10.3鉄骨構造のフレーム(プロパティの編集、リンク)

ここから、鉄骨造のフレームを作成する。鉄骨造は「04.鉄骨造」で一度作っているので、その後のモデリングで気づいたことと、リンクの方法などをまとめながら整理していく。

BIMモデリングでは、ひとつのフロアーで作成したモデルを別のフロアーにコピーして編集していく方法が効率的である。
コピーする方法としては、移動複写ツールを使う方法と、コピー&ペーストでオブジェクトを作成しPlacementで移動する方法があるが、FreeCADではコピー&ペーストはリンクが崩れてしまうので、他のデータとリンクしているオブジェクトには移動複写ツールを使うことにする。
(コピー&ペーストと移動複写は、別の動作をするソフトが多いので注意が必要である。)


■1階柱を作成
WPproxyのZ値を0(柱脚レベル)にして、ダブルクリックして作業平面を移動する。
鉄骨角パイプはプリセットに部材がないので、カテゴリ-なしで角柱300x300xH3350(2F-150)で代用するものとして、基準点 1とAの交点 (0,0)に配置する。
柱の高さを階高とリンクできるように、HeightをSpreadsheet.H3-150に変更する。

柱オブジェクトの軸プロパティをAxis system(軸)に変更すると、通り芯の交点に柱が配置される。

柱オブジェクト(column001)はレベル1Fに移動する。

構造体オブジェクトをレベルの下層に入れ、「Move with host」プロパティをtrueにすると、レベルの変更に連動して構造体オブジェクトを移動することができる。

■鉄骨H型鋼の梁を作成
H型鋼はプリセットが登録されているが、適当な部材が見つからないことも多い。プリセットのデータファイルを編集すると表示できるので、必要な部材を登録しておく。

プリセットデータは、FreeCADフォルダの次のファイルを編集する。
C:\program Files¥FreeCAD 0.19¥data¥Mod¥Arch¥Presetsの中のprofiles.csv

追加する場所は、類似の形状の型鋼の部分であれば認識するようである。
今回は、100x200、125x250、150x300、175x350、200x400などを追加している。

梁の位置指定を簡単にするために、梁位置を作図する。
WPproxyのZ値を3150(梁中心レベル=2F3500-床150-梁400/2)にして、ダブルクリックして作業平面を移動する。
Sketcherに移動して、通り芯を外部リンクして基準ラインにする。
梁位置を作図し、水平垂直距離拘束で固定する。
「閉じる」をクリックして戻る。

梁ツールで、カテゴリHEBのプリセットをみると200x400の梁があるのでクリック。
基準点(0,0)にXYの基準になる梁を配置する。
梁の長さLengthを数式エディタでSpreadsheet.E2とSpreadsheet.B4に変更する。

同部材の梁を必要な箇所に複写ツールでコピーする。
長さは、コピーもとの属性が複写されるので、Placementで位置をSpreadsheetとリンクする。
(壁ツールはSketcherを使うとSketchと壁がリンクするので、Sketchを拘束しておけば位置は変更に連動できる。柱梁はリンクしていないので、それぞれの位置のリンクを作成する必要がある。)

梁のPlacement X値、Y値で、通り芯と梁位置の関係を設定する。
Spreadsheet.E2、Spreadsheet.B2、Spreadsheet.B3、Spreadsheet.B4
通り芯の間は、Spreadsheet.B2+Spreadsheet.A3/2 のように入力する。

作成した梁オブジェクトはレベル2Fに移動する。

これまで梁オブジェクトは、グループを作成し階ごとにまとめていたが、レベルオブジェクトと梁オブジェクトの間にグループが介在すると、レベルの変更と梁の移動が連動しないことが分かったので、これからは構造体オブジェクトはレベルの下層に直接入れることにする。

次に断面の違う梁 150x300を配置する。
大梁と同様にLengthとPlacementを設定すればよいが、梁の場合はひとつずつ設定しなければいけないので、手間と時間を考えると変更があった時にその箇所だけを訂正した方が効率的である。したがって、細かくすべての梁を設定することはしない。

今回は、2~4通り間の連続梁のみ、リンクを作成する。
Length=Spreadsheet.B4-Spreadsheet.B2、
X値 Spreadsheet.B2、 Y値 Spreadsheet.E2/2 とする。

梁高さが違うのでH300の梁をすべて選択し、Placementで50上に移動して天端を合わせる。

■ダイヤフラムの作成
接合部のダイヤフラムは部品がないので、板材を作成して合成する。
基準点にある柱の、上断面の長方形を作図し、25mm外側にオフセットする。
長方形は梁中心レベルに作図されている。Extrudeで19mm押出して板材にする。
この板材を上下に移動複写して、梁の上端下端に合わせる。
(移動複写するときは、作業平面を柱面(正面)に移動しておく。)

コピーしてできた2枚をまとめて選択し、ユニオンツールでFusionに変換する。
さらに、Fusionを柱ツールで構造体オブジェクトに変換する。
できた構造体の名前をdia-2Fに変更する。
ダイヤフラムはレベル2Fに移動する。

構造体オブジェクトは軸プロパティが使えるので、Axis system(軸)に変更すると通り芯の交点にダイヤフラムが配置される。


■2F柱を作成
WPproxyのZ値を3350(2F柱柱脚レベル=2F3500-床150)にして、ダブルクリックして作業平面を移動する。
柱ツールで、カテゴリ-なしで角柱300x300xH3000(3F-150)として基準点 (0,0)に配置する。
柱の高さを階高とリンクできるように、HieghtをSpreadsheet.G4に変更する。

柱オブジェクトの軸プロパティをAxis system(軸)に変更すると、通り芯の交点に柱が配置される。

柱オブジェクトはレベル2Fに移動する。


■2Fオブジェクトを上階に複写
2Fのすべての梁オブジェクトとダイヤフラム、柱オブジェクトを選択し、複写ツールで2Fから3F、3FからRFへコピーする。(コピー&ペーストを使うとリンクが崩れるので、必ず複写ツールを使う。)

それぞれのコピーでできたオブジェクトは、レベル3FとレベルRFの下層に移動する。


■3Fの柱梁、梁のプリセットを変更
3Fの柱は、高さを階高とリンクできるように、HeightをSpreadsheet.G5に変更する。

3FとRFの大梁は、2Fとサイズが違うのでプリセットを変更してモデルを修正する。
(3Fは175x350、RFは150x300)

各階に新しい梁を作成してもよいが、梁の位置、長さはSpreadsheetとリンクしているので、設定済みの2Fの梁をコピーして使うのがよい。

プリセットを変更するには、データ上にプロファイルを読み込んでおく必要がある。
プロファイルは基準点(0,0,0)に配置する。基準点との相対距離が、プロファイルを適用する時の位置に反映するので、正確に配置する。

WPproxyをクリックして、ビューの表示は軸線だけにする。
作業平面のZ値を0にするために、レベルGLをダブルクリックして作業平面を移動する。

プロファイル読込ツールで、HEB175B(175x350)を選択し、基準点にスナップで配置する。
同様にRFのHEB150B(150x300)を選択し、基準点に配置する。

レベル3Fのオブジェクトを表示にして、H400の梁を選択し、BaseプロパティをHEB175Bに変更する。(リンクウインドウの最後にある。)

3Dビューで見ると、梁が小さくなりダイヤフラムとずれていることがわかる。
Baseプロパティを変更しても、profileプロパティと幅高さプロパティは自動的に変わらないので、自分で変更しておく。

レベル3FのH350に変更した梁を選択し、PlacementでZ値を25mmだけ上方向に移動してダイヤフラムの上端レベルと位置を合わせる。

■3Fダイヤフラムを再作成
3Fダイヤフラムは、2Fをコピーしているが、下側板の位置を変更する必要がある。データを見ると、Extrudeが2Fと同じものが入っているので、これを変更すると2Fも同じように変わってしまう。

2Fと連動しないように3Fダイヤフラムは新規作成することにして、まず3Fダイヤフラムを削除する。

2Fダイヤフラム下層のExtrudeとExtrude001をコピー&ペーストする。(dia-2Fは非表示にしておく。)
コピーしてできた下の板をPlacementで50mm上に移動する。(H350に合わせる。)

上下の板Extrude002と003を選択し、ユニオンツールでFusionに変換する。
さらに柱ツールで構造体オブジェクトに変換する。
名前をdia-3Fに変更し、Placementで300mm移動して3Fの梁レベルに合わせる。

構造体の軸プロパティをAxis system(軸)に変更して、通り芯の交点に配置する。
最後にレベル3Fに移動する。

■RFとPHの柱梁
RFは階段室部分のみがPH階となる。
柱の有無で通り芯を区分して、Axis systemを分割して作成する。

軸線作成ツールを2回クリックして、Axis systemを2つ作成し、PH V1とPH V2と名前を変更する。
V1は1-2通り間とし、内訳で 0,2500とする。
V2は3-4通り間とし、内訳は 7000,4500とする。
PH V1、PH V2の軸線長さは12.5m PlacementのY値は-3000とする。

新しく作成したPH V1ともとの横軸を選択し、Axis system作成をクリックするとAxis systemに変換されるので、PH1 Axis systemとPH2 Axis systemに名前を変更する。
(軸線オブジェクトは、自動的にXY平面Z値0に作成されるので、WPproxyを移動する必要はない。)
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WPproxyのZ値を9350(RF-150)に変更し、ダブルクリックして作業平面を移動する。
柱ツールで250x250x3000の柱を基準点に配置する。
3Fの柱の高さを階高とリンクできるように、HeightをSpreadsheet.G6に変更する。

軸プロパティをPH1 Axis systemに変更して、1-2通りの通り芯交点に柱を配置する。

PHの梁を作成する。
RFの梁からPHにコピーするものを選択し、複写ツールで端点スナップでPHにコピーする。

A,B通りの梁の長さLengthを数式エディタで、Spreadsheet.B2 2500 に変更する。



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