Tips集【階段ツール】BIM階段ツールで複雑な階段を合成する


 FreeCADの階段ツールは現段階では直線階段しか作成できないが、ベースラインを使うと複数の階段の合成ができることが分かったので、その方法でいくつかのパターンを検討してみる。
 ベースラインとして作図したものを階段に変換するだけなので、任意の角度で曲げることもできるし、踊り場の形状さえ作図すればどんな方向にでもつなぐことができる。
ただし、階段ツールは曲線には対応していないので段の部分が曲線になる階段は作成できない。

 ここでは、単純な折返し階段、複数階の折返し階段、90度で連続的に折れ曲がる階段、踊り場に段を設ける場合について作成してみた。踊り場の段はただの思い付きでArrayと回転体ツールで作成したので、他にもっと簡単な方法があるかもしれない。
 手摺については、10.5鉄骨階段で作成したように、Sketcherで作図した単線図をパイプやフレームに変換する方法が最も簡単で、どんな形状にも対応できるのではないかと考えている。


■折返し階段
折返し階段については、特に注意すべき点はない。踊り場を作図し、階段のベースラインを始点から終点に向かってLineツールで作図する。
踊り場1000x2000、ベースライン2000で作図した。

ベースラインの書き方によっては、線の端点がつながっている場合もあるが、Lineツールで単独の線として作図する。(連続線で作図すると、階段に変換できない。)

ベースラインを下から順に選択し、すべて選択したら階段ツールをクリックして階段に変換する。
最初のベースラインで作成した階段の上端が次の階段の始点レベルになる。

階段オブジェクトの下層にすべての部分の階段ができるので、プロパティを変更する。場所によって条件が異なる場合は、ひとつずつプロパティを変更する。
手摺はRailと下層のRailingWireオブジェクトになっているので、すべてまとめて削除する。

今回は同じ条件とするので、基準はLeftのまま。
高さは200x9段=1800
階段幅900とする。

段数9を入力すると、蹴上高さ200が自動的に表示される。
踊り場スラブは、平面の踊り場長方形をPlacementで上方向に1800移動する。
(訂正などある場合に備えて、コピー&ペーストで同じものを作成して、それを使う。)
踊り場に移動した長方形をExtrudeで下方向に200押出してスラブにする。

側面から見ると、階段と踊り場が連続していないので、その部分には断面形状を作図してExtrudeで階段幅だけ押し出して作成すればよい。


■複数階の折返し階段
踊り場と階段のベースラインは、単独折返しと同じ作図でよい。
階数分だけ、ベースラインをコピー&ペーストで複写する。

ベースラインを下から順に選択して、すべてまとめて一度に階段に変換する。
階ごとに条件が違うとベースラインも別に作成することも必要になるが、ベースラインを下から順に指定すればよい。

踊り場も平面の図形をPlacementで上方向にコピーして、Extrudeで厚さを付けて完成する。


■90度折れ曲り連続階段
折れ曲り角度が90度でも、踊り場を基準にして階段のベースラインを作図すれば、複雑な操作をしなくても簡単に連続階段を作成できる。
注意点は基準Leftで作成するので、ベースラインと階段の関係を間違わないことである。
今回のベースラインは終点と次の始点がつながっているが、連続線ではなく、Lineツールで分割して作図する必要がある。

今回は、階段のパターンを切替えたので、階段オブジェクトを何回かに分けてプロパティを変更している。
最初の階段は200x14段=2800、階段幅3000
上部は200x7段=1400、階段幅1500としている。

踊り場の作り方は、折り返し階段と同じでPlacementとExtrudeでスラブを作っている。

踊り場から反対方向への階段を作成する場合は、ベースラインを追加してもよいが、踊り場中心を反転軸としてミラーツールで複写してもよい。


■踊り場に段を設ける場合
階段の踊り場に段を設ける場合は、階段ツールでは回転部分を作成できないので、他のツールで合成することになる。

まず、段の高さを正しく設定するには、直線部分のベースラインと踊り場部分の高さを設定するためのダミーのベースラインを作図する。
直線部分は、踊り場につなげているが、ダミーのベースラインは、階段のモデリングに支障のない場所に作図しておく。

ベースラインを選択し階段に変換したら、プロパティを変更する。
段部分は200x9段=1800、階段幅900とする。
ダミーの部分は、踊り場内の段5段x200=1000、高さを作りたいだけなので階段幅は変更しなくてよい。

段部分は回転系のツールで作成する。
FreeCADの回転系は回転軸を設定できるので、垂直の回転軸を作図する。
Lineツールで踊り場平面の階段側の辺の中点にスナップし、Z方向に作図したいが、作業平面がXY平面なので直接作図できない。オプションで座標入力できるので、マウスを動かさないようにして、X=0、Y=0、X=1800とすると垂直のLineを作図できる。

回転させるための部材として、階段の立上り面を選択し、FacebinderツールをクリックするとFacebinderオブジェクトができる。(階段オブジェクトから指定した面を抽出)

抽出したFacebinderオブジェクトを選択し、ArrayツールをクリックしてArrayオブジェクトに変換する。

Arrayのプロパティを変更する。
タイプはpolar(円形配列複写)
回転軸はリンク窓を出して、回転軸のLineオブジェクトを指定する。

角度は-180度
Z方向の移動量を200(1段の高さ)
回数は7とする。(踊り場内5+階段接続2)

踊り場部分に廻り階段の縦面が複写されたので、これを回転体ツールで押出して階段部材にするために、Partワークベンチに移動する。

Arrayオブジェクトを選択し、Part Revolve.svg回転体ツール(Revolve)をクリックしてRevolveオブジェクトに変換する。
プロパティでシェイプはArrayになっている。
回転軸の選択をクリックして、ビューで回転軸のLineをクリックすると下欄に表示される。
押し出す角度は30度とする。
ソリッドを作成にチェックをいれて、OKで段の形状を作成する。

できたモデルは、1段目が階段と重なっているので削除したいが、Revolveオブジェクトのままでは個別に選択できないので、ダウングレードしてsolidに変換する。
削除したいSolidを選んだら、Delで削除する。

ダミーの階段は削除すると、その上の階段の高さの基準が消えるので削除できない。
ダミーの階段と、回転軸のラインは非表示にして、モデルで見えないようにしておく。

この方法では、踊り場部分の段の形状を変更することができないので、変更したい場合は各面に作業平面を移動して、階段の形を作図してExtrudeで押出すのがよさそうである。

コメント

このブログの人気の投稿

はじめに FreeCADでBIMはできるのか(2022/8/8追記)

オブジェクトを着色する(3) パースのレンダリングに挑戦