Tips集【柱・梁ツール】BIM 柱・梁ツール プリセットにJIS鋼材リストを追加する

 FreeCADの柱・梁ツールは、プリセットという登録された鋼材の断面を使って鉄骨の柱や梁を作成することができる。

 プリセットのファイルを編集することで、部材を追加できることは以前に書いたことがあるが、必要な部材を何度も追加するのは手間がかかるし、追加方法を忘れてしまうこともあるので、この記事で編集方法を整理しJIS規格の鋼材をまとめて登録したファイルを作成する。

 プリセットで登録できるのは部材の寸法と板厚までで、面取り半径やテーパーは表現できない。詳細な断面を使って鋼材を作成したい場合には、断面図を作図し(または別のファイルからコピーして)柱梁ツールで建築オブジェクトに変換する必要がある。

 FreeCADに最初から登録されている部材は海外の材料なので、JIS規格のように国内で流通している部材は先に登録しておきたい。


■ファイルの場所
 プリセットデータの登録は、FreeCADフォルダの次のファイルを編集する。
(パソコンの管理者権限がないと、このフォルダ内のファイルのコピーや置き換えができないので、会社などで使用中のガードのかかったパソコンでは、この記事の操作はできないと考えた方がよい。)

C:\program Files¥FreeCAD 0.**¥data¥Mod¥Arch¥Presetsの中のprofiles.csv

profiles.csvを編集するときは、いつでも戻せるように、元のファイルをコピーしてprofiles.csvorgのように拡張子を変更して保存しておく。

フォルダ内のファイルを直接編集しようとすると、「ロックされている」エラーとなり編集することができない。

profiles.csvをデスクトップにコピーして、メモ帳アプリで編集する。
csvファイルは、エクセル等の表計算ソフトでも編集できるが、文字のコードが違う部分があるのか、データが壊れてしまうことがあったので、メモ帳アプリで編集することにした。
(エクセルでも文字エンコードをUnicode(UFT-8)にすれば、編集できることもある。)

■ファイルの構造
profiles.csvを右クリックし、プログラムから開くでメモ帳を選択する。
ファイルを開くと上部にコメントが入っている。
(#のある行がコメント行になる。)

# Data structure: データの構造
# Category, Name, Profile class, geometric data... 
カテゴリー、名前、プロファイルクラス、データの順に記入する。
# All measures must be in millimeters  データ単位はミリメートル

# Possible profile classes are: 使用可能なプロファイルクラス
# C= Circular tube:円形パイプ
# H= H- or I-profile:H型またはI型
# R= Rectangular: 四角形
# RH= Rectangular hollow:角パイプ
# U= U-profile:U形(溝形)

リップ溝形鋼は登録することができないが、溝形で代用して外形線だけでも使えるようにしたい。

# Additional profile types must be implemented in ArchProfile.py first とあるので、それ以外のタイプを追加するには、ArchProfile.pyにプログラムを追加する必要がある。

技術ドキュメントによると、その他にL形プロファイルとT型プロファイルがあると記載されていて、フォーマットも書いてある。しかし、まだプログラムに組み込まれていないのか、今のところはprofiles.csvファイルに記入しても使うことができない。


■追加するリスト
今回追加するのは、丸パイプ(C)、角パイプ(RH)、H形鋼とIビーム(H)、溝形鋼と軽量溝形鋼(U)、フラットバー(R)とする。

元の登録リストを消さないように、リストの最初の# Circular Hollow Sectionsの前に# Customize Sectionsを作成し、すべてJIS部材リストを記載する。
カテゴリーの名前で分けて、自動的にカテゴリーリストに表示される。

カテゴリー名は次のように決めた。
JIS CPipe     JCHS-    丸パイプ
JIS RPipe     JRHS-    角パイプ正方形
JIS RHPipe   JRHSH-  角パイプ長方形
JIS H           JHEA-    H型鋼
JIS HL         JHEAL-   H型鋼軽量
JIS IB         JIBeam-  Iビーム
JIS U          JUPE-      溝形鋼
JIS UL        JUPEL-     溝形鋼軽量
JIS UC        JUPEC-    リップ溝形鋼(溝形鋼の形状で作成する)
JIS FB        JFB-        フラットバー

記載するリストはネット上の鋼材規格表のサイトからコピーし、エクセルなどのソフトでフォーマットを整えて区切り記号を「,」にしてcsvファイルを作成する。
作成したcsvファイルをメモ帳で開き、profiles.csvにコピーする。

・この時に文字に日本語、全角文字を使用するとファイルが読み込めなくなり、柱梁などのBIMツールが表示されなくなる。
・データの順序は、カテゴリー、名前、プロファイルクラス、データの順で、「半角 , 」で区切りする。


profiles.csvファイルに追記した内容は、ダウンロードしたファイルを開いて確認してもらえばよいが、次のような形式でJIS規格の部材を登録している。

# Customize Sections
丸パイプは、カテゴリー,名前,クラスC,直径,板厚
記入例 JIS CPipe,JCHS-21.7x2,C,21.7,2

角パイプは、カテゴリー,名前,クラスRH,横(幅),縦(高さ),板厚
記入例 JIS RPipe,JRHS-40x40x1.6,RH,40,40,1.6
    JIS RHPipe,JRHSH-50x20x1.6,RH,50,20,1.6

H型鋼、Iビームは、カテゴリー,名前,クラスH,横(幅),縦(高さ),ウエブ,フランジ
記入例 JIS H,JHEA-100x50x5x7,H,50,100,5,7
    JIS HL,JHEAL-80x80x2.3x2.3,H,80,80,2.3,2.3
    JIS IB,JIBeam-100x75x5x8,H,75,100,5,8


溝形鋼は、カテゴリー,名前,クラスU,横(幅),縦(フランジ幅),ウエブ,フランジ
記入例 JIS U,JUPE-75x40x5x7,U,75,40,5,7
    JIS UL,JUPEL-40x20x1.6,U,40,20,1.6,1.6

リップ溝形鋼は、カテゴリー,名前,クラスU,横(幅),縦(フランジ幅),ウエブ,リップ長
(リップ長はフランジ厚として表示される)
記入例 JIS UC,JUPEC-60x30x10x1.6,U,60,30,1.6,10

フラットバーは、カテゴリー,名前,クラスR,横(板厚),縦(幅)
記入例 JIS FB,JFB-4.5x25,R,4.5,25

JIS LカテゴリーでJAngleを記入しておくので、山形鋼が使えるようになったときには頭のコメント記号を消して使用すればよい。


正しく編集できれば、柱梁ツールのオプションのカテゴリー欄の標準リストの前にJIS部材のカテゴリーが表示される。

ツールバーそのものが表示できない、あるいはBIMワークベンチに移動できない場合は、profiles.csvに全角文字が含まれている可能性がある。
カテゴリーがあり部材を選択できるが、表示されない場合はデータの数か並び順に問題がある。

以上の条件で、JIS規格の鋼材を追加したprofiles.csvをダウンロード用のフォルダーにアップするので、必要なら上のリンクからダウンロードを開き、該当ファイルを右クリックして、プルダウンメニューからダウンロードを選択する。

C:\program Files¥FreeCAD 0.**¥data¥Mod¥Arch¥Presetsの中のprofiles.csvを置き換えて使用する。
(FreeCADは一度閉じてから起動する。)

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