13.3 軸線が傾いた建物 配置基準ラインを作成して、外部建具を配置する

 建物が複雑になると、FreeCADで建具を配置するのは、意外と難しい。機能的には、プリセットを選択して寸法を設定し、壁に配置すれば自動的に壁を切抜いて建具ができる。

 建物が簡単なときは、特に問題なく配置できるが、複雑になると、建具を移動すると壁がいっしょに移動する、あるいは、建具を移動すると壁にリンクしている別の壁が全く違う場所に移動(変形)するというようなことが起こる。
(実際には、建具を配置するだけでも、リンクしている壁が移動することがある。これは建具を配置して再計算(再作図)するときにデータの順序が変わっているのではないかと推測できる。)
 壁を連続壁として作成しているときに、配置する建具が反転することもある。

 チュートリアルでは、FreeCADで建具を配置するときに、スナップできるポイント(通常は壁の端点)に配置し、移動ツールで正確な場所に移動する方法が紹介されているが、この方法ではリンクした壁が動いてしまうことがある。

 したがって、今回の建物では外壁を作成したら、壁上の建具を配置し、その後で間仕切り壁を作成することにする。間仕切り壁を作成してから建具を配置すると、外壁にリンクしている間仕切り壁が移動する可能性がある。
(間仕切り壁を外壁とリンクしなければ、想定外の変形をすることは避けられるかもしれないが、すべてのパターンを試すことはできない。)


■外壁の建具を配置する。
今回の外壁は自動結合で作成したので、連続壁になっている。
FreeCADの壁は平面図で下側から見て壁面の見える方向が法線の正の向きになっているので、右図の着色した壁(上側の壁)は外側から建具を配置すると反転してしまう。
これを避けるためには、壁の内側から建具を配置する必要がある。

作業平面を上面、上面ビューに移動する。

建具を配置した後で、移動しなくてよいように、平面図をガイドにして建具の位置にラインを作図する。
上側の建具は、建物内側に向けてラインを作図する。

すべての建具の左側の位置を示すラインを平面に作図する。

作図するときは、線上にスナップできるようにドラフト スナップ付近.svg近接点スナップをONにする。
作図が終わったらOFFにしないと、端点や交点スナップができなくなる。
外壁を表示し、3Dビューでアーチ窓.svg窓ツールで建具を配置していく。
建具は、Fixedで作成する。
敷居高さ1200、幅2500、高さ1500、
枠H1=20、見込W1=100、オフセットO1=100とする。
配置用ラインの端点にスナップする。

3つ目の窓は、敷居高さ500、幅3600、高さ2800とする。
その他は変更しない。
縦スリットタイプの窓は、敷居高さ500、幅1500、高さ4800とする。

横に並んだ窓は、幅を500、1000に変更して配置する。



その横の壁高3300部分は、壁上部全域に横スリットの窓になるので、敷居高さ2700、幅13450、高さ600とする。
縦と横のスリットタイプの窓ができる。
反対側(上側)の壁は、内側から建具を配置する。
敷居高さ3000、幅900、高さ900とする。
配置ラインと壁線の交点にスナップして窓を配置する。
扉部分は、敷居高さ500、幅1800、高さ4800とする。
壁の左端に横スリットタイプの窓があるので、敷居高さ1800、幅8500、高さ600として配置する。
窓は、2つの壁上にあるので、右の壁が自動では切抜きできない。





窓を選択すると、プロパティのHostsがWall(壁)になっている。
右端の[...]をクリックして、リンクオプションを表示する。
リンクオプションが出ている状態で、右側の壁をクリックし、OKで戻る。

Hostsは、Wall(壁)、Wall003(壁003)のように、2つの壁が入っている。


右の壁もリンクされて、壁の切抜きができる。

左上方向の壁には窓による切抜きができているので、HollDepthを300に変更すると、切抜き深さが300になって、左上壁の切抜きが消える。
平面右の円柱横の窓も作成する。
敷居高さ1800、幅2000、高さ1200とする。
右は、幅1000とする。
平面左上の窓も作成する。
左から、敷居高さ0、幅2200、高さ2500、
敷居高さ500、幅800、高さ2100
敷居高さ1800、幅10500、高さ600とする。

横スリット窓は、HollDepthを300にする。
左の2200x2500窓は、ガラスなしの開口なのでガラスを削除する。
窓オブジェクトをダブルクリックしてオプションを表示する。
コンポーネントのGlassを選択し、「削除」をクリックする。
OKで戻ると、ガラスが消えている。






他の3つの開口も同様にしてガラスを削除する。
左側端部の壁は、敷居高さ2500、幅300、高さ300で窓を配置する。
左側外面は、300×300の窓を2つ配置する。
縦長窓は、敷居高さ1200、幅300、高さ900とする。

開口部は、敷居高さ500、幅4500、高さ2800で作成する。
オプションでガラスを削除して開口に変更する。


屋根を表示にする。
高い屋根(5300)と低い屋根(3300)の間に隙間があるので、面を作成する。

WPスナップを一時的にOFFにして、壁の頂点を結ぶラインを作図する。
ラインを選択して、Extrudeツールで逆方向2000(屋根スラブ下まで)で押出しする。
反対側も同じようにして面を作成する。

Extrudeツールで厚さをつけてもよい。




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