05.2建具プリセットを加工する

 プリセットで作成した建具オブジェクトのデータを見るとドア、窓オブジェクトと下図のSketchのリンクが入っている。
 FreeCADの優れている点は、Sketchに基づいて建具形状を作成できることと、そのモデルをいつでも編集できる(パラメトリック変形できる)ことである。
 建具を配置すると自動的に壁を切り抜いてくれることも便利な機能ではあるが、好きな形の建具を自動的にモデリングしてくれるのは、それ以上に大きな機能である。

 データの構成は前回のブログで確認したので、今回はプリセットのSketchを編集して建具形状を変更する方法を検討する。

 その前に、最も簡単なプリセットで作成できる建具を組み合わせて大きな建具を作成する方法を確認してみる。

Slideドアに袖ランマFix窓付きの建具を作成する。

注意事項は、建具を作成する壁面に作業平面を移動すること。
ビューは正面からとし、奥行方向が見えないようにする。
WPスナップはONにして、スナップ位置が壁面に固定されるようにしておく。
(スナップ位置が奥行方向でずれると合成した建具が前後にずれてしまう。)
移動コピーの基準点移動先はスナップで指定する。


窓はSlide1800x2100、袖Fix900x2100、ランマ900x900を作成する。

Fix900x2100をSlideドアの両側に移動コピーする。
Fix900x900をランマ位置に移動コピーする。

特に何の問題もないので、寸法さえ間違わなければ簡単に作成できる。
(実は、データ量が増えてくると思うような位置にスナップできないことがあり、この方法でもかなり手間取ることがある。)

建具の枠はそれぞれの枠の合成になるので、枠(方立、無目)の寸法を自由に変更することはできない。変更したい場合は次で説明するSketchを編集する方法が必要になる。



建具のSketchを編集すれば、建具の形を自由に作ることができるが、最初からSketchで作成するのは難しいので、プリッセットのドアを加工してみる。

まず、Simple doorを編集して、スリット付きドア、両開きドアを作成する。

ドア作成ツールでプリセットSimple door1000x2100と、2000x2100を作成する。


データタブのドアをダブルクリックして内訳を表示する。

ドアにはOuterframeとDoorの要素がある。
この部分を編集してスリットを入れるが、その前に下図Sketchにスリットを作図する。

SketchをダブルクリックしてSketcherに移動する。

Sketcherで下図Sketchを見ると、枠の外側Wireと、枠内側と扉で共通のWire1がある。

扉部分にスリット用の長方形を作図する。
(要素のWireは閉じたWireでなければ建具オブジェクトで認識されない。)

Sketcherの拘束を使って、スリットの位置を決定する。
(Sketcherの使い方は次回ブログで説明する。)
図では上枠からの位置、中框の高さ、中框の寸法、下枠からの位置、横枠からの位置、スリットの幅を固定している。
(スリットの高さは固定していないので、建具の高さを変えるとスリットの高さが自動的に変わることになる。)

Sketcherを閉じて、ドアの内訳に戻る。

下図Sketchに作図しただけでは、スリットは建具に反映されない。
コンポーネントに登録する必要がある。

コンポーネントの窓の下、追加をクリックしてその下の各項目を入力する。
名前はGlass1(何でもよい)
タイプはGlass panel
ワイヤー(境界)はWire2
厚みは4mm +デフォルトON
オフセット 50mm+デフォルトON

新しいコンポーネントを作成/更新するをクリックすると、上の窓にGlass1が登録される。

再度、追加をクリックしてその下の各項目を入力する。
名前はGlass2(何でもよい)
以下はGlass1と同じ。

新しいコンポーネントを作成/更新するをクリックすると、上の窓にGlass2が登録される。

ドアの内訳を閉じてビューに戻ると、スリットが作成されている。

次に両開きドアを作成するためにドア001の下層のSketch001をダブルクリックしてSketcherに移動する。
(ドアの内訳からではなくてもデータタブからもSketcherに移動することができる。)

枠(扉の線と共通)の中に、扉用の長方形を2つ作図する。


Sketcherの拘束を使って扉の位置を固定する。
左右の扉の幅を同じ同じ長さに固定する。
扉と枠の隙間を3mmで固定する。
扉と扉の隙間を3mmで固定する。

Sketcherを閉じてビューに戻り、ドア001をダブルクリックして内訳を出す。

コンポーネントのDoorを選択し編集をクリックして内容を確認する。
(新しく作成するDoor1、Door2は、Doorと同じ数値を入力する。)

コンポーネントDoorを削除する。
追加をクリックしてDoor1、Door2を登録する。


Glass doorに中桟を追加してみる。

ドア作成ツールでGlass door1000x2100を作成する。

ドア002をダブルクリックして内訳を出す。
ドアコンポーネントを選択し、編集をクリックして内容の数値を確認する。
(中桟の数値はドアに合わせる。)

SketchをダブルクリックしてSketcherに移動する。

桟の長方形を作図し、扉の枠までの隙間0mm、桟の位置、桟の高さを固定する。

ドア002の内訳で、追加をクリックして中桟(naka)を登録する。

ビューに戻ると、扉に中桟が作成されている。

このように建具オブジェクトのSketchを編集することで、建具を加工することができる。

Sketchを最初から作成し建具オブジェクトに変換することもできるが、設定が難しいので、プリセットを加工して組み合わせる方が作業としては簡単である。

コメント

このブログの人気の投稿

はじめに FreeCADでBIMはできるのか(2022/8/8追記)

オブジェクトを着色する(3) パースのレンダリングに挑戦