08.2BIM柱ツール 使い方

■構造体ツール1（柱ツール）

　柱ツールは、Archワークベンチの構造体ツールが、柱（Column）、母屋材（beam）に分かれたもので、元は同じものなので操作方法に多少の違いはあるが、プロパティなど共通する要素は多い。

壁、柱、梁ツールを使うメリットは、データタブを見るとわかるように、Solidにはない属性を定義できることにある。単純に形状を作成するだけなら、FaceかWireを作りExtrudeで押出しても同様のモデルを作ることはできる。

使用法

1.　柱ツールをクリックし、次に事前定義された標準プロファイルから構造要素を構築するためのプリセットを選択する

• 柱モードでは、画面上の1つのポイントを選択するか、座標を入力する。柱は指定ポイントに配置される。

プリセットは、カテゴリなしで、断面寸法だけ設定することもできる。

または、カテゴリ：Precast concrete　プリセット：Pillar（柱）、Beam（梁）

鋼材はカテゴリ：HEA、HEB、HEM　プリセットは適当なメンバーを選ぶ。他にパイプや角パイプ、溝形鋼のプリセットもある。

コンクリートはプロパティでサイズ変更が可能であるが、鋼材は数字を変更しても作図に反映されない。（データタブで数値入力しても変更されない）

作成後にプリセットを変更する方法はあるのでプロパティの箇所で説明する。

2.　ビューで2Dプロファイル（閉じたWire、面、閉じたsketch）を作成し選択する。さらに、柱ツールをクリックすると、その面を断面として柱（Column）の構造体を作成できる。

　部材の長さはツールをクリックしたときに設定されているオプションの長さになるので、プロパティで調整する。

【2D図面の作図方向と押出し】

構造体オブジェクトは、２Dプロファイル（閉じたWire、面、閉じたsketch）をオブジェクトの法線方向（面に垂直方向）に押出して構造体を作成する。2D形状は反時計回りに作成すると押出しは正方向（上方向）、時計回りは逆方向となる。長方形ツールで作成した図形は反時計回りになっているので、正方向（上方向）に押出される。

柱梁は反時計回りに作図して上方向に、床は時計回りに作図して下方向に押し出すのがよい。

構造体オブジェクトには、加算または減算（ArchAddツールとArchRemoveツール）を使うことができる。加算減算ツールを使うと、構造体オブジェクトの属性を維持する。

柱ツールは、ベースオブジェクトがFaceでもWireでも関係なく外形のまま押出して柱にする。（壁ツールはWireはラインに沿った壁になる点が違っている。）

柱ツールをクリックしたときの入力欄は図の通り。

カテゴリなしで、直接サイズを入力して長方形断面を作成できる。

長さ（X方向）　幅（Y方向）　高さ（Ｚ方向）を設定する。

カテゴリでプレキャストを選択すると、プリセットで部材を選んで寸法を入力する。

プレキャストで単純な四角形とする場合は、下段の詳細部は0のままでよい。

カテゴリで鋼材種類を選択すると、部材リストから適当なものを選択し、高さを入力する。

オプション

【軸システムの利用】

　データタブcomponentの軸の欄に、軸システムを追加すると構造体オブジェクトが軸(通り芯）にコピーされる。1軸システムを追加すると、各軸に1回コピーされ、2軸システムを追加すると、2つの軸システムの各交点に1回コピーされる。

元の構造オブジェクト配置位置が絶対座標(0,0)とずれている場合は、その分だけ軸システムとずれた位置にコピーされる。placementで移動するか、最初の構造体を(0,0)に配置する。

プロパティ

• ツール：オプションの押し出しパス（任意のタイプのワイヤー）を指定できる。柱の中心線を指定できるので、傾斜柱に使える。（複雑な形はエラーになる。）
• 正規：この構造のベース面が押し出される方向を指定する。このプロパティを（0,0,0）に保持すると、方向はベース面の法線方向になる。
• 長さ：構造の長さ（断面の高さ）を指定する。鋼材のプリセット、プロファイルを使う場合は無効。
• 幅：構造の幅を指定する。鋼材のプリセット、プロファイルを使う場合は無効。
• 高さ：構造の高さ、またはプロファイルに基づく場合は押し出しの長さを指定する。

【構造体高さとレベル高さのリンク】

構造体の高さが指定されておらず（0とする）、高さが定義されたfloorオブジェクト（レベル）の下層にある場合、構造体の高さは自動的にfloorの高さになる。

【床レベルとのリンク】

構造体オブジェクトがレベルオブジェクトの下層にあり、プロパティcomponentのMove With HostがONになっていると、レベルオブジェクトの位置を移動すると、構造体オブジェクトも移動する。Move BaseはONのときは下層にある基になったオブジェクトが構造体と一緒に移動し、OFFであれば元の位置に残る。

鉄骨構造用のいくつかのプリセット
プリセットは、構造オプションパネルからカテゴリを選択することで取得できる。使用可能なカテゴリは、プレキャストコンクリート、またはHEA、HEB、INPなどの業界標準の金属プロファイルである。メタリックプロファイルの場合、プロファイルサイズはプリセットによって設定され、数値を入力して変更することはできない。

【プリセットの形状を追加する】

（これについては、技術ドキュメントに記述がないので、設定ファイルを変更することは自己責任において行うこと）

　プリセットの形状に適当なものがないときは、プリセット情報ファイルに追記すると、プリセットに表示されることがある。

　プリセットの部材情報は、C:\Program Files\FreeCAD 0.19\data\Mod\Arch\Presetsの中のprofiles.csvに記入されているので、同じ形式の部材（例えばH型鋼）であれば、そこに追記すれば構造体ツールのプリセットで呼び出すことができる。

profiles.csvをエクセルで編集するときに、データ損失の可能性のコメントが出て保存するとデータの一部が表示されなくなることがある。その場合は、もとのcsvファイルをWindowsのメモ帳で開いて編集すれば、もとのデータに追記した形で表示できる。

【プリセットを入れ替えて形状を変更する】

　モデルタブの構造体オブジェクトの下層のプリセット名をダブルクリックすると、プリセット選択のメニューが出るので、プリセットを変更できる。（データタブの表示は変わらないが形状は変化する。）

　あるいは、データタブcomponentのBaseの［...］をクリックすると、データ内の2Dプロファイルを選択して形状を変更することもできる。

（データタブのStructureにprofileがあるが、ここを書き換えても形状には影響しない。）