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11月, 2021の投稿を表示しています

08.1+2壁ツール 壁を結合する 自動結合のオプションと編集方法

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 FreeCADの壁ツールには、オプションの設定で壁の接続部を自動結合する機能があるが、壁のポイントの取り方で、きれいに結合しないことがある。最終的に2D図面化する場合や、3Dプリンターのデータに変換するためには、それぞれの壁オブジェクトを正しく結合する必要があるので、壁の結合と編集方法について考えてみる。 (壁ツールを使うときは、作業平面 を「上面(XY)図」に移動し、WPスナップ をONにしておく。起動時の初期画面のままで作業を始めると、作業平面が移動して壁の方向が正しく作成されないことがある。) ■壁の作成方法と自動結合の有無 壁オブジェクトは、壁ツールを使って次のような方法で作成することができる。作成方法によって壁を自動結合する方法に違いがある。 ①壁の始点終点のポイントを指定して壁を作成する。(スクラッチ)  壁オブジェクトの下層にベースラインとしてWallTrace(Sketch)が自動的にできる。  オプションで、壁の接続部の自動結合をコントロールする。 ②Sketcherで作成したSketchをベースラインとして、指定の幅と高さで立ち上げる。  壁の結合、編集や部分削除はSketcherで修正する。  壁接合部や交差部はSketchの形状に応じて自動的に結合処理する。 ③Line、連続線ツールで作成したベースラインを、指定の幅と高さで立ち上げる。 ④平面に壁の断面(Face)を作図し、指定の高さで立ち上げる。 ⑤壁形状のソリッドを選択し、壁ツールで壁オブジェクトに変換する。 ③④⑤の場合は、ベースオブジェクトを壁に変換するだけなので、接続部の自動結合はできない。 ■オプションと自動結合の関係 壁をポイント指定(スクラッチ)で作成する場合には、 オプション(編集メニュー> 設定> Arch> 全般的な設定> オブジェクトの作成>  □壁の自動結合、 □可能な場合には壁のベーススケッチを結合 )で壁の結合をコントロールすることができる。 壁の自動結合を行うためには、壁の始点が結合する壁に接している必要がある。始点が離れているとそれぞれが独立した壁となる。 ベースラインの端点が正確につながっていなくても、壁厚の範囲内にあればひとつの壁としてWallTraceを合成する。ただし、端点がつながっていないと接続部分が連続的に結合しないので、ベースラインの端点がつ

09.3+2PartワークベンチとPartDesignワークベンチの基本的な違い

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 FreeCADには3D形状を作成するツールとしてPartワークベンチとPartDesignワークベンチがある。技術ドキュメントによると、Partワークベンチは従来の方法を提供し、PartDesignワークベンチはパラメトリック変換によるモデリングを提供するとなっている。  BIMワークベンチでは、Partワークベンチのツールが採用されているので、違和感なくモデリングを続けてきたが、ネットで検索できるFreeCADの説明はほとんどがPartDesignワークベンチの説明になっていて、Partワークベンチとは少し考え方が違っている。  そこで、PartDesignワークベンチを試してみてそれぞれのモデリングの方法と違いについて考えた。モデリングにおいては、これしかないという正解はないのでいろいろな方法を知って使い分けることも必要である。 ■ボディについて PartDesignワークベンチで作成するSolidは必ずボディに含まれている。 PartDesignワークベンチで操作を始めてすぐにいくつか分からないことがあった。  1.そもそもボディとは何か。  2.ボディの中に複数のオブジェクトを作成できない。  3.Face(面)を編集するツール(作成、切断)がない。 これらの疑問はボディとは何かを理解すると解決する問題である。 ボディについて技術ドキュメントには、次のようにある。 ボディはPartDesignワークベンチで Solidを作成するための ベース要素である。スケッチ、データムオブジェクト(作図の基準になる点、線、面のようなもの)、および 単一の連続したソリッド を構築するための PartDesign機能を含める ことができる。 ボディは、ローカルのX、Y、Z軸、および標準平面を含む Originオブジェクト を提供する。  FreeCADと他のプログラムとの根本的な違いは、FreeCADでは同じPartDesign ボディに複数の切断されたソリッドを含めることができない ことである。つまり、新しい機能は常に前の機能の上に構築する(モデルがつながっている)必要がある。これにより、両方の機能が融合され、単一のソリッドになる。 これがボディである。 この例えが正しいかどうかはわからないが、ボディといって最初に考えるのは人間の体である。人間の体は空間の中に位置している

Tips集【基本操作】コピー(複写)ツールの動作とクローンの使い分け

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 移動と複写はCADにおいて最もよく使うツールなので、特に難しい問題はないと考えていたのだが、FreeCADの複写ツールには少し設定に特徴があるので、状況に応じて使い分けないと後でモデルが予想外の変形をすることがある。  複写ツールはDraftワークベンチでは、移動ツールのオプションとして設定されている。オプションのコピー(P)にチェックを入れるとコピーツールとして機能する。  BIMワークベンチでは移動と複写ツールに分かれているが、コピーオプションの違いだけで基本的に同じものである。 移動コピー系のツールとしては、他に回転、クローン、Array(配列複写)、ミラーがある。 移動(回転) ツールは、オブジェクトを別のポイントに移動する。位置以外の属性は継承する。 複写(回転複写) ツールは、オブジェクトを別のポイントに複写する。位置以外の属性は継承する。複写により作成したオブジェクトは、もとのオブジェクトとは独立しているので、作成後に変更しても相互に影響することはない。  以上がマニュアル的な複写の説明であるが、 下層にサブオブジェクトがある場合は、少し違う動作をする。 (データの階層構造については別の記事で検討する。) ・複写ツールでは、サブオブジェクトはもとのオブジェクトと同じオブジェクトを複製するので、どちらかのサブオブジェクトを変更すると、両方のオブジェクトに反映する。 ・完全に独立したオブジェクトとして複写するためには、コピー&ペーストでオブジェクトを複製してから、移動ツールやPlacementで別のポイントに移動する。  オブジェクトを選択しCtrl+C(または右クリック+コピー)を押すと、オブジェクト選択の窓が開いて、依存関係のあるすべてのオブジェクトが表示されるのでそのままOKすれば、すべてのオブジェクトの複製が作成される。  チェックをはずしたものは、もとのオブジェクトと同じものが使われるので、使い分けをすることもできる。 回転 ツールも、移動複写ツールと同様の動きをする。 クローン ツールは、もとのオブジェクトを複製する。クローンオブジェクトにはサブオブジェクトがなく、Objectsプロパティでもとのオブジェクトを参照している。 もとのオブジェクトの形状を変更すると連動して変更するが、単独で変更することはできない。位置(Placement)とビュ

Tips集【階段ツール】BIM階段ツールで複雑な階段を合成する

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 FreeCADの階段ツールは現段階では直線階段しか作成できないが、ベースラインを使うと複数の階段の合成ができることが分かったので、その方法でいくつかのパターンを検討してみる。  ベースラインとして作図したものを階段に変換するだけなので、任意の角度で曲げることもできるし、踊り場の形状さえ作図すればどんな方向にでもつなぐことができる。 ただし、階段ツールは曲線には対応していないので段の部分が曲線になる階段は作成できない。  ここでは、単純な折返し階段、複数階の折返し階段、90度で連続的に折れ曲がる階段、踊り場に段を設ける場合について作成してみた。踊り場の段はただの思い付きでArrayと回転体ツールで作成したので、他にもっと簡単な方法があるかもしれない。  手摺については、10.5鉄骨階段で作成したように、Sketcherで作図した単線図をパイプやフレームに変換する方法が最も簡単で、どんな形状にも対応できるのではないかと考えている。 ■折返し階段 折返し階段については、特に注意すべき点はない。踊り場を作図し、階段のベースラインを始点から終点に向かってLineツールで作図する。 踊り場1000x2000、ベースライン2000で作図した。 ベースラインの書き方によっては、線の端点がつながっている場合もあるが、Lineツールで単独の線として作図する。(連続線で作図すると、階段に変換できない。) ベースラインを下から順に選択し、すべて選択したら階段ツールをクリックして階段に変換する。 最初のベースラインで作成した階段の上端が次の階段の始点レベルになる。 階段オブジェクトの下層にすべての部分の階段ができるので、プロパティを変更する。場所によって条件が異なる場合は、ひとつずつプロパティを変更する。 手摺はRailと下層のRailingWireオブジェクトになっているので、すべてまとめて削除する。 今回は同じ条件とするので、基準はLeftのまま。 高さは200x9段=1800 階段幅900とする。 段数9を入力すると、蹴上高さ200が自動的に表示される。 踊り場スラブは、平面の踊り場長方形をPlacementで上方向に1800移動する。 (訂正などある場合に備えて、コピー&ペーストで同じものを作成して、それを使う。) 踊り場に移動した長方形をExtrudeで下方向に200押出してス

10.6建具、手摺、笠木 多層壁に建具を配置する

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最後に建具と手摺を配置して建物を完成する。 建具は壁に配置するだけなので特に難しいことはないと考えていたが、多層壁や複数の壁にひとつの建具を配置するので、実際に操作してみるといくつか問題があることもわかった。 配置する上での問題点が確認できれば、同じ操作を繰り返して建具を配置することができる。 建具の配置に関しては、エラーとなりもとの状態に戻すことができないことが多発するので、できるだけ頻繁にデータを保存しておくことが望ましい。 ■多層壁への建具配置の問題について 1.建具で切抜きした多層壁で、建具を移動すると壁が一緒に移動することがある。 建具を壁に配置するときに、スナップするポイントがない時は、仮配置してから正しい位置に移動する方法をとっているが、多層壁に建具を配置した場合は建具と同時に壁も移動することがある。 さらに、問題なのはやり直すために建具を削除しても、壁をもとの状態に戻すことができないことである。 この問題を回避するためには、建具オプションで「ホストオブジェクトへ自動的に含める」のチェックをはずし、建具の位置が決定してからHostプロパティを使って切抜きするのが確実である。 もうひとつの可能性として、標準設定の□Move with HostがONになっていることがある。壁のプロパティでMove with Hostがtrueになっていたら、falseにして操作して試してみるとよい。 2.外壁のような複数の壁を表示した状態で、建具を配置しようとすると、スナップがうまく働かない。 FreeCADでデータ量が大きくなった時の問題点として、スナップがうまく機能しないことがある。 回避方法は、建具配置に必要のないオブジェクトはすべて非表示にして、関連するオブジェクトだけを表示の状態で作業すれば、スナップが比較的正しく機能する。 3.複層壁に配置する建具の見込(Width W1)が、オプションの数値とモデルが一致しない。 多層壁に壁厚と同じサイズの建具枠を配置すると、壁厚より小さい枠になる。(小さくなる程度は壁厚によりバラツキがあるので、いくつ追加すればよいとは言えない。いまのところ数値を入力してビューで確認しながら適当な寸法を決めている。) ■建具の配置 上記のような条件を考慮した上で、各面の壁に建具を配置する。今回のモデルでは、多層壁の他に、マルチマテリアルの壁

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