入門ガイド4.4 柱、梁、床ツールのオプションと作成パターン

■構造体(柱、梁:母屋材)ツールのオプション
 BIM Column.svg 柱、BIM Beam.svg 梁ツールも何も選択しない状態で、ツールをクリックするとオプションが出ます。
梁と柱はオプションが母屋材(Beam)とColumnに分かれているだけで、同じツールですが、操作方法に違いがあります。

カテゴリとプリセットの欄があります。柱と梁はプリセットという部材の標準断面を自動的に押出してオブジェクトを作成することができます。



柱の設定から確認します。
ドローイングモードがColumnになっていることを確認します。

プリセットなしは、長方形断面で作成することができます。カテゴリとプリセットを空白のままにして、下にサイズを入力します。
長さと幅が断面形状です。高さを指定して、柱の高さを設定します。
配置するポイントを作業平面で指定すれば、柱が作成されます。

プリセットという断面形状を使う場合は、カテゴリとプリセットを選択します。
カテゴリのプルダウンメニューに部材の種類があります。(プレキャストコンクリートの特殊な形状も選択できます。HEBが普通のH型鋼です。)
カテゴリを選ぶと、プリセットに登録されている部材の一覧が表示されるので、適当なものを選択します。

鋼材のプリセットを選択すると、下の形状入力欄の数値を変更しても、形状を変更することはできません。プリセットで選択したサイズが優先されます。

適当な部材がない時は、プリセットの設定ファイルに追記することもできますが、今のところH型鋼と溝形鋼程度しか対応していないようです。

プリセットを選択すると、長さと幅に自動的に数値が入ります。高さは必要な数値を入力します。


梁(母屋材)の設定も同様です。
ドローイングモードが母屋材になっていることを確認してください。

プリセットなしで長方形断面を使う場合は、カテゴリとプリセットは空白のままにします。
入力欄に長さ、幅、高さを入力します。
梁は始点終点の2点指示で配置します。


注意事項:作成完了して、再度梁ツールを選択すると、高さ(3段目)に入力した数値が長さ(1段目)に移動していますが、同じ断面ならこのままでも作図できます。
断面を変える場合は、幅と高さに新しい数値を入力します。
うまくいかない場合は、下の長さ/高さの入れ替えをクリックしてみてください。

プリセットを使う場合は、カテゴリとプリセットを選択します。
プリセットを選択すると、長さ(1段目)と幅(2段目)に選択した部材の数値が前から順に入ります。(幅と高さはバラバラですが、このままで作図できます。)

プリセットは、登録された形状を呼び出して柱、梁を作図するので、選択した断面がプロパティに設定されます。(寸法の順序が違っていても関係ないようです。)

鋼材のプリセットを選択すると、下の形状入力欄の数値を変更しても、形状を変更することはできません。プリセットで選択したサイズが優先です。

プリセットで作成した柱と梁は、プロパティで断面形状を変更しても変更することができません。プロパティのBaseを別のプロファイルと入れ替えると、断面を変更することができます。



■柱(Column)を作成するパターン
 BIM Column.svg 柱ツールで柱を作成する方法は次の通りです。
1. 作業平面で柱配置位置を指定し、オプションで設定した形状の柱を配置します。(座標入力も可能です。)
2. Wire、Sketchオブジェクトを選択し、柱ツールをクリックして柱に変換します。(高さはオプションの設定値になります。)
 閉じたWireであれば、面に変換していなくても、面と判断して柱を作成します。Sketchでも作成できます。(壁ツールは線と面を区別します。)
3. Faceを選択し、柱ツールをクリックして柱に変換します。(高さはオプションの設定値になります。)
4. Solidを選択し、柱ツールをクリックして柱に変換します。(オブジェクト名は構造体になります。)

柱の配置については難しい問題はありませんが、ひとつずつ位置を指定していくので、本数が多いと手間がかかります。コピーやクローンで複写するのもひとつの方法ですが、軸システムを使うと一括して配置することができます。

コピーやクローンを使うと、複写方法によって形状を変更した時に影響の及ぶ範囲に違いがあるので注意が必要です。


柱を軸システムで一括配置する方法
 まず、柱を、基準点(0,0)に配置します。
 柱のデータタブcomponentの軸の欄をクリックし、表示されるオブジェクトから軸システムを選択する。
縦軸、横軸は、各軸の始点位置にコピーされ、縦横をまとめた軸システムを選択すると、軸線の各交点に柱がコピーされます。
(基準点の位置と軸線の交点が違う場合は、基準点に作成した柱は消えます。)

この他に、プロパティでパスや柱の方向を設定できるので、傾斜した柱を作成することもできます。



■梁(母屋材)を作成するパターン
 BIM Beam.svg 梁ツールで梁を作成する方法は次の方法があります。

1. 画面上で2つのポイントを指定するか、座標を入力すると、梁は2つのポイントの間に配置されます。
 配置の基準点は、梁断面中心です。(プリセットのプレキャスト材だけは、梁の端部になっています。)
 梁を配置するときは、作業平面を配置したい面から、梁高さ×1/2だけ下げて操作すれば、梁天端のレベルを配置面に合わせることができます。

2. ビューで閉じたWire、閉じたsketch、Faceを選択し、梁ツールをクリックして梁(母屋材)に変換します。
 長さはオプションで設定した値になるので、プロパティで調整します。

 押出し方向は、面に垂直なので、断面形状は垂直な面に作図します。

3. 4. Solidを選択し、梁ツールをクリックして梁に変換します。(オブジェクト名は構造体になります。)

梁と柱は同じ構造体オブジェクトなので、プロパティでパスや方向を設定して、傾斜した梁を作成することもできます。


ソリッドで作成した柱や梁は、構造体オブジェクトに変換しないと、Nodesプロパティがないので、構造設計に渡すデータとしては不十分です。


■床オブジェクトを作成する方法
 床ツールをクリックしてもオプションは表示されません。
 床オブジェクトを作成する方法は2つあります。

1. 作業ウインドウで2Dプロファイル(閉じたWire、閉じたsketch、Face)を作成し、選択して、床ツールをクリックすると、その面を押し出して床を作成します。
 床のスラブ厚さは標準で200になっているので、プロパティで調整します。

2. スラブツールにはプリセットがないので、ポイントを指定して作成することはできません。
別のツールで作成したsolidを選択し、スラブツールをクリックすることでスラブオブジェクトに変換することができます。



■2D図面の作図方向と押出しのルール
構造体(柱、梁、床)のツールは、2Dプロファイル(閉じたWire、閉じたsketch、Face)をオブジェクトの法線方向(面に垂直方向)に押出して構造体オブジェクトを作成します。2D形状は反時計回りに作図すると押出しは正方向(上方向)、時計回りは逆方向となります。
長方形ツールで作成した図形は反時計回りになっています。
床範囲を長方形で作図すると、正方向(上方向)に押出されるので、Placementで床の厚さ分だけ下方向にさげる必要があります。

柱梁は反時計回りに作図して上方向に、床は時計回りに作図して下方向に押し出せば、レベルを調整する手間を省くことができます。



■構造体オブジェクトの高さとレベル高さのリンク
構造体オブジェクト(壁、柱、梁、床)は、難しいリンク設定をしなくても、レベルオブジェクトを使って、高さ方向の自動変更が可能になっています。

構造体オブジェクトがレベルオブジェクトの下層にあって、高さが指定されていない(0とする)ときは、自動的にレベルオブジェクトのプロパティHeightの高さになります。

これは、柱と壁の高さを階高変更に対応させる時に使うことができます。

1.構造体オブジェクトをレベルオブジェクトの下層に移動します。
2.レベルオブジェクトのプロパティHeightに高さを入力します。通常は最初に設定した階高の数値が入っているので、必要があれば変更します。
 (数値の直接入力のままでは柱と壁の高さをまとめて変更できるだけですが、この部分の数値を階高にリンクすれば階高変更に対応できます。)
 Placementの数値を変更するわけではないので、レベルの高さ(位置)が変わることはありません。
3.レベルのHeightとそろえたい柱、壁のプロパティHeightを0に変更します。

これで、指定した柱と壁はレベルのHeightで高さを変更することができるようになります。


■構造体オブジェクトをレベル変更に合わせて移動する
構造体オブジェクト(壁、柱、梁、床)がレベルオブジェクトの下層にあり、プロパティcomponentのMove With HostがONになっていると、レベルオブジェクトの位置を移動すると、構造体オブジェクトも移動します。
Move BaseはONのときは下層にあるベースオブジェクトが構造体と一緒に移動し、OFFであれば元の位置に残ります。

1.構造体オブジェクトをレベルオブジェクトの下層に移動します。
2.構造体オブジェクトのプロパティcomponentのMove With HostをONにします。
(メニュー編集の設定、Arch、全般的な設定のMove With HostをONにしておけば、毎回チェックする必要はありませんが、壁に配置した建具を移動すると、壁の動きがおかしくなるのでOFFのままにしておきます。)
3.レベルのプロパティでPlacementのZ値を変更すると、構造体オブジェクトの高さ位置がレベル変更に伴って移動します。

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