09.2建築のための Draftワークベンチ
FreeCADは3DCADであるので、Draftワークベンチも専用の2DCADに比べると機能不足で使いやすいともいえないが、3Dモデリングに必要な2D作図機能は備えている。詳細な実施設計図のような図面が必要な場合は、製図専用の2DCADを練習する方がよい。
ここでは、Draftワークベンチの中で建築のモデリングをする時に、使うことが多い作図と編集ツールで注意すべき点についてまとめる。それ以外のツールは、技術ドキュメントなどに目を通してもらいたい。
ツールの操作方法については、普通の2DCADと同じものは説明を省略するが、3Dモデルを作るために2D作図は絶対必要な技術なので、別の解説などで検討することをお勧めする。
DraftワークベンチのほとんどのツールはBIMワークベンチに含まれているので、Draftワークベンチに移動する必要はあまりない。
■2D作図ツール
2D作図ツールは、2DCADとしては標準的なものばかりなので特に説明はしない。
基本的な使い方は、ツールを選択し、作業ビューでポイントを指定するか、座標値を入力すると2Dオブジェクトが作成される。
Facebinder:既存のオブジェクトの選択された面から新しいオブジェクトを作成する。
ひとつだけ、Facebinderという3Dオブジェクトから面を抽出するツールがここに入っている。
オブジェクトの面を選択し、ツールをクリックすると面が別のオブジェクトとして作成される。
複数の面をまとめて抽出することもできるし、曲面を取り出すこともできる。
BIMワークベンチでは、3D/BIMメニューに含まれている。
■編集ツール
編集ツールも2DCADとしては標準的なものばかりなので、操作方法は特に説明しない。
多くの編集ツール(移動、回転、配列など)は、ソリッドオブジェクト(3Dオブジェクト)でも機能する。
ミラーツールは、BIMとDraftワークベンチは2D用、Partワークベンチは3D用(アイコン中央が赤線)で、操作方法に違いがある。
編集ツールも基本は、編集対象のオブジェクトを選択してから、ツールをクリックすると、必要な操作または数値入力を求められる。
移動、コピー、回転、オフセットで作成したオブジェクトは、元の図形の属性を継承するが、別のオブジェクトなので、作成後に変更しても相互に影響することはない。
(ここが、クローンやミラーと違うところになる。)
ただし、下層にサブオブジェクトがある場合やグループ単位でのコピーは、もとのオブジェクトと一部連動するので注意が必要である。
クローン: ミラー: 配列ツール:
選択したオブジェクトを、複写、反転複写、配列複写する。
元の図形は新しいオブジェクトの下層に入る。新しいオブジェクトは形状のプロパティがなく、形状は下層のオブジェクトのプロパティを参照する。
基の図形と新しいオブジェクトはリンクしていて、基の図形を変更すると両方の図形に反映する。
クローン、ミラーしたものに対して同じ操作を繰り返すと、データが重層的に構成されるが、形状を決定しているのは、一番最初のオブジェクトである。
スケール:オブジェクトを選択し、指定した基準点を中心にスケーリングする。
Pick from/to pointsをクリックすると、移動元と基準点からの距離を指定できる。
オプションで、コピーとクローンを選択できるので、いくつかのパターンで作成できる。
ストレッチ:選択したオブジェクトをストレッチする。
ストレッチしたいオブジェクトを選択し、ツールをクリック、移動範囲を選択窓で指定してから移動元と移動先をクリックする。
配列ツールについて
オブジェクトを選択し、配列(Array)ツールをクリックしてArrayオブジェクトに変換する。
プロパティのArray Typeで次の3パターンを選択できる。
オルト配列:選択したオブジェクトからの縦横配列複写をする。
極配列:極パターンで配列を作成する。指定した角度内に指定数の複写をする。
円形配列:円形パターンで配列を作成する。中心から始まり、同心円状に複写を繰り返す。
極配列、円形配列は、プロパティAxis Referenceで中心となる図形(点または線の起点)を指定できる。指定しなければ座標原点(0,0)が中心となる。
パス配列:パスに沿ってコピーを配置する。
ポイント配列:特定のポイントにコピーを配置する。
パス配列は、コピーするオブジェクトとパスとなるオブジェクトを選択する。
ポイント配列は、複数の点に一度に複写するためには、複写先の点オブジェクトをまとめて選択し、アップグレードで一つのBlockにまとめてから選択する必要がある。
編集:オブジェクトを選択し、ツールをクリックすると、ノード(編集可能なポイント)が表示されるので、ドラッグして形状を変更できる。
結合: 分割:線の結合と分解。線のプロパティは変換後も使える。
アップグレード: ダウングレード:
オブジェクトを上位、下位レベルのオブジェクトに変換する。
Solid、Face、Wire、Edgeのようなフォーマットに変換される。
この操作をすると形状に関するプロパティが消えてしまうので、位置の変更や回転はできるが、形状を変更することができなくなるので注意が必要である。
線を操作する場合は、結合、分解を使えばプロパティは残る。
Draft to Sketch:DraftオブジェクトをSketchに、またはその逆に変換する。
Draftの作図に拘束を使いたい場合や、sketchをWireに変換したい場合に相互に変換できる。
コメント