぐ「フィレット」というツールがあるので、円弧の半径を0にすれば同じ操作ができます。
AUTOCADやVectorWorksでは、線を選択した後、線の端点をドラッグすると端点を自由に移動することができるので、線の端点を別の線にスナップすることもできます。
消去や延長の関係のツールは、図形の訂正をするためには必ず必要なツールなので、できるだけ多くのパターンで操作できるように練習してください。
[オフセット]
オフセットは、AUTOCADとVectorWorksでは「オフセット」です。JWCADでは「複線」、DRACADは「平行複写」です。
オフセットに関しては、JWCADは特殊です。他のCADは編集のコマンドと考えているので、複写しても位置以外の線のプロパティは変わりません。ところが、JWCADでは、作図のツールと考えているので、新しい線はそのときの作図の設定にしたがって、プロパティが変わります。つまり、白い線を平行複写しても、そのときの作図線色が赤であれば、赤い線になって複写されるわけです。
ソフトによる操作方法の違いがあります。オフセット値を設定した後、対象を選択してからオフセット方向をクリックするもの、対象にマウスを近づける方向にオフセットするものなど操作方法は違いますが、結果はほぼ同じです。
ソフトによっては元の線を消して移動ツールとして使うことができるものもあります。
斜めの線や、曲線は平行移動する距離をXY座標で決めるのは不可能なので、オフセットでコピーします。水平垂直の線でも、移動先にスナップできるポイントがない場合は、平行移動するだけなら移動量をXYで入力するより、オフセットを使う方が簡単です。
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