Tips集【壁ツール】傾いた構造体(1)傾斜壁のNomalプロパティ

 傾斜した構造体オブジェクト(壁、柱、梁、床)を作成するには、3DCADに慣れていればPartワークベンチのロフトやスイープ、あるいはBIMツールのフレームを使ってソリッドを作成し、構造体(壁柱梁)ツールで、建築オブジェクトに変換することができる。
 しかし、その方法では、三次元空間にガイドになる面や線を作図しなければいけないので、3Dの作図に慣れていないと少し複雑である。
 また、BIMモデルを作るという点からいうと、それぞれの部材はできるだけBIMツールを使って作成するのが一番よい方法である。


 FreeCADの建築オブジェクトには、部材の押出し方向を制御するプロパティがあるので、BIMツールで構造体オブジェクトを作成し、方向(Dir・Nomal)のプロパティを変更することで、傾斜のある構造体を作成することができる。


構造体オブジェクトの種類によって設定方法に多少の違いがあるので、種類ごとに順に整理していく。
その他にBIMツールで作成する方法を検討し、その後で3Dツールで作成する方法も考える。


■壁(壁・Wall)オブジェクトのプロパティを変更する
BIMの構造体ツールは、面(Face)をExtrudeで押出してソリッドにしたものに、建築属性を付加してオブジェクトにしているので、Extrudeと同じように押出し方向を指定できる。

壁オブジェクトのプロパティの中にNomalというプロパティがある。これはExtrudeなどでDir(Direction)となっているXYZ軸方向への押出しの比率を示すプロパティである。

 壁は、基本は作業平面のZ軸方向に押出して作成するので、水平な面に作成すれば[0,0,1]となっている。(作業平面が傾いていた場合は、傾きに応じた数値が自動的に入力される。)

壁の押出し方向は、絶対座標で指定する。

Nomalの左の下矢印マークをクリックすると、展開してX、Y、Zの欄が出るので変更することができる。
高さ3mの壁が上階でX方向に1m、Y方向に2mずれる場合は、計算して比率で入力するより、X方向は1000、Y方向に2000、高さ方向に3000のように実際の数値で入力する方がわかりやすい。

方向は、比率で決まる角度だけ回転するが、高さ方向の長さ(Height)は変わらないので、壁が傾くと必要な高さに届かなくなる。高さを計算して決定してもよいが、少し大きく作成し、建築オブジェクトの減算ツールで削除した方が正確なモデルになる。




壁を始点終点の2点指示で作成した場合は、壁の断面(ベースの面)も回転するので、基準面との間に隙間ができる可能性があることは注意しなければいけない。
ベースオブジェクトの線または面(Face)を壁に変換した壁は、ベースの面は回転しない。

連続線を壁に変換した場合や、壁を結合した場合のように、複数の壁がまとめてあり法線方向が決められない場合は、壁をプロパティで傾けることはできない。



■3Dツールで傾斜した壁を作成する。
3Dツールで作成する場合は特別な操作はないが、作成方法を簡単に説明しておく。

2Dの図形から3Dのソリッドを作成する方法は、Extrude(押出し)のほかに、ロフト、スイープ、BIMワークベンチのフレームなどがある。他にも面を作成してから3Dオフセットで厚みをつける方法もある。

傾斜した壁を作成する方法としては、上下の面をロフトでつなぐのが、比較的簡単な方法である。

壁の平面または壁位置図の上階の位置を作図する。



作図したオブジェクトをplacementで壁の高さだけ上に移動する。




Partワークベンチに移動する。

平面がある場合は、Part Loft.svg ロフトツールをクリックし、上下の面を右の枠に移動して、[□ソリッドを作成]をONにしてOKでソリッドを作成する。

閉じたWireで作成した面も同じようにロフトツールでソリッドにすることができる。



壁位置の線の場合は、上下の線を選択し、Part RuledSurface.svg 線織面ツール(Ruled Surface)をクリックすると、線をつなぐ面ができる。













モデルタブには、LoftとRuled Surfaceができる。




線織面ツール(Ruled Surface)でできた面のオブジェクトを選択し、Part Offset.svg 3Dオフセットをクリックする。

オフセット値を壁の厚さ(200)にする。
オフセットにはマイナスの数値も入力できるので、押出す方向を変えることもできる。

接合の種類を共同集合に変更する。

[□オフセットを埋める]をONにするとソリッドを作成することができる。


以上で、それぞれの方法で壁形状のソリッドができたので、選択して壁ツールをクリックして壁オブジェクトに変換する。







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