05.5建具ツール Sketchを建具に変換する


 前回までの作業で完成した建具のSketch(下図)を建具作成ツールで建具オブジェクトに変換する。

Sketchを建具ツールで登録するためには、要素(コンポーネント)の登録順序、Wireの作図順序、タイプの登録順序、図上のWireの重なり方などに何かルールがあるようにみえるが具体的な説明が見つからないので正確なことはわからない。


建具枠の中の開口はひとつの方が管理しやすいが、今回の練習では扉とランマを一つの枠の中に設定したので、順序を間違えるとほとんどの部材が透明になるということもあった。

それを修正する手間を考えると、それぞれの部分を単独の建具で作成し、合成して大きな建具を組み立てる方が結果的には失敗が少ない。

繰返し試しているうちに、次のようなルールがあるように見えてきたが、その通りやっても失敗することもあるのでなかなか難しい。

1.建具の要素(コンポーネント)は、外側(建具枠)から順に登録する。

2.そのコンポーネントと境界を共有しているコンポーネントは続けて登録する。
(複数ある場合はGlass panelを先に登録する。)

3.コンポーネントで指定するワイヤー(範囲)は、閉じたWireひとつだけか、外側のWireとその中を切抜くWireの組み合わせだけで、Wireの中にWire、その中にWireという重層構造を設定すると正しく認識しない。

4.コンポーネントのWireは、別のコンポーネントのWireと重なって(交差して)いても構わない。モデルは重なった状態で作成される。
(Wireの線が同じ位置で重なっているとエラーになりやすい。特に、端点や中心が重なっていると閉じたWireと認識されないのでWireそのものを登録することができない。)

5.Glass panelとその他のコンポーネントの登録順序が違うだけで、Glass panelに指定していないコンポーネントでもGlass panelと判断され透明になる。


■ウインドウオブジェクトの登録方法
以下はSketchをウインドウオブジェクトに登録する方法である。
今回はSketchが完成してから、コンポーネントを登録することで説明しているが、実際にはSketchを作成しながら、時々SketcherからBIMに戻りコンポーネントを登録して状況を確認しながら進める方が修正が少ない。
特に、登録メニューでホールワイヤーの下に範囲を示すWireが表示されないときは、Wireの作成が間違っている

Sketchをウインドウ作成ツールで変換してできたウインドウをダブルクリックしてウインドウオブジェクトの内訳を出す。

ウインドウオブジェクトの中にはDefaultというコンポーネントが自動で登録されている。
これは変換したときに認識した閉じたWireを要素とするコンポーネントである。

Defaultを使って建具枠を登録する。
Defaultを選択し、編集をクリックすると登録用内訳が出る。

下の欄で、名前をFrameに変更、タイプは主要部材なので軸組のままでよい。
ワイヤーは境界線で、外側Wire0、内側Wire1をクリックすると枠に自動で入る。
枠の厚み(見込)は100とする。
枠のオフセットは今回は指定しない。

全て入力したら、下のコンポーネントを作成/更新するをクリックして戻る。

Defaultの名前を変えて登録したので、新しくFrameコンポーネントができている。
Defaultは必要ないので、選択して下の削除をクリックして削除する。

枠内に扉開口とランマ開口があるが、ガラスのランマ部分を先に登録する。
(扉部分を先に登録すると、ランマガラスが認識されなくなることがある。)

コンポーネント下の追加をクリックして内訳を出す。

名前をGlassと入力、タイプはGlass panel
ワイヤーは、枠内側と共通でWire1、厚み(見込)はガラス4、オフセットは枠の中心50

次に扉部分を外側から登録していく。

コンポーネント下の追加をクリックして内訳を出す。

名前をDoorと入力、タイプは軸組、ワイヤーは、外側Wire3、内側Wire4
厚み(扉見込)は40、オフセットは30 (枠100-40)/2

スリット廻りの額縁を登録する。

コンポーネント下の追加をクリックして内訳を出す。

名前をD-frameと入力、タイプは軸組、ワイヤーは、外側Wire4、内側Wire5
厚み(扉見込)は60 扉40+前後10、オフセットは20(枠100-60)/2

スリットのガラスを登録する。

コンポーネント下の追加をクリックして内訳を出す。

名前をD-glassと入力、タイプはGlass panel、ワイヤーは、額縁内側と同じWire5
厚みはガラス4、オフセットは枠の中心50

スリット内の中残を登録する。

コンポーネント下の追加をクリックして内訳を出す。

名前をD-frame01と入力、タイプは軸組、ワイヤーは、Wire6
厚み(扉見込)は40、オフセットは30 (枠100-40)/2

ここまで終わったら、閉じるをクリックしてBIMに戻って正しくできているか確認する。

BIM作業ビューで正しく表示されていなければ、元の作業に戻って設定の間違いを修正する。

ランマ部分はガラスは枠の直後に登録したので、格子だけを追加で登録する。
Sketchには放射状格子の中心線があるが、閉じたWireになっていないので、登録窓には出てこないので無視してよい。

内側の円弧状の格子を登録する。
コンポーネント下の追加をクリックして内訳を出す。

名前をframe01と入力、タイプは軸組、ワイヤーは、Wire7
厚み(見込)は枠より少し狭くして80、オフセットは10(枠100-80)/2

外側の円弧状の格子を登録する。
コンポーネント下の追加をクリックして内訳を出す。

以下は、この外側円弧格子と放射状格子を同じ断面で設定する場合の登録方法となる。

名前をframe02と入力、タイプは軸組、ワイヤーは、Wire8
厚み(見込)は放射状格子が円弧と交差する部分がモデルで見えないように狭くして60
オフセットは20(枠100-60)/2

放射状格子部分は条件は同じなので、frame02を編集して登録する。
名前を変更して登録すると、元のコンポーネントは残ったままで、新しいコンポーネントが追加される。

frame02を選択し、コンポーネント下の編集をクリックして内訳を出す。

名前をframe03と入力、タイプは軸組、ワイヤーは、Wire10
(Wire9は放射状格子の中心線かと思うが、閉じたWireではないので認識されない)
厚み(見込)は60、オフセットは20(枠100-60)/2

frame04からframe07までも同じように、直前のコンポーネントを編集登録する。

frame02からframe07までは同じ断面なので、交差部分を作図で編集して一続きの閉じたWireを作成すれば、ひとつづつ登録する手間を省くことができる。
後で、変更する可能性がある時には修正が容易な方法がよい。

全ての部材の登録が終わったら、閉じるをクリックしてBIMに戻る。

ワイヤーフレーム表示にすれば、モデリングが正しいか確認できる。
今回のモデルでは、ランマの格子はガラスを貫通しているので、ガラスと格子の交差部分の線は表示されない。


要素(コンポーネント)はWireの内外の関係と、厚み、オフセットを間違えなければ形を作ることは比較的簡単である。
難しいのはガラスの設定で、どこかが違っていると別の部分がガラスの透明表示になってしまう。うまくいかない場合は、オブジェクトをダウングレードしてsolidに変換して使うのがよいかもしれない。
(その場合には建具オブジェクトの属性はなくなるので、パラメーターやSketchを使って変更することはできなくなる。)

コメント

このブログの人気の投稿

はじめに FreeCADでBIMはできるのか(2022/8/8追記)

オブジェクトを着色する(3) パースのレンダリングに挑戦