入門ガイド1.5 スナップ、座標、Placementでポイントを正確に指定する


■ポイントを正確に指定する

 CADで作図する時に、ポイントを指定するには、画面をマウスでクリックするだけでは正確な位置を決めることができません。CADを使うためには図形は正確な位置と長さを決めることが必要です。


正確な位置を決めるには次のような方法があります。
1.グリッドとスナップで位置を決める。
2.座標を入力する。
3.作図後にプロパティPlacementで修正する。

1.グリッドとスナップで位置を決める。
グリッドとスナップを使って、マウスでポイントを指定します。グリッドはCADで作図するためのガイドラインで、作業平面上に表示されます。

ここからのスナップの説明は、主に2DCADでの操作ですが、3DCADでも同様にスナップ機能は有効です。スナップを使えば図形の上のポイントを正確に指定できるので、3Dビューでモデルを見ながらモデリングすることができるようになります。

例外として、FreeCADには、スナップや座標が使えないSketcherワークベンチがあります。Sketcherはスナップや座標の代わりに拘束を使って図形の位置を固定します。Sketcherは特殊なツール群なので、別の箇所で説明します。



スナップとは、ビューにすでに図形がある場合に、図形の特定の点に位置を合わせる機能です。
(画面で目視で点を重ねても正確に一致させることはできないので、スナップという機能を使って正確に位置合わせします。)
スナップはツールバーにアイコンが表示されているので、クリックしてON/OFFを制御します。一時的に一括OFFすることもできます。

FreeCADは、一般的なCADのスナップ機能を装備しています。

ドラフトスナップロック.svg スナップロックは、 設定しているスナップを有効または無効にすることができます。

図形の特定の点として、以下の場所に位置合わせすることができます。
ドラフトスナップEndpoint.svg 線の端点               ドラフトスナップMidpoint.svg 線の中点
ドラフトスナップセンター.svg 面と円形の線の中心点         ドラフトスナップ角度.svg 30°と45°の倍数で、円形の線の基本点
ドラフトスナップ交差点.svg 2つの線の交差             ドラフトスナップ垂直.svg 線の垂直点
ドラフトスナップSpecial.svg オブジェクトの特殊点(配置基準)   ドラフトスナップNear.svg 面または線の最も近いポイント

図上にはない仮想の線にもスナップできます。
ドラフトスナップExtension.svg 直線の端点を超えて延長した仮想の線  ドラフトスナップParallel.svg 直線に平行な仮想の線
ドラフトスナップOrtho.svg ポイントから0°、45°、90°、135°方向の仮想の線

2つのスナップを組み合わせて使うこともできます。(例えば、延長と交点)

図形以外にグリッドの交点にもスナップできます。
ドラフトスナップグリッド.svg グリッド線の交点

スナップ機能をONにして、該当する箇所にマウスを近づけると、スナップのマークと該当するポイントに○印が表示されるので、その状態でクリックすればスナップできます。


3DCAD特有のスナップとしてWPスナップがあります。
ドラフトスナップWorkingPlane.svg WPスナップ 作業平面(WorkingPlane)へのスナップがONの時には、図のようにスナップしたポイントを現在の作業平面に投影します。

 基本的には、他のスナップと併用して、図形の特定の点を作業平面に投影するという使い方をします。

 3Dビューで作業する時などに、作業平面を離れて、3D空間の図形の任意のポイントを指定する時には、WPスナップをOFFにします。

ドラフトToggleGrid.svg グリッドが必要ない時は、グリッドのON/OFFを切り替えることができます。



2.座標を入力する。
 FreeCADで扱う座標系は、グローバル(絶対座標)とローカルがあります。機械設計では、モデルの面にローカル座標系を設定して面の上で作業する方が簡単な場合があります。
 建築では、操作の基準点に対して移動先までの移動量XYを与えて相対座標と呼びますが、特別にローカル座標を設定することはありません。

 ツールを操作中に座標入力が可能な場合は、タスクタブに座標入力が表示されるので位置指定ができます。
  • 入力する数値は、絶対座標(グローバル)か相対座標かは注意すべき点です。
  • FreeCADは、単位を混在できるので、mとmmは自動的に変わります。入力する数値の単位を確認することも必要です。
    標準設定でmmに指定したので、単位を消して入力するとmmになります。
  • 2DCADは(X,Y)の形ですが、3DCADなので、X,Y,Zそれぞれに入力が必要です。
    WPスナップがONになっていても、XYZに任意の数値を入力すれば、3D空間の任意の位置にポイントを決めることができます。


3.作図後にプロパティPlacementで修正する。
 すべてのオブジェクトプロパティに、位置を定義するPlacementがあるので、これを直接変更することができます。

 Placementを変更するということは、位置を変更していることになるので、移動ツールの代わりに使うことができます。

 オブジェクトを選択し、データタブのPlacementの数値部分をクリックすると右端に[...]マークが出るので、これをクリックします。

タスクタブが配置オプションに変わるので、ここに座標を入力してオブジェクトを移動します。

 上部に平行移動量とある部分は、現在の座標値です。移動後の座標値に入れ替えることもできます。(計算式の形で移動量を追加することも可能です。)
 一般的には、最下段の□増分変更を適用をONにして、相対座標(移動量)を入力します。

作業ウインドウに適当に作図して、オブジェクトプロパティのパラメーターで図形のサイズを決め、Placementで位置を調整すれば、作図後でも図形を修正することができます。

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