PartDesignワークベンチ3分間練習01 Sketcherでベースオブジェクトを作成する

 PartDesignワークベンチは、FreeCADで完全にパラメトリックなソリッドモデルを作成する先進的なツール群です。

 建築BIMモデリングでは使いませんが、機械設計やFreeCADで3DCADモデリングを練習する人は、PartDesignワークベンチを理解すると効率的なモデリングをすることができます。


 ここからは、しばらくBIMモデリングから離れて、FreeCADの特徴的なツール群であるPartDesignワークベンチの使い方を動画で練習していきます。

 ソリッドモデルを作成するワークベンチには、PartDesignワークベンチの他にPartワークベンチがあります。この2つには同じようなツールがありますが、設定や操作方法が違います。

 PartDesignワークベンチのモデルを他のワークベンチ(特にPartワークベンチ)のツールで加工し、混ぜ合わせると簡単にエラーになります。PartDesignワークベンチはボディというオブジェクトの中で単一のソリッドを作成するツール群なので、そのルールに反するものを扱うことはできません。

 ツールの使い方やPartワークベンチとの比較については、3DCADモデリング入門でまとめているので、ここではPartDesignワークベンチのもう少し具体的なモデリング操作を練習します。

 PartDesignワークベンチでうまくモデリングできない場合は、Partワークベンチを試してみることをお勧めします。
 Partワークベンチは複数のソリッドをブーリアン演算で合成する従来の一般的なモデリングツールです。線や面のオブジェクトを操作することや、SketcherのほかにDraftワークベンチで作成した2Dオブジェクトを扱うこともできるので、PartDesignワークベンチのような制限事項を気にすることなくモデリングすることができます。


■PartDesignワークベンチのベースオブジェクトは、Sketcherで作成する

 3Dモデリングの基本は、2D図形を作成し押出しなどの3Dツールで立体化する方法です。FreeCADでも、PartワークベンチではDraftまたはSketcherで2D図形を作成し立体化することができます。

 PartDesignワークベンチでは、Sketcherで2D図形を作成します。SketchをPartDesignのツールで立体化することで、完全なパラメトリックモデルを作成することを実現しています。

 注意すべき点は、SketcherでPartDesignのベースとなる2D図形を作成するときは、ベースとなる2D図形は閉じている必要があることです。一般的な3D作成ツールであるPartワークベンチの押出し(Extrude)は、閉じていない線を押出すと面に変換しますが、PartDesignはソリッドを作成するツールなので、閉じていない線を押出しても立体を作成できないので、エラーになります。


■なぜSketcherで作図するのか

 寸法が決まっている図形なら、Sketcherではなく、2D作図ツールであるDraftワークベンチで作図する方が簡単そうに見えます。拘束を使って線の関係を決め、寸法を設定して形状を固定する作図方法は手間が多く非効率的です。

 しかし、Sketcherで作図した図形は、作成後に寸法の数値を変更すれば位置や大きさを簡単に変えることができます。拡大縮小や移動、ストレッチのような2D作図ツールで修正する必要はありません。線の拘束条件を変えれば、もとの形とは全く違う形状に変更することもできます。

 また、寸法がはっきりわからなくても、概略の形状を作図し、線の関係を拘束していくことで、形状を決定するという使い方もできます。

 Sketcherは、寸法が確定している形状をモデル化する場合には、あまりメリットを感じないかもしれませんが、PartDesignワークベンチでパラメトリックモデルを作成するためには絶対必要な機能です。


■Sketcherの基本

今回のシリーズでは、PartDesignの使い方を簡単な動画にして紹介します。

【01Sketcherの基本】


【Textデータ】

FreeCADを起動すると、初期設定ではStartワークベンチになっています。
WBセレクターをクリックするとプルダウンメニューが出ます。
PartDesignをクリックして、ワークベンチを変更します。

PartDesignワークベンチでモデルを作成するには、ボディというオブジェクトが必要です。タスクタブに「ボディを作成」とあるので、クリックしてボディを作成します。
タスクタブが「スケッチを作成」に変わりますが、モデルタブをクリックしてボディができていることを確認します。
(タスクタブは操作で必要なときに自動的に開くので、通常はモデルタブに切替えておいて問題ありません。)

スケッチャー NewSketch.svgスケッチ作成ツールをクリックします。
タスクタブで、作業平面を選択することもできます。
作業ウインドウで選択することもできます。XY-planeにカーソルを合わせ、色が変わったらクリックすれば選択できます。

作業平面を選択するとSketcherに移動します。ツールバーはSketcherのツールに変わります。
スケッチャー CreateLine.svgラインツールをクリックします。画面で始点終点をクリックして、直線を作図します。
スケッチャー CreateCircle.svg円は、中心と円周上の点をクリックします。
スケッチャー CreateArc.svg円弧は、中心と円周上の始点と終点をクリックします。

線をクリックしたまま移動(ドラッグ)すると移動します。
点をドラッグすれば点だけが移動します。
線をクリックで選択して、Deleteキーを押して削除できます。

タスクタブの「閉じる」をクリックすると、作業ウインドウに戻ります。
モデルタブには、ボディの下層にSketchができています。
ここで作成したスケッチは、線が閉じていないので、PartDesignのベースオブジェクトとしては使えません。

作成したSketchを編集したい場合は、モデルタブのSketchをダブルクリックするとSketcherに移動します。
スケッチャー CreateRectangle.svg長方形を作図します。
「閉じる」で戻ると、作業ウインドウの図には、追加した図形が表示されていますが、モデルタブのSketchに変更はありません。

新しい図形を作成するときは、スケッチャー NewSketch.svgスケッチ作成ツールをクリックします。

YZ_planeにスケッチャー CreateRectangle.svg長方形を作図して、「閉じる」で戻ると、モデルタブに新しいSketch001ができます。

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