08.8BIM金属屋根(折板他)の作り方

 パネルの延長として、金属板勾配屋根の作り方を検討しておく。

 金属板の屋根は建築モデリングで問題になりやすい箇所である。問題点は2つあって、形状の作り方と、勾配の合わせ方である。
 どのソフトでも調べれば折版形状の作り方までは見つかるが、棟木や幕板、軒樋の作り方まで考えておかないと行き詰ってしまう。

 
■勾配屋根の作り方
 板材を作ってから屋根の勾配に合わせるのは、移動や回転の操作が多くあまり効率的ではない。可能であれば勾配面を先に作り、その面に屋根を作成する方法を使う方がよい。

 勾配屋根でまず思いつくのは、屋根ツールを使う方法であるが、設定項目が多く手間がかかるので、片流れのような単純な形状なら勾配ラインを作図し、Extrudeで押出す方が簡単である。
(Extrudeであれば、押出し方向もZ軸や法線方向が選べるので、必要な面が作成できる。)

まず、作業平面を上面にして、建物外形の平面を作図する。Extrudeで立ち上げて直方体を作る。(透明度を80にして、後の作業が見やすくする。)
勾配を作図する側の面を選択し、作業平面を移動する。
Sketcherに移動をクリックして、Sketcherの画面に移動する。

勾配のラインを作図する。
建物の縦、上端線を外部形状リンクで赤表示して、このラインに対して拘束をかけて勾配を決定する。
水下側は建物角と一致拘束、水上側は水平垂直距離拘束で位置を決定する。
(建物形状を変更すると、屋根の高さは垂直距離拘束により一定で、勾配が変わる。)

勾配を一定にしたい場合は、この垂直距離拘束を削除し、角度拘束を適用する。
(勾配角度を拘束したので、建物形状を変更すると、勾配は同じで高さが変わる。)

軒の持ち出しがある場合は、この勾配ラインを伸ばして作図しておく。

BIMに戻るとSketchができているので、Extrudeで押出して屋根の勾配面を作成する。
この時、作業平面はSketchを作図した時のままにしておく。
軒の持ち出しがある場合は、前後の押出し長さで調整する。


■パネルを使う(波板、台形形状)
波板の場合は、作成した勾配面をパネルに変換する。
パネルのプロパティで、設定を変更して波板を作成する。WaveBottom true、Wave高さ 36、Wave長さ 130、 タイプCurved で大波スレートができる。

幕板や軒樋を作成するためには、屋根の外形を作成するかフレームを使う必要があるので、後の折板作成の箇所で説明する。

パネルは、変換前の勾配面が中心になっているので、placementで上方向に移動する。

パネルの台形形状は折板やデッキの正確な形状を作成することはできないが、似たような形状はできるので、簡易的なものなら作成できる。

■折版を作る
折版を作る方法は、断面形状を作図しExtrudeで押出して作成するのが簡単である。カーテンウォールのマリオンプロファイルでもできるが、断面作図とプロパティ設定、移動、回転による位置合わせが必要なのでExtrudeより手間がかかるだけである。

まず、折版断面形状を作図するための作業平面を作るために、勾配面をExtrudeで屋根の厚みだけ押し出して(160)、屋根の外形を作成する。
Extrudeで面に垂直に押出したので、周囲の面は勾配面に垂直になっている。
折板断面を作図する面を選択し、作業平面を移動してからSketcherに移動する。

Sketcherで折板の断面を作図する。
屋根外形線を外部形状リンクに指定して、その線に対して拘束で固定する。

BIMに戻り、作成した断面のSketchをExtrudeで押出しする。
勾配の長さと合わせるために、Extrudeオプションで「エッジに沿って」をONにして、選択をクリックすると、ビューで断面が消えるので押出しに使う線をクリックして選択する。
OKで戻ると、勾配ラインの長さに押出しができている。

押出しでできたExtrudeを、Arrayで配列複写で屋根全体に配置する。
屋根外形のExtrudeを非表示にすると、折板ができている。

側面幕板は、折板断面と同じ面を作業平面にして、Sketcherで作図しExtrudeで押出しする。
軒樋は、妻面壁を作業平面にして、Sketcherで作図しExtrudeで押出しする。

屋根の部材ができたら、まとめて選択し屋根ツールをクリックすれば、すべて屋根オブジェクトに変換できる。

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