入門ガイド4.3 壁ツールのオプションと作成パターン
■建築オブジェクト(Archオブジェクト)
FreeCADのBIMワークベンチのBIMツールで作成する建築部材のオブジェクトを建築オブジェクト(BIMオブジェクト)といいます。建築オブジェクトはソリッドに建築情報を付加したデータになっていて、外部のBIM、3Dソフトとデータを共有できるように定義されています。
プロパティを見ると、ビュータブでは、Column(柱)やBeam(母屋材)にNodesグループが追加されています。Nodesは構造部材の中心線情報を保存します。
データタブでは、ソリッドの形状パラメーターを保存しますが、その他に建築オブジェクトになるとComponentとIFCグループが追加されます。
Componentは、部材の面積や長さなどモデルの数量に関する情報、IFCはBIM部材情報を保存しています。
FreeCADの内部においても、建築オブジェクトは特別なオブジェクトです。専用のツールで作成し、オブジェクトの動作も決まっています。専用の加算減算ツールもあります。
建築オブジェクトをブーリアン演算で合成するとソリッドになって、BIMプロパティが消えてしまいます。専用の加算減算ツールを使うと、BIMプロパティが残るので建築オブジェクトの合成にはこれを使います。
■壁ツールのオプション
作業画面で何も選択していない状態で、 壁ツールをクリックするとタスクタブに壁のオプションが出ます。
(何か選択していると、そのオブジェクトを壁に変換しようとするので、オプションはでません。)
上部の座標入力部分は壁の始点終点を座標入力する欄なのであまり使うことはありません。
下部の壁のオプションで壁作成の条件を決めます。
長さは、画面で指定するので入力不要です。(数値があっても無効です。)
幅と高さは、入力時に単位があれば注意してください。なければ標準設定のmmです。
Alignは、壁配置の基準線との関係です。中心、左面、右面が選択できます。
左右は壁の終点から始点方向を見た時の方向、あるいは壁の左または右側の線と考えることができます。左右を指定すると、プロパティのオフセットで基準線からの離隔距離を設定できます。
ここで設定する数値が、壁作成後にオブジェクトのプロパティで変更できるのは当然のことです。
■壁を作成するパターン
壁ツールで壁を作成する方法はいくつかあります。
1. 作業平面で始点終点を指定する。
2. Wireオブジェクトを選択し、壁ツールをクリックして壁に変換する。(壁厚作成+押出しを自動的に行う。)
(スプライン曲線は壁に変換することができません。壁にしたい場合は、曲線から面を作り、3Dオフセットでソリッドにして、壁オブジェクトに変換するという方法があります。)
3. Sketcherで作成したSketchを選択し、壁ツールをクリックして壁に変換する。(壁厚作成+押出しを自動的に行う。)
4. Faceを選択し、壁ツールをクリックして壁に変換する。(押出しを自動的に行う。)
5. Solidを選択し、壁ツールをクリックして壁に変換する。
1. 始点終点を指定する方法は、壁ができると、下層にWalltraceという基準線のSketchができます。
メニューバー編集の設定、archで接続部の自動結合オプションが使えますが、慣れないと使いこなすのは難しいです。
2.3.4.は2Dオブジェクトを壁に変換するパターンです。線(Wire)と面(Face)を識別します。もとの図形はベースオブジェクトとして、壁の下層に移動します。
線はオプションの壁幅を採用して、面はそのまま高さ方向に押出して壁に変換します。
押出し方向は、Z軸方向です。作業平面が傾いていると、その作業平面のローカル座標のZ軸方向になります。
3.のSketcherで作図したSketchを壁に変換する方法が、最も簡単できれいに壁を作成する方法です。線の結合部は自動的に結合されます。Sketchを編集すれば、壁の編集、追加、削除も可能です。
4.は、2D図面を読み込んで、壁を塗りつぶして立ち上げるという昔からの3DCADで使っていた方法です。
5.はソリッド形状に壁属性を付加して、壁オブジェクトに変換する方法です。
BIMツールの中にはソリッドでは使うことの出来ないツールがあります。その場合は、ソリッドを壁や柱の建築オブジェクトに変換してからツールを適用します。
この他に、壁オブジェクトはプロパティの設定でブロックに分割することもできます。
マルチマテリアルや多層壁という機能を使うと、複層の壁や中空の壁を作成することができます。
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