07.1RC造BIMモデリング 初期設定と基礎柱


 今回はRC造モデリング練習をする。FreeCADの特徴も少しわかってきたので、パラメトリック機能を使ってBIMソフトと同じようなことを試してみようと考えている。高額なBIMソフトのようには使いやすくはないけれど、作成したモデルを自由に変形して形を確かめることができる可能性は見えてきた。

最初に通りとレベルの設定をした後、柱、梁、壁の順で作成していく。BIM的な考え方からすれば、階別に柱梁壁を作成して、積み上げていく方がモデル作成の流れが見えやすいのだが、それではツールの説明が分散してしまうので、同じツールですべての階を作り、次のルールに移るという順序にした。

BIMモデリングの流れを知りたい人はYouTubeに動画がたくさんあるので、その中で建物の作成を紹介しているものを見てもらえば概略の流れを把握することができる。
FreeCADのBIMワークベンチのツールを使えばほぼ同様のモデリングはできる。単に形を作るだけなら柱梁壁と積み上げて、建具を配置すれば似たようなものは作れるが、できたものを基にして平面や部材を変更するためにはFreeCADでは少し工夫が必要になる。

FreeCADでもできるだけ変更に対応できるようにするために、Sketcherで下図を作図して変換するという方法を使うことにした。これから説明する操作方法の中のSketcherで作図する作業は、ほとんどの部分でSketcherを使わないで、作業ビューで直接部材を配置していく方法で作成が可能であるが、それで作ると変更がある場合、部材をひとつづつ修正するという作業が必要になる。


作成するモデルは図のような建物である。




■通り芯、レベルの作成
最初に建物の基準となる通り芯とレベルを作成する。
BIMプロジェクトのセットアップツールをクリックして、必要な数値を入力する。
(BIMプロジェクトセットアップの使い方は以前のブログを参照)

建物の全体の大きさとは通り芯の概略長さのことなので、建物より大きめに設定する。39mx25m
V軸(縦軸)5 スパン8m、 H軸(横軸)4 スパン7m
レベルは6 階の高さ2000とする。

水平軸とWP proxyは作成しないので、下欄2項目にチェックは入れない。
 
セットアップでできたオブジェクトをモデルタブで最下層まで展開すると、縦軸横軸、レベルオブジェクトが見えるようになる。

モデルタブの縦軸、横軸オブジェクトをダブルクリックして内訳を出し通り芯の位置を調整する。
今回はスパンの変更はないので、1のみ変更して基準線から最初の通り芯までの距離を入力する。

次にモデルタブで縦軸横軸を選択してビュータブのBubble sizeを500、Fonts sizeを500に変更して通り符号を表示する。
PositionはStartまたはEndを選択して、適当な位置に表示する。

レベルオブジェクトの高さ調整する。
オブジェクトの名前をデータタブのLabelを変更して、各階がわかりやすい名前にする。
ビュータブのFonts sizeを500にすると、レベルを示す文字が見えるようになる。

各レベルを選択し、データタブのplacementで高さ(Z)を入力する。
(セットアップで2000で設定したので、各階の高さを入れ替える必要がある。)

レベルオブジェクトはデフォルトのサイトの下層にあるので、レベルを操作するにはデータの階層を展開しておく必要があり、狭いモデルタブをさらに狭くしている。
そこで、レベルオブジェクトをデータの最上層に移動して、今後の作業の見通しをよくする。

以上で通り芯とレベルの準備ができる。

作図上で水平軸の表示が必要な場合は、セットアップで□水平を縦軸に固定にチェックを入れると水平軸オブジェクトが作成される。
水平軸とレベルはリンクしていないので、どちらかを変更すると他方も手動で変更する必要がある。



■基礎柱の作成
これから各階の部材を作成する。基本的には各階の床レベルを基準に作成するので、WP ProxyのスナップをONにしておいて、各階レベルを作業面にしてモデルを作成する。
移動ツールなどで作業平面以外の点にスナップする場合にはWP Proxyスナップを一時的にOFFにする。

柱は柱作成ツールで通り芯の交点に配置する。
ひとつづつ配置する、またはいくつか作成しコピーを繰り返す方法があるが、通り芯の交点に配置する場合はもっと簡単な方法がある。

BS階の基礎柱を作成するために、作業平面をBSに移動する。
BS階はZ=0で、通り芯を作成した面とずれていないので、3Dビューで作業できる。

まず、1/A通りの交点に柱を配置する。柱プリセットなし 600x600 H2000

できたColumnを選択し、データタブの軸をクリック、[...]でリンクを出して「軸」を選択する。
「軸」はモデルタブでもわかるように、縦軸と横軸をまとめたオブジェクトになっている。
データタブの軸に指定された通り芯の交点に柱が配置される。

作業ビューに戻ると、Columnがある。
これがすべての柱をまとめたオブジェクトになる。

しかし、柱が配置されているが交点とずれているので、柱の位置を正しい位置に戻すために、データタブのplacementを呼び出す。

placementの内訳でX=3500、Y=2000とずれているのを、0,0に変更して正しい位置に戻す。

□柱の芯がずれる現象について
軸を使った柱の配置について、他のパターンで繰り返し試した結果、次のことがわかった。
1.通り芯の交点の位置は基準点(0,0)による座標の数値である。
2.軸にリンクすると最初の柱がある位置を(0,0)と判断して、交点の座標に柱を配置する。
3.最初の柱が(X,Y)ずれていると、柱位置を(0,0)とみなして相対座標系で柱を配置するので全ての柱が(X,Y)だけずれることになる。
4.これを避けるには、最初の柱は、基準点(0,0)に配置すればよい。


不要な柱を削除する
さらに、図の着色部分の柱は必要ないので削除したいが、Columnには下層がなく個別の柱を選択して編集することができない。

そこで、Columnをダウングレードするとsolidに変換できるので、個別の柱を選択して削除することもできるようになる。
ただし、ダウングレードすると柱の属性がなくなり、BIMモデリングで自由に変形するという目的から外れるので他の方法を検討することにする。(Ctrl+Zで戻る。)



Column(柱の集合)に対し、Cutツールで不要部分を削除する方法を試してみる。

不要な柱を囲むように長方形を作図し、Extrudeツールで3000押出して切抜き用solidを作成する。

ColumnとExtrudeを選択し、Cutツールをクリックして不要部分を削除する。

Cutツールを使うと、モデルタブのColumnがCutに変わる。ColumnはCutの下層に入っているので、Columnのパラメーターで形状を変更することもできる。

Cutの名前をbsC1-Cutに変更して、ドラッグアンドドロップでレベルBSに移動する。
(作成方法がわかるように、Cutという名前は残しておく。)

以上で基礎柱の作成を完了する。

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