11.01図面からモデリング 住宅1-1 

 既存の図面からモデルを作成する練習をする。BIMのモデリングからは少し離れてしまうが、標準の部品でモデリングできないときの練習にはなる。

2DCADの図面データをDXFで読み込んで、モデリングする方法は、チュートリアルのArchチュートリアル(v0.14)に詳しい説明があるので、読んでもらいたい。ここで練習するのは、CADデータのない図面の画像からモデルを作る方法である。

DXFの読込は、ファイル>インポートでできる(はずである)が、AutoCADで作成したDXFでも読み込めないことがあった。その場合は、技術ドキュメントで推奨されているLibreCADでDXFを読み込んで、DXFで上書保存すれば読み込むことができる。
FreeCADのDXFは2D対応なので、DXFが3Dの場合は読み込めない。)


 FreeCADでモデルを起こすならSketcherを活用すると効率的である。特に雑誌などに掲載された寸法のない図面は、壁の位置を決める必要があるので、Sketcherで作図すれば寸法を何度でも調整することができる。
 今回は、古い雑誌に出ていた住宅をモデリングしてみる。詳細な寸法はこの図から読み取ることはできないので、内部は省略する。




(2024/05/15追記)
 以下の説明では、画像の貼り込みと拡大縮小はImageワークベンチのツールを使っているが、FreeCADv0.21では、Imageワークベンチが見当たらなくなっている。
 ツールメニューの中に画像CreateImagePlane.svg画像を読込みツールがあるが、新しタブができるだけで、作業中のタブに直接読み込むことができない。
 対策としては、作業中のタブに画像を貼り付けるには、ファイルメニューのインポートを使い、ファイルの種類をImage formatsにして、画像を挿入する方法が使用できる。
画像の移動、拡大縮小には、Placementプロパティで数値入力するか、移動ツール、スケールツールを使用する。


■画像の読み込み
イメージの読み込みには、Imageワークベンチを使う。
1階平面図をJPGデータにする。読込後にスケールを調整するので、画像データのスケールは気にしなくてもよい。

画像CreateImagePlane.svgImagePlane作成ツールをクリックして、まず平面の画像JPGを、ファイルを選択してXY平面に読み込む。
この時、オフセットを-0.1にして、画像をグリッドの下に配置する。

Image Scaling.svg画像スケールをクリックし、基準になる2点を決めて指定し、2点間の長さを入力する。さらに対象となるImagePlaneを選択しOKをクリックすると、画像スケールが調整できる。
(1F床の格子が1000ピッチになるように調整する。)

1000グリッドで作業するために、編集メニューの設定、Draft、グリッドとスナップで、グリッド間隔をピッチ100、本数10、500本にする。
(一度ソフトを終了し、再起動してグリッドの表示を変更する。)

画像を移動して、図形の基準となるポイントをグリッドの基準点に合わせる。

断面図を見て床を作成するレベルを決める。断面図を読み込んでもよいが、今回のモデル程度ならレベルがわかれば作成できるので、想定レベルでモデリングを進める。
最下階道路面0.0、階段入口1.9、B1=2.5、1F=5.0、2F=8.0、RF=10.4 以上の6レベルとする。

Arch Floor.svgレベル作成ツールを6回クリックして、floorからfloor005まで作成し、floor0.0からfloor10.4に名前を変更する。
各レベルをPlacementでZ値をそれぞれの高さに変更する。


■外壁を作成する
floor0.0をダブルクリックして作業平面を移動する。
スケッチ作成ツールをクリックして、Sketcherに移動する。

floor0.0の壁位置図を作成する。
floor0.0の外壁の位置をSketcherで作図し、基準になる点を基準点からの距離で固定する。
(X軸に対しては、重なる線を線上点拘束で固定している。)
各辺の長さを距離拘束で固定する。拘束して固定できた線は緑色表示に変わる。
(Sketcherの操作はこれまで何度も説明している通りで、特別なことはしていない。)

同様にして、作業平面をfloor2.5、floor5.0、floor8.0、floor10.4(Roof)に移動して、各レベルの壁芯図を作成する。

各階の壁芯ができたら、壁ツールをクリックして壁オプションを、壁厚を150、高さ2500とする。

各階のSketchを選択して、壁ツールをクリックして壁に変換する。
壁のプロパティで各階の壁高さを変更する。
(高さは2500、2500、3000、2400、RF立上りは1500とする。)
3Dビューで外壁の各面を確認し、不足している壁、長さの足りない壁があればSketcherに戻って修正する。


■外構の立上り壁、手摺を作成する
Draftのツールを使って外構を作図する。
外壁芯をSketcherで作成したので、それをガイドにしてスナップが使えるDraftの方が作図が簡単である。さらに、Draftで作図すれば線要素を選択し移動できるので、位置や高さを細かく調整したい形状にはDraftの方が便利である。
(Sketcherで作成した図形は、線要素を個別に選択することができない。変更はすべてSketcherで行う必要がある。)

外構の土留め、屋上の手摺壁を作成する。金属手摺やルーバーは、後で置き換えることもできるので壁として作成しておいてもよい。

floor0.0をダブルクリックして作業平面を移動する。
同じ高さで連続する壁は連続線で作図し、高さの違うところは直線で分割して作図する。

鋭角の接合部は自動結合では形状をうまく作成できないので、面として作図する。
曲線部分はポリラインで作図する。ポリラインは壁ツールで変換できないので、オフセットで押出しできるように、壁厚の片側のラインを作図する。

曲線はExtrudeで高さ方向に押出しする。
押出しで作成した面を3Dオフセットで厚さ150、オフセットを埋めるをONにしてソリッドにする。
(壁オブジェクトにする必要のある時は、これを選択し壁ツールをクリックして壁に変換する。)

その他は、壁芯の線を選択し、壁ツールをクリックして壁に変換する。
面で作成した部分についても、壁ツールで壁に変換する。
それぞれの高さをプロパティで変更し、屋上手摺の部分は、Placementで屋根レベルに移動する。

ここで作成した壁は、他の作業が見えにくいので、透明度を80に変更しておく。


■各階の床を作成する
それぞれの床レベルに床を連続線で作成し、床をつなぐ階段も作成する。
連続線は、時計回りに作図し、床に変換する時下方向に押し出しできるようにする。

floor0.0は、表の道路レベル。
道路からの階段と車庫からの階段を矢印の方向に直線で作図し、階段ツールで階段に変換する。
道路からの階段は、2本のラインをまとめて選択し、変換すると連続する階段になる。
下:L1500、H700、7段。上:L2500、H1200、11段。幅は側壁取り合いを見て決定。
車庫からの階段:L4000、H1900、18段、幅は850。
踊り場部分はスラブを作成し、高さを調整する。

floor1.9は、入口前テラス。
FL5.0までと、FL2.5までの階段を設ける。
床曲線部も連続線で、手摺壁内に納まるように作図する。
階段は、FL2.5まで:L1100、H600、5段、幅1700。
FL5.0まで: 上下ともL2000、H1550、8段、幅850。
踊り場部分はスラブを作成し、高さを調整する。

floor2.5とfloor5.0は外部床部分を連続線で作図する。

連続線で作図した床範囲をひとつずつ選択し、床ツールをクリックして床に変換する。

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