13.3 スレートと折板の鉄骨造倉庫 母屋 屋根 幕板 ルーフファン

 屋根まわりの部品は各断面のベースオブジェクトを作図し、押出系のツールで作成する。

 屋根は折板とする。屋根の折板は勾配が緩い場合は、簡易的に垂直面に断面を作図し、勾配のラインに沿ってスイープツールで押出してもよいが、傾きを正確に作成するなら、屋根の勾配面を作図し、それを基準にして断面を作図し押出しする方法が間違いが少ない。
(モデリングに慣れれば、別に作成した部品を移動回転して屋根に配置する方法がいくつか考えられるが、角度のあるものを配置するのは難しいので、必要な場所に必要な形状を直接作成する方が簡単である。)


■母屋を作成
母屋のベースオブジェクトを作成するために、作業平面を側面に移動する。

母屋は勾配に合わせてL-75x75x6で作成する。
折板屋根を想定するので、母屋ピッチは3m程度でもよいが、中央にルーフファンを設置するので、5mスパンを1750、1500、1750に3分割する。(通り芯に縦線を作図し、母屋の位置にコピーする。)
外壁から外への持ち出しは、水上が350、水下が700とし、縦線をコピーする。

屋根勾配は3/100とし、5000に対して150上げる。
母屋天端を水下Y1通りで+100、水上Y2通りで+100+150=250として、勾配の線を作図する。(屋根持出しのラインまドラフト トリメックス.svgトリムツールで延長する。)

Sketcherに移動して、L-75x75x6を作図し、母屋位置の縦線と勾配のラインにスケッチャー ConstrainPointOnObject.svg線上拘束して母屋の位置を決める。

母屋のSketchは複写するので、縦線と勾配線の参照ラインを選択し削除して、位置の拘束を解除する。


作成したSketchを選択し、コピーツールで右側3か所の母屋位置にコピーする。

母屋位置のラインと勾配ラインの交点にスナップして配置する。


各母屋位置にコピーができたら、作成したSketchをまとめて選択し、Extrudeをクリックする。
Extrudeのオプションで、順方向8160、逆方向160として、母屋材を作成する。

グループ母屋を作成し、作成したExtrudeをまとめて下層に移動する。

母屋は非表示にする。
ノーマル表示(v、1)に戻す。



■勾配面に垂直な作業平面を作る

柱と梁を表示にして、母屋を作成するときに作成したガイドのラインを表示する。
作業平面を側面に移動し、ビューは側面にする。

勾配のラインを選択し、パーツ押し出し.svgExtrudeツールで順方向8000+350、逆方向350として、屋根の勾配面を作成する。

勾配面を選択し、WPセレクターをクリックして作業平面を移動する。



モデルの面を選択して作業平面を移動した時に、「9」キーを押すとグリッドを正面から見る作業平面ビューに移動することができる。

作業平面ビューの動作は、V0.21.2では不安定であったが、FreeCAD V1.0.0が公開され修正されたので、バージョンアップすることを推奨する。


勾配のある作業平面で作業平面ビューに移動すると、画面内からはみ出すこともあるので縮小やドラッグで画面を移動して適当な位置に動かすことも必要になる。

この状態でメニューバーのUtils(または表示マネージャーBIM ビュー.pngウインドウの下段)の中のDraft WorkingPlaneProxy.svg作業平面プロキシを作成をクリックして、WPProxyを作成する。

WPProxyのPlacementを見ると、回転がZ軸とY軸に設定されている。
面の勾配はY軸にあるので、+90または-90としてWPProxyを面に垂直に移動する。
OKで戻り、WPProxyをダブルクリックするとグリッドが回転して直線になる。



3Dビューにすると、グリッドが回転していることがわかる。








「9」キーを押すとグリッドを正面から見る作業平面ビューに移動することができる。
(うまくグリッドが表示されないこともあるので、何度か試してみる。)





今回は、回転した状態になったので、ナビゲーションキューブの矢印を正しい角度になるまでクリックする。



回転矢印と、横矢印で前面方向(実際には勾配の分だけ傾いている)からのビューに移動する。

Draft WorkingPlaneProxy.svg作業平面プロキシを作成をクリックして、WPProxy001を作成すれば、いつでもこのビューに戻ることができる。




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以下で説明するようにBIMワークベンチのSketch作成ツールは、V0.21.2ではカレントworkingPlaneでSketch作成が正しく動作していなかったが、FreeCAD V1.0.0が公開され修正されたので、バージョンアップすることを推奨する。

BIMワークベンチのSketch作成ツールも、v0.21では作業平面を直接呼び出すことができなくなっているので、SketcherのSketch作成ツールで代用する。

面を選択し、Sketch作成ツールをクリックすると、「スケッチのアタッチ」が開き「平面」と出るので、OKで戻ると、選択した面でSketcherに移動することができる。

BIMワークベンチと他のワークベンチのスケッチ作成ツールの操作方法の違いは、「3Dモデリング入門02」で説明している。

WPProxyを選択してSketch作成ツールを呼出すことができないので、WPProxy001の面にSketcher呼び出し用の平面を作図する。

グリッドの左上に正方形を作図する。
グリッドの軸が90度回転しているので、Sketcherに移動したときに方向が回転しないように、回転ツールで正方形を-90度回転しておく。


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■折板のベースオブジェクトを作図
WPProxy001のSketcher用の正方形を選択して、Sketch作成ツールをクリックする。
「平面」と出るので、OKでSketcherに移動して、折板のラインを作図する。(既存の面上でSketcherに移動する場合にも使える。)

山高は160-板厚1mm=159、タイトフレーム分として母屋ラインから20上げる。

屋根のモデリングでは、Sketchを直接移動することはないので、外部参照リンクは削除しなくてもよい。

Sketcherで、側面の幕板を作図する。






Sketcherで、折板上側の止め面戸を、折板断面を使って沿って作図する。

正しく作図するには、折板の板厚分だけ隙間が必要になるが、そこまで詳細にモデリングしてもほとんど違いがないので、折板のラインに合わせて作図する。)

Sketcherで折板下側の見切り面戸も、折板断面を使って作図する。





作業平面を上面に移動する。

作成したSketchをまとめて選択し、移動ツールで△Y=-2325 ₌(700+5000+350)/2-700として、XZ平面に移動する。
(屋根は勾配があるので、Sketchと高さが一致するXZ平面に移動する。)





■押出系のツールで屋根の部品を作成
各部品のスケッチができたら、スイープや3Dオフセットツールでソリッドに変換する。

勾配のラインをスイープの経路に指定すれば、屋根の長さ全体の部材ができる。
折板の断面スケッチと勾配ラインをPart Sweep.svgスイープツールで押出す。

(スイープツールはpartワークベンチにある。)
スイープツールは、断面の位置に、経路を投影してモデルを作成する。






できた折板形状を選択して、Part Offset.svg3Dオフセットツールをクリックして、オフセット値をー1mm、スキン、共通集合にして、オフセットを埋めるをONにして板厚を付けてソリッドに変換する。




部材の組み合わせがわかるように、ワイヤーフレーム表示にする。







側面幕板も、断面スケッチと勾配ラインをPart Sweep.svgスイープツールで押出す。

Part Offset.svg3Dオフセットツールで板厚1mmのソリッドに変換する。(スキン、共通集合にして、オフセットを埋めるをON)


折板上側の止め面戸の断面を選択し、パーツ押し出し.svgExtrudeツールで順方向30として、ソリッドに変換する。




折板下側の見切り面戸の断面も同様に、パーツ押し出し.svgExtrudeツールで順方向30でソリッドに変換する。




作業平面を側面に移動し、ビューを側面にする。
屋根水上部分を拡大し、Sketcherに移動して、幕板断面を作図する。
作成した幕板のスケッチを選択し、パーツ押し出し.svgExtrudeツールで順方向8350、逆方向350で押出しする。




屋根の水上に幕板ができるので、Part Offset.svg3Dオフセットツールで、板厚1mmのソリッドに変換する。


折板を選択し、ドラフト配列.svgArrayツールをクリックする。

できたArrayオブジェクトのプロパティで、ortho、移動量をX=500、回数をX=16、Y=1、Z=1で配列複写して屋根全体に配置する。

作業平面を上面に移動する。
側面幕板をコピー&ペーストでコピーし、ドラフトミラー.svgミラーツールで反転コピーして屋根の反対側のX2通り側に配置する。

作業平面を側面に移動する。

折板上側の止め面戸をコピーツールで、水上幕板の端部に配置する。(スナップで位置合わせする。)




水下側で通り芯から310のラインを作成し、折板下側の見切り面戸を、コピーツールで勾配ラインとの交点にコピーする。





面戸が水上幕板の下と、水下外壁面に配置できる。

水下の見切り面戸は左側が不足しているので、コピーツールでコピーする。





面戸を選択し、ドラフト配列.svgArrayツールをクリックする。
できたArrayを選択しプロパティで、ortho、移動量をX=500、X=16、Y=1、Z=1で配列複写すれば、屋根の幅全体に面戸が配置できる。


幕板端部の折返しは、画面上でスナップでポイントを指定できるので、ドラフトワイヤ.svg連続線ツールで作図する方がSketcherより簡単である。

WPスナップをOFFにして、連続線で幕板の端部をつないで作図する。
出隅入隅があるとオフセットできないので、左+上、右の2本に分けて作図する。
できたWireを選択し、パーツ Offset2D.svg2Dオフセットツールで、オフセット-50、スキン、共通集合、オフセットを埋めるをONで面に変換する。
さらに、パーツ オフセット.svg3Dオフセットツールで板厚1mmのソリッドに変換する。

反対側の幕板端部も同様に処理する。

WPスナップONに戻し、作業平面を側面にして、水下側を拡大し、Sketcherに移動する。
軒樋の形状を作図する。

できたスケッチを選択し、パーツ押し出し.svgExtrudeツールで順方向8260、逆方向260で押出しする。
パーツ オフセット.svg3Dオフセットツールで板厚1mmのソリッドに変換する。
軒樋の側面を表示し、ドラフトワイヤ.svg連続線ツールで樋の断面に沿ってスナップで面を作図する。
作成した面を選択し、パーツ押し出し.svgExtrudeツールで順方向20で押出して、樋の側面カバーを作成する。

WPスナップをOFFにして、側面カバーを軒樋の両端に移動、複写する。





屋根作成のガイドに使ったラインと、勾配面のExtrudeはまとめて、グルーブ屋根ガイドの下層に移動する。

屋根部材はグルーブ屋根を作成し、下層に移動する。



 屋根上のルーフファンを作成する。
 ルーフファンやトップライトはメーカーのサイトを見れば3Dモデルがあるかもしれないが、架台や取り合い部分の部材を自由に作成できないとモデルを並べただけのものになってしまう。

■屋根の切取と架台作成
屋根を切抜いて架台を設置し、水切りを作成して、ルーフファンを配置する。

柱と梁を表示にする。作業平面を上面にする。
Sketcherに移動して、建物の中央に2000x1200の長方形を作図する。距離拘束で位置を固定する。

屋根の中央になるように、X軸から3000、Y軸から1900で固定する。


もう一度Sketcherに移動して、内側に架台のサイズ1115x1115を長方形で作図する。中央がそろうように距離拘束で短辺から442.5、長辺から42.5で固定する。






開口の長方形は、パーツ押し出し.svgExtrudeツールで順方向5000、逆方向-4000で押出しする。
架台の長方形はExtrudeツールで順方向5150、逆方向-4000で押出しする。

屋根を表示にする。


屋根と開口のソリッドを選択して、パーツカット.svgカットツールで切取りする。






切取すると屋根の開口の中に、架台のソリッドが残る。






開口を確認したら、屋根を非表示にする。
架台の上面を選択し、作業平面を移動する。







Sketcherに移動して、架台の左下に柱の断面(L50x50x6)を作図する。

左下に位置を合わせる。









ワイヤーフレーム表示(V,3)にする。
できた柱のSketchを選択し、パーツ押し出し.svgExtrudeツールで逆方向に650(5150-4500)で押出しする。





架台の中心を回転中心にして、回転ツールで4隅に柱を回転コピーする。
(コピーオプションをON)






架台の4隅の柱は、梁の天端に乗っている。






ノーマル表示(V,1)に戻す。

架台の側面を選択し、作業平面を移動する。





Sketcherに移動して、架台側面の左上に横材の断面(L50x50x6)を作図する。

左上に位置を合わせる。

できたSketchを、パーツ押し出し.svgExtrudeツールで1115押出しする。


架台の横材ができる。








できた横材を、架台の中心を回転中心にして、回転ツールで4辺に回転コピーする。
(コピーオプションをON)

















■架台まわりの水切りを作成
屋根の開口まわりの水切りは、その場の形状に合わせて加工する必要があるので、細かい部品の組み合わせになるとモデルが汚くなる。(図面化したときにも必要のない線が増える。)
これを避けるには、できるだけ大きく作成し、不要な部分を切取っていくのが効果的である。

開口まわりの屋根をカバーする面材を作成する。
ワイヤーフレーム表示にして、折板を作成するときに準備したWPProxy001をダブルクリックして作業平面を移動する。

Sketcherに移動して、折板の山に合わせて、幅2100のラインを作図する。端部は折板の山に合わせて水切りを作図する。




閉じるで戻り、作業平面を側面に移動、ビューを側面にする。
Sketcherに移動して、屋根の勾配に合わせてカバープレートの範囲を作図する。
水上は幕板の折返し端部に合わせ、水下は開口から300の位置までラインを作図する。


3Dビューに戻ると、開口下側にカバープレート断面、側面基準平面に長さのラインができている。
パーツ スイープ.svgスイープツールで断面とカバープレートの長さのラインを選択して、面を作成する。
できた面を選択し、パーツ オフセット.svg3Dオフセットツールで板厚1mmのソリッドに変換する



カバープレートの小口のポイントをスナップして、プレート折返し部分のラインを作図する。
ラインをパーツ Offset2D.svg2Dオフセットツールで、5mm幅の面に変換する。(オフセットを埋める)
できた面をパーツ押し出し.svgExtrudeツールで50で水上方向に押し込んで、折返し部分とする。

作業平面を側面、側面ビューにする。
カバープレートと屋根の隙間に止め面戸を配置するために、最初に作成した止め面戸の部品を、移動ツールで、カバープレート折返し部分まで移動する。
カバープレートの折返しの端点にスナップで配置する。

面戸は作業平面(側面)上で移動しているので、面戸を選択し、Placementで増分変更をON、X方向に4000として、カバープレートの位置まで移動する。





WPスナップをOFFにする。
面戸を選択し、コピーツールを使ってスナップで左に3回コピーする。


ノーマル表示に戻すと、カバープレートの下に面戸ができている。

カバープレートと架台ソリッドを選択して、パーツカット.svgカットツールでプレートを切抜く。




Cutオブジェクトができて、架台ソリッドは下層に移動して見えなくなる。






Cutオブジェクト下層にある架台ソリッドを選択して、表示に戻す。

連続線ツールで、架台ソリッドの側面(両面)に立上りのプレートの四角形を作図する。



作成した四角形の対面する辺を選択して、パーツ RuledSurface.svg線織面ツールをクリックすると面ができる。
前面と背面に作成する。




架台ソリッドを非表示にして、作成した面をまとめて選択し、ドラフトのアップグレード.sv​​gアップグレードツールをクリックするとShellオブジェクトができる。

パーツ オフセット.svg3Dオフセットツールで板厚1mmで外側に押出し水切り立上りとする。
架台の柱と横材を表示すると、水切りの中に入っている。



作成した架台と水切りは、グルーブ架台を作成し、下層に移動する。





■ルーフファンを作成
ルーフファンやトップライトはメーカーのサイトから3Dデータが入手できるなら、それを合成すればよい。
ここで既製品の詳細を作成してもダウンロードできるデータほどの精度はないので、ルーフファンは外形を作成してモデルに配置するだけにする。


グループ柱、梁、架台を表示する。
架台ソリッドを表示する。

架台ソリッドの上面を選択し、作業平面を移動する。




Sketcherに移動して、中心合わせで1135x1135の正方形を作図する。








Sketcherで正方形を作図することを3回繰り返し、1135x1135、855x855、1345x1345の正方形のスケッチを作成する。







1135の正方形は、下方向に-60で複写、
上方向に10移動する。

855の正方形は、上方向に40で複写、
上方向に620移動する。

1345の正方形は、上方向に420移動する。


1135と855の正方形を使って、パーツ ロフト.svgロフトツールでソリッドを作成する。
オプションでソリッドと線織面をONにして作成する。




1345の正方形は、パーツ押し出し.svgExtrudeツールで440押出しする。





押出したソリッドの側面の辺を選択し、パートワークベンチのフィレットツールをクリックする。






タスクタブにオプションが開く。

ソリッドの辺を選択していたので、シェイプにはソリッド名、選択範囲は◎エッジを選択、リストは選択したエッジ7にチェックが入っている。
(リストで別の辺を追加することもできるが、いまは追加しない。)

半径を300に変更してOKで戻る。





選択した辺部分が丸面取りになる。






反対側の辺も選択して、フィレットツールで半径300で変換する。


ルールファンができたら、グループルーフファンを作成し、下層に移動する。




この部材から下書き Facebinder.svgFacebinderで面を抽出し、3Dオフセットツールで板厚1mmのソリッドに変換すれば、より詳細なモデルにすることもできる。


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