10.5鉄骨階段 ベースラインで折返し階段を作る

 階段ツールは直線階段しか作成できないと考えていたが、今回いろいろと試していると、階段のベースラインを使うことで連続した階段の段部分を一度に作成することができたので、その方法で折り返しのある複数階の階段をまとめて作成する。
 この方法を使えば、角度のある折れ曲がりや段数の調整もできるので応用の可能性が見えてくる。

階段ツールは、段が複雑になるとプロパティがモデルに反映されないことがある。段の基準AlignをLeftにすると比較的エラーにならないので、今回のモデルではAlignがLeftになるようにベースラインを作図する。
作業平面上で作図するときは、WPスナップをONとするが、オブジェクトに移動複写ツールを使うときOFFにしないとうまくいかないこともある。スナップをその時の状況に応じて切り替えていくことが必要になる。

今回の建物の階段は、1-2階3400 18段、2-3階3000 16段、3-R階出口3400 18段で計画する。踏面は270、階段幅は970、両側ささら桁形式50x250とする。

Sketcherで階段のガイドを作図する。同じ繰り返しの部分はSketchからWireを作成するので、同じものを作図する必要はない。

外部リンクで通り芯を指定する。
階段奥行4500を作図する。階段受け梁の位置となるので、通り芯線上にスナップする。
段部は8枚×270=2160、始点は(4500-2500)/2=1170とする。
折返し部分100のライン(受け梁位置となる)も作図する。

「閉じる」で一度戻って、次のSketchを作成する。
1-2Fと3F-RF(RFは屋上出口レベルまで+400)の階高3400部分の段部のベースラインを作図する。(始点から終点方向に作図する。)
外部リンクで、最初のSketchで作図した階段からガイドで使うラインを指定する。
階段の始点終点ラインにスナップし、階段幅970で拘束する。

次のSketchで2F-3Fを作図する。
段数が1段少なくなるので、始点位置をガイドのラインから270で拘束する。
SketchをLineに変換して、ベースラインを作成する。
Sketch003を選択し、DraftSketch変換ツールをクリックするとLine006,007ができる。
Sketch004を選択し、DraftSketch変換ツールをクリックするとLine008,009ができる。
再度Sketch003を選択し、DraftSketch変換ツールをクリックするとLine010,011ができる。

このLineをまとめて選択し、階段ツールをクリックすると、Stairsオブジェクトができて、下層に各階段と手摺Railができている。
RailとRail001は削除する。
各階段は個別に操作したいので、Stairsオブジェクトを削除すると各階段が表示される。名前に11,12,21,22,31,32と場所がわかるように番号を追加する。

階段の大きさを調整する。
階高3400部分(段高さ1700)を選択し、高さ1700、幅970、段数9と入力する。
階高3000部分(段高さ1500)を選択し、高さ1500、幅970、段数8と入力する。
高さと段数を入力したので、1段当たりの高さ:蹴上が自動計算される。

段部分の形状を修正する。階段をまとめて選択し入力することができる。
下段のStructureを先に入力し、Stepsを後にした方がエラーとなることが少ない。

Structureを Two Stringersにして、オフセットを970(階段幅)にすると、ささら桁が階段の外側にできる。
ささらの幅50、高さ250として、Overlapを250で上方向に移動する。

Stepsで踏面板厚30と蹴上板厚10を入力する。
(Stepsで板厚を入力するまで段部の形状は表示されない。)

ささらの折返し部分は踏面端部から100としたいので、踊り場に伸びている部分を削除する。

ガイドを作図した時に、踏面から100のラインを作図してあるので、それを下敷きにして切抜き用の長方形を作図する。
さらに、Extrudeで10m押出す。

ささらをCutしたい階段と切抜き用Extrudeを選択し、Cutツールで切抜きする。
StairsオブジェクトがCutオブジェクトに変わるので、階段の番号がわかるように名前に番号を追加する。

Extrudeは一度使うとCutの下層に入るので、次の階段の切り抜きをするときは、階段とCut下層のExtrudeを選択し、Cutツールで切抜きすれば、切り抜き用のオブジェクトを共通で使うことができる。
この方法で、階段11、12、31、32をCutする。


踊り場は、それぞれの上下の階段を表示にして連続線で床の範囲を作図する。
作業平面を床のレベルに移動する。
(WPproxyのZ値を変更して、ダブルクリックするのがよい。)
WPスナップをONにする。

水平垂直の線を作図するときは、Shiftキーを押しながらマウスを移動すると水平垂直に拘束することができる。
踊り場範囲の作図ができたら、Extrudeで、各フロアレベルは150、中間の踊り場は50で下方向に押出しする。


FreeCADの階段ツールは、最上部が1段下までしか作成しないので、階段と踊り場の間に隙間ができる箇所がある。
それぞれの場所の近くの踏面、蹴上面を選択し、Facebinderツールで面を抽出する。

このFacebinderオブジェクトを隙間部分に移動し、Extrudeで押出してExtrudeオブジェクト(solid)に変換する。
床面は30、蹴上は10の押出しとする。


階段受けの梁と柱を追加する。

梁は、各フロアーは階段端部、中間の踊り場はスラブ端部でササラと接続する。

梁は上からコピーする方がわかりやすいので、作業平面を階段最上部の+9900に移動する。
WPスナップはONにする。

通りから4500の線と、踏面位置の線の位置に小梁150x300を配置する。
踏面側はスラブ端に梁の側面を合わせるように、梁を移動する。

小梁を各レベルに移動複写するために、WPスナップはOFFにする。

Placementで小梁を移動する。
フロアー部分は、梁3000/2+スラブ150= 300下げる。
4500踊り場部分は、梁300/2+1700+床50= 1900下げる。

他のレベルへは、床の端点をスナップして複写を繰り返せば配置できる。


柱は、GLレベルに配置する。
作業平面をGLに移動し、WPスナップをONにする。

小梁の両端に柱150x150を配置する。
各レベルには、複写ツールまたはコピー&ペーストとPlacementで移動でもよい。

柱は各階の梁から梁までとし、柱脚はFL-150、柱高さは1F 2950、2F 2650、3F 2700、RF 2700となる。


階段ささらの床下部分を作成する。
ささら側面を選択し、作業平面を移動する。WPスナップをONにする。
段部のササラから受け梁までの間の面を作図する。

Extrudeで50押出して、ささらの厚さに合わせる。
同じ形状の部分へコピーする。

階段の逆の側のササラ位置へコピーする。

残り半分の階段も同様にして、ササラを作成する。


階段手摺を作成する。

手摺を作成する方法はいろいろ考えられるが、階段に対して細かい寸法を決めながら形を作成していくなら、Sketcherでガイドを作成し、ベースラインを組み立ててからパイプツールかフレームツールで断面形状を押出しするのが簡単である。

手摺もささらと同じように、階段ささらの側面に作業平面を移動し、その面に手摺のガイドを作図する。作業平面を移動して作図する場合は、WPスナップをONにする。

手摺の笠木と支柱中心線を作図し、手摺子は後で複写できるように基準点となる部材とコピー用の部材だけを作図する。
今回は、手摺高さ1100-40/2= 1080、手摺子ピッチ270/2= 135、折り返し持出し50として作図する。
(勾配部分の脚部はささらの中に納まるように、少し長く作図する。)

RFの踊り場手摺は、スラブ側面に作業平面を移動して作図する。

ささらの面に分けて手摺のSketchができたら、BIMに戻って階段のベースラインを作成する。
最初のスケッチを選択し、DraftSketch変換ツールをクリックすると、WireとLineができる。
階段のベースラインをまとめるために、RW(RailWire)11,...というグループを作成し、各階段に必要なオブジェクトをこの中に移動する。

RW11の中の手摺子を選択し、複写ツールで必要な階数コピーする。
コピーしたオブジェクトはモデルタブの最後に追加されるので、これをRW11に移動する。

RW11の中のWireとLineをまとめて選択し、パイプツールをクリックしてパイプオブジェクトに変換する。(パイプの径の既定値は50)

手摺と支柱のオブジェクトを選択し、プロパティの径(Diameter)を40に変更する。
その他のパイプオブジェクトは手摺子なので、まとめて選択し径プロパティを20に変更する。

グループRail11を作成し、できたパイプオブジェクトをその中に移動する。

RW21も同様にして、グループ化、パイプに変換、プロパティ変更、パイプグループ作成の順で手摺に変換する。

手摺12、22、41も同じようにして作成する。
手摺31、32は11と12をコピーする。

手摺は、ささら側面に作図したので、必要な位置とずれた位置に作成されている。
それぞれの手摺を選択し、Placementで移動してささら中心に合わせる。

それぞれ、 X方向に970+50+25で -1045、-25、41手摺はY方向に-25で中心合わせになる。
以上で、階段手摺も完成する。
細かい部分を追加修正したい場合は、ベースラインを編集することもできる。

階段受け梁と柱が露出している箇所に仕上の壁を作成する。

作業平面を1Fに移動し、WPスナップをONにする。
レベルGLと1Fのオブジェクトと階段廻りの受梁と柱を表示する。

作成する壁の中心線として、受梁の側面ライン①から②までをLineで、柱廻り②から③までを
Wireで作図する。
壁(壁095、096)に変換し、壁のMaterialプロパティをStWall-Sに変更する。

壁095の高さを2400、壁096の高さを2700に変更する。

WPスナップをOFFにして、壁095と096をまとめて選択し、複写ツールで1Fから2F、3Fへコピーする。
2F、3Fの柱廻りの壁の高さを2400に変更する。

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