入門ガイド4.6 建具(ドアとウインドウ)と階段を作成するいくつかの方法

■建具(ドアと窓)ツール
 建具ツールは、BIMワークベンチではBIM Door.svg ドアツールとArch Window.svg ウインドウツールに分かれていますが、同じものです。
 FreeCADのツールは、直前の設定値が残るものが多いのですが、なぜかドアツールでは消えてしまうので、ドアについてもウインドウツールを使うことを勧めます。



建具を作成する方法は3つあります。
1. オプションでプリセットを選択し、壁に直接配置する。
 (一時的に仮置きし、壁位置に移動することもできます。)
2. プリセットで配置した建具のベースオブジェクト(Sketch)を編集して、建具の型式を変更する。建具要素の登録が必要になります。
3. Sketcherでベースオブジェクトを作図し、建具ツールをクリックして建具に変換し、建具要素を登録します。

■1.建具のプリセットを使う
窓ツールをクリックすると、オプションが表示されます。
設定項目は上から順に次の通りです。

□ホストオブジェクトへ自動的に含めるは基本的にONです。壁に建具を配置すると建具が壁の下層に入り、建具のプロパティHostsに壁が設定されて、壁を建具で切抜きします。

敷居の高さは、配置ポイントから建具下端まで腰壁の高さです。

プリセットで種類を選択します。
プリセットは、嵌殺し窓、開き窓、上げ下げ窓、引違窓、片開ドア、ガラス框ドア、4枚開きドア、突き出し窓があります。種類が少なく細かい設定ができないので、使える箇所や使い方は工夫が必要です。
ここにないものは自作するか、外部ライブラリからモデルを探してくることになります。

図を参考にして寸法を設定します。
幅と高さは枠外側のサイズです。
Hは枠と框の見付(正面から見た寸法)です。
Wは枠と框の見込(奥行寸法)です。
Oで配置ポイントまたは枠から部材までの奥行オフセットを設定できます。
図にない部分は入力しても無効です。

設定できたら作業平面で建具を壁に近づけると、作業平面のグリッドが壁面に移動し、建具が壁の方向にそろうので、配置するポイントをクリックして指定します。
作業平面は自動的に移動しますが、失敗することも多いので、先に建具を配置する面に作業平面を移動してから、建具配置の操作をする方が確実です。

プリセットを使う場合は、円形、曲面の壁には建具を正しい方向で配置することができません。疑似的な壁を作成して配置する方法を考えましたので、必要な時に操作編を見てください。

建具のデータタブのプロパティSymbol Plan、 Symbol Elevationをtrueにすると、建具の開き方が表示されます。Openingを%で入力すると建具が開いた状態で表示されます。(開き戸に限る)


2.プリセットを編集する
FreeCADの建具は、Sketchをベースオブジェクトにして建具に変換しています。ベースのSketchを編集することで、建具の型式を変更することができます。
プリセットでは、両開きや親子開き扉もありませんが、簡単な形状であれば自作するよりプリセットを変更する方が簡単です。

モデルタブで建具をダブルクリックすると、窓要素登録(コンポーネント)画面が表示されます。
上部の窓要素部分で、窓の枠、扉、ガラスのような要素をコンポーネントとして登録する画面です。下の追加、編集、削除ボタンで部材を追加編集できます。

下の基本コンポーネントの下層のSketchをダブルクリックすると、Sketcherに移動するので、建具の姿を修正します。
(モデルタブの建具下層のSketchでも同じです。)
Sketcherで建具の姿を変更したら、もう一度、窓要素の登録画面にもどり、要素を登録します。操作編やモデリング練習を見て確認してください。



3.Sketcherで作図し、建具ツールで変換する
建具をSketcherで作図し、建具ツールで建具に変換する方法もあります。
建具を配置したい面に作業平面を移動します。BIMワークベンチのスケッチャーNewSketch.svg Sketch作成ツールをクリックすると、Sketcherに移動して作業平面にSketchを作図することができます。

Sketchができたら、作業画面にもどりモデルタブでSketchを選択し、建具ツールをクリックするとウインドウに変換されます。
Sketchはウインドウの下層に移動します。

ウインドウをダブルクリックして、窓要素の登録画面を表示し、要素を順に登録します。


Sketcherでベースオブジェクト(建具の時はベースラインという)を作成、編集し、建具コンポーネントに登録するには、作図ルールや細かい設定があります。操作編やモデリング練習を見て確認してください。

Sketcherでベースオブジェクトを作図し、建具の変換する方法は、平面を押出して部品を作成しているので、家具などの図面を真っすぐ押出して作成できるモデルに転用できそうです。



■階段ツール
階段ツールはいまのところ直線状の階段を作成できるだけです。(中央に踊り場を設けることはできます。)
ただし、階段の基準となるベースラインを組み合わせることで、折り返し階段、複数階の階段、角度のある階段などを一度に合成できるので、曲線でない限りいろいろなパターンが作成できます。

手摺子はSketcherで作図し、パイプやフレームツールで部材に変換すれば、自由な形状が作成できます。

階段を作成する方法は、基本的には次の2種類があります。
1. 長さ高さ段数の既定値を使って階段を自動生成してからプロティで形状を変更する方法
2. 直線(ベースライン)を階段に変換する方法

1.の方法は、何も選択していない状態で階段ツールをクリックすると。絶対座標(0,0)の位置に階段を作成します。高さ3000 長さ4500 幅1000 段数17段が既定値です。
プロパティを使って形状を調整します。
形状ができたら、必要な箇所に移動、回転して配置します。設定と移動回転の手間がかかるので、2.の方法が簡単です。

2.ベースラインを作成し、階段に変換する
水平面にベースラインを作図し、これを階段に変換します。ベースラインを複数選択し、階段ツールをクリックすると、順番に積み上げる形で階段を作成できます。

ベースラインを作図するときは、階段の起点から終点方向に作図します。長さは踏面の合計です。
ベースラインに対して同じ方向に階段ができることになるので、階段幅と方向を考慮して作図します。ベースラインの左側に階段とするのが、他の項目を設定時にエラーになることが少ないようです。


プロパティで次の項目を変更できます。

階段
  • 配置:ベースラインに対する階段の位置(LeftまたはRight)。
  • 高さ:階段の合計の高さ。
  • 長さ:階段の全長。
  • :階段の幅。
ステップ
  • 踊り場長さ:0の場合は階段幅
  • ノーズ:階段踏板の持ち出しのサイズ。
  • ステップ数:階段のステップの数。
  • ライザーの高さ:蹴上の高さ。(高さと段数から自動計算)
  • トレッドの深さ:踏面寸法。(長さと段数から自動計算)
  • トレッドの厚さ:踏板の厚さ(仕上げ厚)
構造
  • 現時点では形式は直進階段のみ。
  • ランディング:踊り場の有無。NoneまたはAt centerが有効。
  • ストリンガーオーバーラップ:階段と桁材の重なり寸法。
  • ストリンガーオフセット:階段の境界と桁材の間のオフセット。
  • ストリンガー幅:桁材の幅。
  • 構造:階段のタイプ。Massive(コンクリート)、鉄骨階段1本桁タイプ、2本桁タイプ
  • 構造の厚さ:コンクリートスラブの厚さ、または桁材の高さ。

階段は、プロパティを変更することで、形状や寸法を変更できます。使用方法は操作編やモデリング練習を見て確認してください。
階段ツールでは作成できませんが、らせん階段を作成する方法についても操作編で検討しています。

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